イタリアと言えば、古代ローマ、ルネッサンス時の都市国家、バチカン、絵画、建築物、オペラ、ファションなどの芸術、デザイン大国、料理、ワインの産地、サッカーとその魅力は尽きない。
秩序がなく、はちゃめちゃ、マフィアの存在などの否定的な面もあるけれども、やっぱりきれいな建築物、町の光景を見ると、どの人も「あーきれい」と思わず言ってしまう魅力を持っている。
ちょと歩いたら写真を撮りたくなるイメージがあちらこちらにあるし、買いたくなる工芸品、服、靴、カバンもたくさんあるし。
グーグルしてみると世界で5番目に旅行者が多く訪れる国になっている。
そんなイタリアだけれども、13年ぶりに来て、以前とは違ってる光景を見た。
ここ最近4、5年ぐらい前からか、ニュースでアフリカ大陸、リビアからゴムボートに乗ってたくさんの移民が地中海を渡ってくる映像を見てきたけれども、イタリアはギリシャと並んでヨーロッパを目指す移民が最初に到着する場所になっている。
アフリカ大陸出身者がとても増えた。ロンドンのような多民族都市なら当たり前のこの光景が、ピサ、ルッカやフィレンチェの町でみると、他人種の存在は目立って見える。
彼らはイタリアでどんな暮らしをしてるんだろうか?
見かけた人のほとんどが、20代から40代の男性。時々赤ちゃんを後ろに背負った若い母親が、お手製なのか、布でできたブレスレットやネックレスをカフェやレストランに座っている客に売ろうとしているのを見かけた。
一度、レストランで食事をしているときに、そんな女性の一人が私達のテーブルにブレスレットを2つ置いた。ブレスレットは全然ほしくなかったけれども、彼女の赤ちゃんを見たらたまらなくなり、小銭を探し始めた私。だからその女性も私がちゃんと買うと期待したんだと思う。
あいにく、小銭は1ユーロしかなく、あとは20ユーロと50ユーロの紙幣だけしか財布に入ってなかったので、私はブレスレットはいらないから1ユーロを渡そうとした。
1ユーロを見た彼女は、怒った顔をして、ブレスレットを一つ残して去っていった。
後味が悪く、悲しい気持ちになった。
ビーチに行けば、安物のサングラス、扇子、子供の遊具を売りに回ったりする人もいるし、農場で働く人も多いと聞く。物乞いをしている若者も見た。
色々検索していくと、地元民との間のトラブル、差別問題といろんな悲劇も出てくる。
ナポリの近郊のもとリゾートの、カステル ヴォルトウルノという町は今や廃墟と化してしまい、そこはナイジェリアのマフィアの縄張りとなり、人口の半分がアフリカ人になっている言う。
移民問題は本当に難しい。もちろんイタリア社会に自分の生活の基盤をちゃんと築いていった移民もいるし、政治家になった人もいる。でもお金や高度な技術を持ってくる移民は受け入れられやすいが、お金のない移民には世の中は冷たい。
私もオーストラリア人の夫もある意味、たまたま移民になってしまった。だから移民問題はいつも私の心にある。
美しいイタリアの光景の中で、アフリカ人の移民を見ていると、彼らが1日も早くイタリア社会で心地よい自分の居場所を築いて生活していってることを願う。