ナイジェリア小説

一月もそろそろ終盤を迎え、早朝も真冬独特の暗さから少しずつ脱却し明るさが増してきて、時には午後の気温が二桁代になる事もあり、春もそんなに遠くないと感じられ、そんな時私は不思議と幼少時の春を思い出してしまう。

それはお雛さんの頃だったり、子供の日に食べた大好きな柏餅だったり、なぜかわからないけれども春の気配が郷愁を誘い、そのまま思いは子供の頃に舞い戻る。

今月は読書に没頭した。

夢中になって読み終えた本は、邦題「半月登った黄色い太陽」というナイジェリア人作家、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェの作品で、著者はこれで英国女性小説ベイリーズ賞を受賞している。

この小説の舞台は1960年代のナイジェリアと1967年から3年間だけアフリカに存在して、ナイジェリアに滅ぼされたビアフラ共和国で、ストリーはそこに生きる3人の人物を中心に繰り広げられる。

アフリカ人は国への帰属意識よりも各部族への帰属意識が強いらしい。考えてみるとあるヨーロッパの国々に植民地にされる以前には、現在引かれた不自然にも直線的な国境線は存在していなかったわけだし、国境線後にアフリカ各国様々な部族が共存しながらも、時には衝突があっても仕方のない状況があった。

日本人にとってナイジェリアはヨーロッパ諸国同様文化的に遠く離れた世界なのに、この小説が描くナイジェリアにはまたもや私が幼少の頃にかいだ匂い、特に夏の午後の気怠い匂いを連想させる場面が何度かあり、時にノスタルジックな思いに浸りながらの読書タイムだった。

それはまだ古さが残る昭和時代に似通った空気感があるからかな?

そんな事でナイジェリアに興味を持ちだした私は、一番興味のある食文化についていろいろ検索してみた。ナイジェリアの北部はイスラム教徒の遊牧民ハウサ族、西部はイスラム教徒の農耕民ヨルバ族、そして私が読んだ小説の舞台である南部にはキリスト教徒イボ族が住んでいて、それぞれ異なった食文化を持つ。

ストリーの中にもペッパースープ、パームワイン、ヤムやキャッサバが何度か出てきたし、シチュー料理がとても多い。You tubeでナイジェリア料理を見ているとトマトソースをベースにしたシチューの場合、オレガノ、カレー粉、ガーリックパウダー、オニオンパウダーなどを大量に入れてどれも味付けがかなり大胆なのが特徴。

私が働く学校のヘッドシェフもナイジェリア人で、彼女のナイジェリアの実家は中華レストランを経営している。確かに彼女が作る野菜炒めは、名前は野菜の照り焼き炒めで、味は中華風というかオイスターソースに甘味を足したこれも大胆な味付けだ。

数あるナイジェリア料理の中でも全国的に食べられているJollif Riceはトマトと赤ピーマンのソースで作られるピラフで、どこにいても簡単に作られる料理。

まずはトマト、赤ピーマン、玉ねぎをミキサーにかけてペースト状にしておく。

次にフライパンにベジタブル油でみじん切りにした赤玉ねぎを炒め、トマトピューレを加えて20分ぐらい煮詰める。

そこにチキンストックキューブ、ドライタイム、カレー粉、ガーリックパウダー、ベイリーフ、塩、水を加えてよく混ぜ、お米を加えてアルミホイルでカバーし、さらに蓋をしてライスが炊けるまで中火で煮込む。

このとき使うのは日本米ではなくバスマティなどのインディカ米。これはお肉にもお魚に付け合わせにぴったり!

小説の中で出会う料理にはこちらの想像力がフルに働き、読者の頭の中には実物とはかけ離れた料理が出来上がってしまうが、Jollif Riceは陽気なナイジェリア人を連想させる魅力があるように思う。

休み明け少し気が重くなりそうだった1月は、ナイジェリア小説に楽しませてもらった。

今はロンドン生まれのナイジェリア人作家の本を読んでいる。しばらくはこの文化から刺激を受けそうだ。

ペルシャンテーとスイーツ

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