サッカー欧州決定戦を観て思う事

先日の日曜日のサッカー欧州選手権の決勝戦、惜しくもペナルティーキックでイングランドがイタリアに敗れてしまった。国際試合で自分が住んでいる国の試合だから普段はサッカー観戦していないロンドンナーもこの試合は見た人が多かったはず、ロンドンはどことなく朝からもりあがっていた。

実際その日は朝から普段は見かけることのないタイプの、色白でみなよく似た髪型をしたイングランド国旗をマントのようにまとった若者のグループを何組かうちの近所で見かけた。

決勝戦を観に他所からロンドンまでやってきたグループだろう。多国籍都市ロンドンでも特に多国籍なこの辺りではそれらのグループの存在はかなり目立っていた。

そんなグループを見ながら「今日はイングランドが勝って~」と強く願った私。イタリアにもイングランドにも仲の良い友人がいるし、外国人の私にとってはどちらが勝ってもあまり感情的になる事じゃないけれども、この日はあまりにも多くの熱烈なイングランドサポーターを見かけたし、中には自分のサポートしているチームが負けると暴力的になって、対戦側のサポーターに絡み出す悪質なフーリガンがいるのもわかっているのでイングランドの平和の為にも日曜日はイングランドチームに勝ってもらいたかった。

そお思っているところに次女が「先週のデンマーク対イングランドの準決勝線にCとIも観に行ったらしいけれど、試合のあとイングランドのサポーターに絡まれたらしいいよ。唾とか吐いてくるフアンもいてたそう、ほんまに嫌やな」と言ってきた。

現在移動規制があるのでデンマーク人サポーターがロンドンにこれず、この事態を受けて在英デンマーク大使館が準決勝戦のチケットをいくつか調達して、在ロンドンデンマーク人に配り出した。

デンマーク人の知人宅にも大使館から連絡が来て、知人の子供達がデンマーク対イングランド戦のチケットをもらって観戦しに行った時にこれがおこったらしい。

こんな兆候があるだけにここでイングランドが負けたら、怒ったフーリガンが必ず暴れ出しそうなので、今宵はイングランドが勝ってくれーと思った人間は私だけじゃないと思う。

結果的に最後の最後、ペナルティーキックでイングランドは敗れてしまった。

この瞬間私はまた別の事を心配し出した。

ペナルティーキックを失敗した3選手が全員黒人選手だった為に、ここで人種差別的な悪質なコメントがソーシャルメディアに飛び出しはじめたからだ。

国挙げてのこの試合、チーム、サポーターそして彼らの生まれ故郷であるイングランドの為に一番貢献したかったはずのところに人種差別的コメントが出てきた。一番胸に刺さる言葉になったはず。一部のたちの悪い人たちの仕業というものの、もううんざりだ。

彼らの中の一人、マルクス・ラッシュフォード選手はまだ23歳の好青年。彼は自身も貧しい環境に育った為、ホームレス問題や貧困層の子供たちの飢え問題解決に積極的に活動してきた。去年の夏はコロナで学校に行けなくなり、失業した親の下まともな食事ができなくなった子供たちが夏休みも食べれるように政府に働きかけ、彼自身も多額の寄付をしてこの問題に取り組んできている。

こんな素晴らしい青年が苦しめられるのを観ていられない。ラッシュフォード選手は「ペナルティーキックの失敗は本当に無念で申し訳ない、自分の責任だから謝りたい。でも僕が僕であることは謝らない」と声明を出した。彼を絶対的にサポートするフアンもたくさんいるがこれを機にサッカーフアンじゃない私達親子もラッシュフォード選手を応援していきたいと強く思うようになった。

この夜、イタリアサポーターに暴力を振るったフーリガンがかなりいたらしい。

暴力を振るう人間はスポーツ観戦できないよう、人種差別的なコメントを出す者はソーシャルメディアが使えないようになるように規制ができたらいいのに。サッカー界もソーシャルメディアに圧力をかけ始め出した。

もうすぐオリンピック、自分の国単位じゃなく、頑張ってきたアスリートに敬意をはらって観戦していきたい。

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