ブカレストを見て

仲良しのルーマニア人姉妹から招待を受けて、娘達と3人でルーマニアの首都ブカレストに5日ほど行ってきた。

友人に出会う前までは、ルーマニアと言えば、私がロンドンに住みだした1989年に独裁者ニコライ・チャウシェスクが殺され、共産独裁政権が倒れていくルーマニア革命をテレビに釘付けになって見ていた事と、幼い頃に見たオリンピック金メダリスト、体操のナディア・コマネチ選手の事しか知らなかった私。

少し高級住宅で見られる光景

ブカレストは東欧の小パリと呼ばれていた事もあるだけあって、パリをどことなく思い出させる景観もあり、ちょっと街の中心地を離れると緑が多い。

実際ブカレスト中心部には19世紀後半から20世期初頭に、パリを模倣するような優美で素晴らしい建築物が建てられ今でも所々にそれらを見る事ができる。

それに反してチャウシェスクが行った、歴史的建造物を破壊して作った高層住宅も街には多く、ブカレストが通ってきた道のりを思い起こさせる。

ルーマニアがあるこの土地は昔からいろんな民族が通り過ぎていき、ルーマニアは他民族の支配下にあって長い間独自の国家が樹立できなかった。

ローマ時代のギリシャ人、スラブ人、トルコ人がやってきて、パプスブルク帝国の影響下にも置かれ、ロシア人もやってきた。

こんなにいろんな民族がやってきたルーマニアだけあって、ルーマニア料理もトルコ、ハンガリー、オーストリア料理の影響を受けている。

とにかく今回は短い滞在期間だったので、毎日郷土料理を食べることにした。

伝統料理と言えばサルマーレ。私達が友人Dのおうちに着いたらすぐにサレマーレで出迎えてくれた。発酵されたキャベツまたは葡萄の葉に豚肉と牛肉の合い挽き、お米をを詰めたロールキャベツ。トマトピューレで薄めたスープで煮込まれ、食べる時にはサワークリームをかけ、チリをかじりながらいただくサルマーレは本当に美味しい。

次にルーマニアならではと言われるのがママリガ、これはとうもろこし、牛乳とバターを混ぜたポーレンタのような料理で、付け合わせ以外にも卵焼きとチーズをかけていただく立派な一品にもなっている。

ルーマニアの挽肉料理ミティテイ(豚肉と羊肉が多い)は、大型市場オボー(Obor)で、ブカレスト1と言われている屋台のお店に食べに連れて行ってもらっていただいた。平日の午後にもかかわらず長蛇の列ができていて、40分近く待った後、ミティテイ4本がパン、マスタード付きでやってきた。炭火で焼かれたミティテイの香ばしさ、脂ののり具合といい最高、その上お値段が日本円で150円ほどで、満足度は100%だった。

ルーマニアのスープはトルコ語と同様、チョルバと呼ばれ、小麦粒の外皮や胚芽の表面の部分である小麦のふすまを発酵させて作るボルシュと言う調味料を入れて、酸味をつけるのが特徴的!

私が食べたのはチョルバ・デ・ブルタは 牛肉の内臓入りスープで、サワークリームが入ってなんとなく豚骨スープを連想させる味だった。

 

ブカレストを歩いていると、時々歩道の真ん中がまだ舗装されずに土がもられただけだったり、道がデコボコしていたり、まだインフラストラクチャーがしっかりされてないと思わせる場面に出くわす事もある。そうかと思えば、お洒落なカフェにこれまたお洒落な若者がいてヨーロッパのどこにでもある光景が広がる。

ブルガリアと並んで、EU内で一番貧しい国と言われていれ、厳しい時代を乗り越えてきたルーマニア。でも今20代の若者はもう共産主義時代の生活を知らないし、EU圏のイタリアやスペインに移住した若者も多いと聞く。今回空港まで迎えにきてくれた友人の知り合いのドライバーは、日中郵便局のデリバリーをして、小銭稼ぎであいた時間に空港までの送迎ドライバーもやっているという。

まだまだ経済的に余裕のない人が多いのも事実。

ほんのちょっと垣間見たブカレストだけれども、これからの益々の発展にエールを贈りたい気持ちでいっぱいになった。Multumescムルツメスク、ブカレスト!

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