もう24年ぐらい前になるけれども、その頃の私は地中海料理のレシピ本を出版するのが夢だった。地中海の様々な国の料理を学び、料理本の企画書を作って文化出版局に送り、企画の第一段階までは順調に進んだ。
でもその後「これは企画としてはすごくいいけれども、料理の素人のあなたの本を出版するのはリスク高なので、あなたと同じ志を持つカメラマンを探していい写真を作るよう」に言われた。その後世界情勢が変わって日本の料理本市場は和食指向になり「いい時期がくるまでこの企画は保留」と言われ、私のライフスタイルも出産とともに変化し、担当の編集者さんも定年退職というのも手伝ってこの企画は消えてしまった。
今から思えば、もったいない話。諦めた自分が悪かった!
当時はモロッコ人の女性から家庭料理を教えてもらっていた。代表料理のクスクスやタジン以外にも数々の野菜料理を学び、夢中になって教えてもらった料理を作っていた日々があったことも思い出した。
太陽の陽光を存分に受けて育った地中海産の野菜は本当に甘い。ロンドンで買ったオランダ産のトマトで作るratatouilleと南フランスで地元産のトマトで作るratatouilleの味が全然違うように、地中海産の野菜を使うとどれも美味しく仕上がる経験を何度もしてきた。
今朝その時かいたレシピ本を出して見ていたら、あるあるもうその存在すら忘れてしまっていたレシピが!
「あーこれ昔よう作ったなー」「このレシピ完全に忘れてたわ!」こんな繰り返し。どの人も経験する事やろうけれども、ここにきて久しぶりにまた作ってみたいレシピがいっぱい出てきた。
その中でトマトのペーストがあった。カナッペやパーティーでのおつまみとして最適で、めちゃくちゃ簡単に作れるので、甘そうなトマトが手に入れば作れる一品。
モロッコのアラビア語でSalata dial Maticha wa al Basla(直訳でトマトと赤玉ねぎのサラダ)と呼ばれるサラダと言うよりもデップのような料理。
まずは、赤玉ねぎ(2個)はみじん切りにして、青唐辛子(1つ)はタネをとって細い輪切りに、
トマト(5個)は皮をむいて細かく切る。
オリーブ油で赤玉ねぎが飴色になるまで炒める。
そこにトマト、青唐辛子、塩、黒胡椒を入れて汁気がなくなるまで約30分混ぜながら炒める。
これをよく冷やしてからオリーブやピタパンと一緒にいただくととても美味しい。ホームスのように常備食にもなる。同じようにズッキーニやおナスにもこのようなようなレシピが多いので、また教えてもらったレシピを書いていきたい。
とにかくこの週末は雨が多そうだし、真夏の、夢見るような青い地中海を思いながらゆっくり料理でもしてみようかな?