英語には数え切れないぐらいのアクセント(訛り)が存在する。
英語が公用語のアメリカ合衆国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダはもちろんのこと、それ意外にも英語が公用語の一つであるアイルランド、マルタ、南アフリカ、インド、シンガポール…などの各国のアクセント。
そして本家本元イギリスにおいては東西南北どこに行ってもアクセントが異なるし、同じロンドンであっても南ロンドン、東ロンドンと違ったアクセントが存在する。イギリス北部の有名なアクセントといえば、ニューカッスルあたりで話されているジョーデイ、リバプールのアクセントはスカアウス、イギリス西部はウエストカントリー、スコットランドではエジンバラのアクセント、グラスゴーではグラスウイージンと本当に様々なアクセントがある。
いろんな英語のアクセントをまねるYou Tubeがあるが、You TubeのTruseneye92なんかはとてもよく観察していて面白い。
私の家族が大好きな、Derry Girlsという北アイルランドのデイリーが舞台になっているテレビ番組があるが、それを見る時次女は字幕がいるという。同じ言語を話すはずなのに、あまりにもアクセントがかけ離れているからだ。
ウェールズに旅行に行ってウェールズのアクセントが大好きになった私の家族、私以外はみんなおどけてウェールズの発音をまねて話す時がある。でもこれが幸いしてGCSE(義務教育修了試験)のドラマの実演試験の時、ウェールズ人の役を演じる事になった長女は、得意のウェールズの訛りをうまく使って高得点をとった事もある。
でも相手のアクセントがわからず問題が出てくることもある。この間も私が電話で銀行とやりとりをしている時、相手が話す強いスコットランドの発音がわからず、電話をスピーカーにして次女にも一緒に会話を聞いてもらった。
どうやらその相手はchip and pinと言っているらしかったが、私にはチップアンドピンではなくチョップエンドパンにしか聞こえず、「すいませんが、もう一度言ってもらえますか?」と何回か聞いたものの、何回言われてもこっちはわからずじまい。相手が何を言ってるかやっと理解した次女が私に「チップアンドピンの事やって」と言ったが、電話をスピーカーのままにしていたので相手がこのやりとりを聞いて苛立ち始めた。
その後も会話がスムーズに運ばず、電話ですむはずの問題だったけれども最後には「直接支店に行ってくれ」と言われて電話を切った。その後近くの支店が閉まっていて、一番近くの支店が歩いて40分の距離とわかった時はこっちのイライラもマックスに!これも私が相手の英語を聞き取れなかったから起こった事だと思うと、余計にイライラしてきた。
またイギリス英語の場合、話すアクセントによって、話し手の出身地だけではなく、その人の受けた教育や社会環境がわかってしまう事がある。スコットランド人でも、私立の学校で教育を受けた人は地元のスコットランドの訛りではなくRPと言ってReceived Pronunciation(容認発音)、BBCニュースで普段使われている英語を話す人が多いのがその例だ。
かつて夫の仕事仲間に、有名ミュージシャンのプロモーションビデオも多くてがけた、業界では成功者として知られていたダイレクターがいた。その彼の話す英語のアクセントはイギリス北部ニューカッスルの労働者の間でよく使われるアクセントだった。その彼が「銀行やビジネスの場に行くと時々自分は見下されているなと感じることがある、多分僕の話すアクセントが理由やと思う」って言ってたのを思い出す。
でも私はなんか温かみのあるイギリス北部のイントネーションに大阪弁を話す自分を重ねて見てしまう。いろんなアクセントがあるのは当然だし、自分のアクセントに誇りを持てるのは大事なことに思う。
まあその前に、もっと勉強しなね。