はじめて聞く採点スト

今年のイギリスは本当にストライキが多い。

私が覚えている限りでも、電車にバス、ロンドン地下鉄、郵便局、公立の小、中、高校の先生、医者、看護師及び医療関係者、救急車、ヒースロー空港と入国管理局と様々な業界でストが行われてきた。

国民はというと、少々生活が不便になっても、物価高騰の中、給与はそれに比例せずに上がっていない実情を踏まえて、スト決行には多少の理解を示していたはずだけれども、こう度々ストをされると、いいかげんうんざりしている人が多いはず。

そんな中、当初はストライキを検討していた消防車は、いざ問題が起きた時に直面するだろう状況が、あまりにリスク高と判断し、ストを断念した。有難い事だ!

でも今回大学の教授、講師が授業のストライキに加えて、卒論、論文の採点をしないというストライキ(No marking and assessment boycott )を決行した時、私は本当に頭にきた。

私の次女がまさに被害者の1人だからだ!

彼女も長女も、大学在学中にストで講義が幾度もキャンセルされた経験を持つ。その度に「残念やけれども、大学の教授の年金制度はあまりにもお粗末なので、私らはこのストを支持するわ」と彼女達はストのたびに大学側を擁護してきた。

でも今回は違う。さずがに卒論の採点を拒否するのはひどすぎる。

私の娘は、ほぼ毎日朝早くから大学の図書館に通って卒論に力を入れていた。おそらく彼女の人生の中で一番熱を入れて勉強していたはず。それなのにその努力の結果が今も未来も採点されないなんて、残念で仕方ない。

イギリスの大学では、卒業時に授与される卒業証書には、学位である最終成績が記載される。

成績は上位からFirst,Two-One,Two-Two そしてThirdと区分され、頑張ってきた学生は勿論皆Firstを目指しているし、就活時にも有利になるとみなしている人が多い。

娘の場合、卒論意外にもう一つエッセイが採点されない事になり、大学側が「申し訳ないでが、今までの成績はFirstグレードであったので、卒論が採点されない代わりにFirstで卒業することのなります」と伝えてきた。

勿論Firstで卒業は有難いものの、あんなに力を入れて書き上げた卒論が全く採点されない事にはがっかり。卒論は3人の教授、研究員者が採点する事になっており、娘の場合そのうちの2人がストに参加したために、今回採点不可になってしまった。

反対に卒論の内容がFirstに値するほど素晴らしいものでも、ここまで採点された成績がTwo-Oneの人はTwo-Oneで卒業する事になるのも本当に残念だ。

エジンバラ大学で社会学を専攻している次女の友人も、先週大学側から連絡が入り「教授の採点ボイコットストライキの為、卒業時の学位には最終成績は明記できません」と言われたそう。

その友人も今まで一生懸命に学んできただけに、すごく落胆しているらしい。

強烈な方法を取らない限り、ストを起こしても体制側は妥協してこないかもしれないが、高い授業料を払って、それもほどんどの学生が学生ローンを借りて払っていて、コロナ禍はオンラインでしか学べなかった学生達が、なんでこんな被害にあわされるのか、本当にこの夏卒業する学生には申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

次女は、大学の授業、採点ボイコットのスト以外、ドクターのストライキでも被害を被った。

彼女は靭帯を切って、7月中旬に手術が入る予定だったけれど、1度目は病院側の事務のミス、2度目は担当医がストライキに参加する為に、2度も手術日が変更させられている。

私の知らないところでも、きっと多くの人がストの犠牲になっているんやろうね。夏休みになると、また航空関係者のストが出て来るかも?

とにかくこれ以上、ストライキを強行する前に、解決案が双方で見出される事を願うのみ!

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