食のあれこれ

私は子供の頃から歴史が大好きだった。多分人のやってきた事をのぞき見するのが好きだからかなと思う。

特に一番興味がある分野は食べ物の歴史。

ロンドン大火事の最中に日記をつけていたサミュエル・ピートは、自分の家にもいよいよ火の手が回ってくると判断した時、避難する前に家にあった高価なイタリアチーズ、パルミジャーノを自宅の庭に穴を掘って埋めておいたと読んだ時は「確かに今でも美味しくて、高価なパルミジャーノやからな~」と妙に納得できたし。

コロンブスの新大陸発見によって、中南米からトマト、ポテトなど新しい食材がヨーロッパに持ちこまれた。と知った時は、それ以前のベネチア、フィレンチェ、ジェノバなどのイタリア都市国家には今ではイタリア料理の代表になっているトマトソースはなかったことになるので、「じゃあいったいどんなものを食べてたの?」と知りたくなってきた。

トルコ料理にはManti ( マントウ )と言うワンタン料理があるけれども、それは昔トルコ民族がまだ中央アジアで遊牧生活を送っていた時、国境を接するモンゴルや中国で食べられてたワンタンに起源があると知った時も納得できた。

また1533年、フィレンツェ共和国の大貴族メディチ家のカトリーヌが後にフランス王アンリ2世となるオルレアン公に嫁ぎにきた時、当時の貴族の慣例に従いカトリーヌはフィレンツェから料理人や菓子職人をフランスに連れてきた。それまではフィレンチェやヴェネチアの方が文化的に洗練されていたと言われており、それを機にフランス料理も洗練されていったと言われている。今フランスのビストロで必ずメニューに入ってるオニオンスープも、アーティチョークもこの時フィレンチェからフランスに入った味だと言う。

このような食の逸話を知るのがとても好きだ。

人の行き来が盛んだった地域では、今のロンドンのように新しい味をいち早くとり入れてきた。そして地中海諸国、北欧諸国など気候条件がよく似た地域では、同じような食材でよく似た料理が作られてきている。

ヨーロッパではどの国にもあるビーフシチュー。

先月はブルゴーニュ産の赤ワインをたっぷり使ってBeef Bourguignon(ブフ・ブルギニョン)を作り、2週間前はギネスビールを使ってビーフシチューを作った。

今回はどうしようか。ヴェネチア人によってコンスタンチノープルにもたらされたギリシャのビーフシチューであるStifatho(スティファド)を作ろうか。これは同じく赤ワインを使うけれどもシナモン、クローブ、ナツメグで味をつけるのが特徴。

ロシア風のBeef Storoganoff(ビーフストロブノフ)って方法もある。一説によるとビーフストロガノフの誕生はロシア貴族ストロガノフ家に働いていたフランス人の料理長が、料理のレシピを募集していたフランスの料理雑誌社に自分のビーフシチューレシピを送った時、主人の名にちなんでビーフストロガノフと名付けたのが始まりと言う。

ベルギーの代表料理であるビーフシチューCarbonade flamande(カルボナード・フラマンド)にはベルギービールを使い、タイム、ジュニパーベリー、ビネガーを加えて甘くとろみをつけて仕上げる。

ある日の晩ご飯。
ギネスビールで作ったビーフシチュー

まだまだ寒い日が続く2月はシチューを作る人が多いのでは?

各家庭新しい味がアレンジがされてまた多様な味が生まれてくるんかな?

我が家では、今週もしブルゴーニュ産の赤ワインが手に入ったらまたブフ・ブルギニョンのレシピにお世話になる予定。

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