先日天皇皇后両陛下がイギリスを公式訪問された。
別に特別な皇室フアンでもない私だけれども、天皇皇后両陛下は人生でそう滅多にお目にかかれる方でもないし、自宅からそう遠くないHigh Street Kensington にあるJapan Houseにいらっしゃるというので、次女と2人いざJapan Houseに向かった。
Japan Houseに着いたら、運よく一番沿道に近い場所はまだ1人、2人は並べるスペースがあったので、すぐさまそこに入り込んだ。あたりを見回すとすでに結構な数の人が集まっている。
沿道に立っている私達には、いろんな人が「誰が来るの」と尋ねてくる。「The Emperor of Japanよ」と答えると「Oh that’s cool (すごいやーん!)」とそのまま並んでる列に参加する人もけっこういた。
待ち時間中も面白かった。それぞれが隣に並んだ人達とのおしゃべりを楽しんでいる。「日本人の友達に天皇陛下の写真をとって見せてあげるねん」と言ってたイギリス人の女性は村上春樹の大フアンで、同じく村上春樹のフアンである娘と意気投合、私はJapan Houseに入っている日本食レストランに働く日本人女性とたまわいない会話を楽しませてもらった。
日本人とイギリス人のハーフの娘の友人は、具合がよくないにもかかわらず通りを挟んだ向かい側に立って待っている。その時は気づいていなかったけれども、私の反対側には友人の家で働く家政婦さんが立っていて、彼女は天皇陛下ご夫妻を待っている私の姿を写真に撮って、レバノンにいる私の友人に送っていた。
時には警察の間で緊張感が感じられると思うと、群衆の中にいた若者2人が警察に連れて行かれたり、急にマイクを持った男性が現れるや「天皇陛下や王族、皇族は御伽噺のような話だ、子供たちにはそんな話を信じないように教育していかなあかん」と叫び出した。
そして待つ事1時間半、日本大使館で働くイギリス人の女性が「もうすぐ陛下ご夫妻がおつきになる」と教えてくれたその時、白バイの警察がやってきて視界には黒塗りの車が何台も入ってきた。
その数分前歩行者は警察にJapan Houseの前を通るのを止められた。それでも何も気づかず私の横を通ろうとした女性がいて、その女性は私の前に立ち止まるはめになった。
えーなんで、今あんたが私の視界に入ってくるん?
車が止まると歓声が響きだし、私も含め誰もが写真を取り出した。急に前にやってきた女性の為に余裕で全てを見れる状態のはずだった私は、天皇皇后両陛下を見ることより、とにかく携帯を高くもち、写真を撮り続け、見えないものの雅子さーんと叫びつづけた。気がついたら、雅子さんはいらしゃらないし、天皇陛下はJapan Houseの中に入られる瞬間。え~何やってんの私!
ただ私の写真には陛下がバッチリ写っていた。
ここまできては、陛下がおかえりになる時こそはバッチリとそのお姿を見たいと思い、そのまま陛下が出てこられるのを持つことにした。さっき隣でおしゃべりをしていた女性は最前列で携帯を構えている。同じく最前列にいるはずだった私の前にはどさくさに紛れてインドネシア人の旅行者が立っている。「あかん、あかん、今度こそ絶対この目でちゃんと陛下を近距離で見な!」と写真撮影は娘に任して、私は声援を送ることにした。
20分後、天皇陛下が出て来られた。
うわーすごい、本当に日本の天皇陛下が目の前にいらっしゃる、やっぱり大感動!
陛下はご丁寧に待っている見物人、全ての方向にお手を振ってくださった。
そのお姿に陛下の誠実なお人柄が伝わってくる。
私の後ろにいたイギリス人の若者が「おいなんか言おうぜ、かわいい、ありがとうございます」と声をかけ出した、私もありがとうと声援を送った。
その後興奮が覚めぬまま、私と娘は丸亀うどんにランチに行き「凄い経験やったな、もしかした私らもテレビに写ってたかもな」と先ほど撮った写真やビデオを見ながら感慨に浸っていた。
そして翌朝、日本にいる友人達からLineメッセージがきていた。
「天皇陛下を待ってる姿テレビに写ってたで~!」なんと日テレのニュースに私が写ってる、それもはっきりと!
翌々日もYou Tubeのニュースで私を見たよというメッセージがやってきた。
今まで天皇関連のニュースをあまり見る事はなかったけれども、これで一気に天皇皇后両陛下のフアンになった私、ちょっとした笑いと喜びをもたらせてもらった1日に、両陛下に大感謝!
ありがとうございました!