EUを離脱した英国を実感する

最近少しずつ英国がEUを離脱した現実を実感している。

大学で比較文学とポルトガル語を専攻している私の次女は、本年度は9ヶ月間リスボン新大学に在籍するので9月からリスボン生活を始める。その為に次女は先日学生ビザの申請をしにいった。

次女も私も学生ビザ申請についてはあまり難しく考えていなかったけれども、でもそれは間違いだった。英国がEUを離脱した今、英国人留学生のビザ申請はEU圏外からくる留学生と同じ扱いになるので揃えなければならない書類がとても多くなり、何よりもリスボンに住所がなければ学生ビザは申請できない。

そしてこの住居探しが難しい。コロナ禍の中いつもは使える大学の留学生寮は閉まったままなので、大学が紹介してくれる学生向きの不動産サイトを見ての住居探し。お部屋の写真一つを見て判断しなければならないので後は自分の直感で決断するのみ。

ほとんどの留学生はシェアハウスに住む事になるのでお部屋探しは自分の希望のエリアとお部屋の雰囲気が決めてになる。でもどんなに感じのいいお部屋でも部屋数20のところにトイレが3つとなると住みごこちが悪いのはわかっているので没。また入居期間が限定されている物件が多く、例えば8月中のみ引っ越し可能とかいろいろと条件があってなかなか部屋を決める事ができない。

次女はホームステイには興味がないけれども、もしホームステイをする場合はホストファミリーに後見人的な手紙を一筆書いてもらわないといけないので、まだ会った事もない人にそれをお願いするのは結構気がひける気がする。

もし英国がまだEUに残留していたら学生ビザをとる必要はなかったので、まずは現地入りして直接お部屋を見てから自分の住居を決める事ができたはず。EU離脱後の現実やね。

そお言えばここ最近いつも買っていたフランス産のバターPrésidentをスーパーの陳列台に見かけないし、私が使っていたスペイン産のリンスが買えない状態が続いている。

友人の娘がオンラインでZaraのスカートを買った時も何も考えずに購入ボタンを押してしまったが為、そのスカートはスペインから届き商品よりも高い関税を払うことになった。今までは気にせずにいた事だからこの問題に直面した人は多いとよく聞く。

知り合いのミュージシャンは「今までは時々ヨーロッパに演奏しに行っていたけれども、今ではワークビザがいるのでヨーロッパ側から演奏の依頼が来てもすぐにいけなくなった」と嘆いていた。

私が働く学校でもEU離脱が決まってからイタリア人やフランス人の生徒が少なくなってきた。

それまでは各クラスに必ず両親共フランス人とイタリア人の子供がいたし、ある年はクラスにイタリア人が五人もいた事があったけれど最近ではそれがぴったりとなくなった。英国EU離脱に伴いロンドンにやってくる若い家族が減った為だ。

とにかく娘は無事ハウスシェアでのお部屋も見つかり、無犯罪証明書も取れてポルトガルの学生ビザの申請手続きを終えた。幸いにもEU各国内に留学する学生がもらえるエラスムス奨学金はEU政府が今年が最後で英国からの留学生にも出してくれる。

それだけでも本当にありがたいけど、でもやっぱり英国はEUから離脱して欲しくはなかったな〜と感じる今日この頃だ。

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