今回初めて海外生活を始めた次女を見ていて私は何度も自分が初めてスペインに住みはじめた頃の事を思い出した。
それは南スペインのマラガで、私はマラガ大学の外国人の為のスペイン語1年コースを受講し始めた。スペイン語はもちろん英語ですらあまり上手に話せていなかった当時の私は、2、3各語を上手に操る北ヨーロッパ人のクラスメイト達を目の前にして立ち往生。また1人になることを恐れていた私は必死に留学生の中に入り込もうと日々奮闘していた。
そんな中私は軽率にも「スペイン語よりもまずは英語を学ばなあかん」とマラガに住んで3ヶ月もたたないうちに英語学校に通うためにマラガを後にして英国のスコットランド、エジンバラに引越しをした。
言語の異なる世界に身をおくことがとてもしんどいことを私も身をもって知っている。
次女は2年間イギリスの大学でポルトガル語を学んできたので基本的な会話のやりとりは問題ないが、ポルトガル人の学生と肩を並べて学ぶ文学や美術史の授業では発言、聞き取りと授業についていくのが大変らしい。
イギリスの大学、特に彼女が在籍している大学には世界中から留学生がやってきて大学側の受け入れ体制が整っており、留学生へのサポートが多い。反対に娘が通うリスボンの大学には留学生はあまりいず、特別に留学生へのサポートシステムがない上に、これまたイギリスと違ってポルトガルの大学生のほとんどが地元の大学に親元から通うのが通常なので、高校時代からの友達同士で同じ大学に進学している同級生も多いらしい。
留学生の中にもポルトガル語は話せず、学ばず、英語で行われている授業だけを受講して単位を取り1学期間のみ留学するというほぼ文化体験コースだけを目的に来ている人も多いらしく、娘のように9ヶ月の在籍組は少ないらしい。
現在娘は大学が紹介してくれた学生向き1軒家の1室を借りて住んでいる。部屋数は全部で17もあるらしく台所と居間はみんなで共用、各階にあるトイレとバスルームは同じフロワーの人と共用使い。住み出した頃はドイツ人、フランス人、ベルギー人、スペイン人の男性8人と女性は娘ともう1人スペイン人女性だけで、家全体が男性色でいっぱいで、なかなか居間でゆったりする気にはなれなかったらしい。今週になってポルトガル人の女性が1人入居しだし、片付けをあまりしない男性群にはっきりと文句を言える頼もしい見方ができたと喜んでいた。
まあこんな中彼女なりに日々友達を作ろうと努力して暮らしているけれど、私と長女がいている間はせんがゆるんで何度か涙を流し、弱音をはいていた娘。
こちらは「絶対大丈夫やから!」と元気付けるしかない。
外国に住むって、行く前は夢でいっぱいだけれども1人で行く場合いろんなチャレンジを自分自身で乗り越えていかなければならないし、最初の1、2ヶ月は慣れるまで精神的にきつい事も多い。でもそれを超えた先には大きな物を必ず得られる。
あの街には必ず娘と心を通わせるようになるポルトガル人のお友達がいるはず。
先日もオーストラリアにいる夫が田舎街のパブで日本人と知り合いその後その日本人男性と息子さんを家に食事に招待した。
「あんな小さな村で日本人と、しかも大阪人と出会ってびっくりした」と夫は言ってたが出会いってそんなもん。
美しいリスボンの空を見て心から祈った。「リスボンよどうぞ娘に優しくしてください」と!!