最近、連日のように、日本に来ている旅行者が爆買いしているニュースを目にする。
ビザなしでの個人旅行が解禁された上、今破格の円安で日本旅行は大人気。
大阪、心斎橋筋にある大型ドラック店、高級ブランド物を扱うお店がニュース番組で扱われて「今日の売り上げは、外国人観光客が爆買いされここまで伸びました」と満面の笑顔で語っていた。
私が先月そこの前を歩いた時は、とても静かだったのが今や嘘のよう。
円安の今、ブランド製のバックなんかは日本円で買った方が、かなりお得になる。
日本旅行がみんなに解禁される事はとても喜ばしい事だけれども、これらの連日のニュースをロンドンで見ていると、この状態はとてももどかしく、一抹の不安すら感じるのも否定できない。
例えば、今から35年以上前は、オーストラリアやシンガポールは、私達日本人にはとても物価の安い国で、特にシンガポールはストップオーバーをもじってショップオーバーと言い、買い物天国だった。
今その立場が逆転して、日本が安い国になってきている。
この間もTBSニュースで、各国の最低賃金の比較を報道していたけれども、日本の全国平均最低賃金が1時間あたり961円であったのに対し、オーストラリアでは2009円、アメリカのカリフォルニア州では2220円、イギリスは1610円だった。驚いたのはアメリカでは来年の1月からファースト法と言って、ファーストフード従業員の給与が大幅引き上げられ、最低賃金の時給が22ドル、日本円で3256円になるらしい。
もちろんそれらの国は生活費も高いだろう。シンガポールの生活費は日本の倍になると言われている。でも日本の961円は時給が低すぎる。「こんなに手が混んでるのに、なんでここまで安いの?」と大阪でお弁当を買ったり、ランチを食べに行く時にいつも感じてしまう。
日本人の給料は上がらなければならない。
そしてこれからは日本人も職種によっては外国に出稼ぎに行く時代になってくるんだろうか?
出稼ぎといえば、ほんの少し前までは、イギリスにワーキングホリデーに来るオーストラリアやニュージーランド人の若者は、イギリスで働いてお金を貯めて、ヨーロッパを旅していた。でも今は自国で充分稼げるので、物価が高くて、給料の安いイギリスに来てわざわざ働かなくてもいい。
ロンドンの小、中学校の体育の先生には必ずやオーストラリアやニュージーランド人の先生がいたけれども、その数が減ってきているのは、私が働く学校でも見られる現象だ。
そのイギリスは今、ポンドの価値が下落して、物価が急高騰しているので「あれ、これこんなにしたっけ?」と思わせる事ばかり!
最近では、アボカドトーストを注文した時、目玉焼きをつけるかどうかの選択があった。目玉焼きをつけたら11ポンドのアボカドトーストが15ポンドに、小さな目玉焼きは4ポンド、日本円で660円増し!そこまで美味しくないのを知っていたから、目玉焼きはなしにした。
またいつも行く日本食レストランで、今までは9ポンド半で買っていたちらし丼が急に15ポンドに値上がりしていてびっくり。15ポンドは今、2500円。日本で2500円あれば、ちらし丼が二つは買える。
とにかく、1日も早くロシアとウクライナの戦争が終わり、円安も止まらなければならない。
イギリスの物価高も嫌だけれども、母国が安い国になっていくのを見ているのも嫌や!
日本人はこの事態をどのように受け止めているんだろうか?
イギリスはまた首相が辞任し、しばらくは物価高が続いていく気がする。