ハーフタームホリデーになって、長女と隣国ベルギーに行ってきた。
パリと同様、ブラッセルまではユーロスターに乗って2時間弱で着くので、大阪から東京に行くようなもんだ。
ブラッセル、私が小学校の3、4年生の頃ぐらいだったと思う、父親にブラッセル転勤社命がでた。母は私の小学校に転校手続きを出し、後もう一歩でブラッセルに行く所でこの話は破断になった。
あの時ブラッセルに引越ししていたら、私のその後の人生はかなり今と違っていたに違いない。
そんな事を思い出しながら、何年かぶりのブルージュ、ゲントそしてブラッセルを4日間歩き回った。
ベルギーと言えば、数多くのビール、チョコレート、ワッフルそして英語ではチップス、日本語ではフライドポテトであるフリッツが有名だ。
ビールは、それぞれの銘柄専用のグラスに注がれて出てくるのが楽しみ。アルコール度数が高いものから、チェリー、ピーチ、ラズベリー、中にはチョコレート風味のビールなど、アルコール度数2.5%とあまり飲めない人でも楽しめるビールも多いのが有難い。
チョコレートとワッフルに関しては、町中が甘さに満ちていると言うか、誘惑が多すぎて大変!
フリッツには、何度も誘惑に負けそうになった。第一次世界大戦中、フランス語圏であるベルギー南部に駐屯していたアメリカ兵が、フリッツをフレンチフライと呼んだのが始まりで、それ以後アメリカではフリッツはフレンチフライと呼ばれるようになり、フランス発祥の料理と思われるようになった。
でもベルギーではフリッツはベルギー生まれとされていて、まさに国民食、町中至る所にフリッツ専門店がある。
フリッツは、普通のマヨネーズの他、カレー味のマヨネーズ、トラッフル味のマヨネーズ、ホーランデーソーズ、ベアルネーズソース、キムチとチーズソースと自分の好みのソースをつけていただく。私が好きなのはトラッフル味のマヨネーズ!
物価の高いベルギーでは、若者が外食する場合、フリッツやバーガー店ぐらいしか行けないのでは?どこのフリッツ専門店も現地の学生、旅行者で賑わっていた。
そう、今回久しぶりにベルギーにやってきて一番驚いたのは、高い物価。感覚的に言って同じレベルのお店を比べた場合、パリやロンドン、フィレンチェの方がブラッセルのお店の方より安いぐらい、ベルギーでは何もかもが高く感じた。
郷土料理を食べるに至っては、普通のカフェやビストロでも一皿平均20ユーロ(約2900円)以上はする。私たちが食べた国民食、ムール貝とフリッツは一人25ユーロ(約3580円)もした。ヨーロッパではムール貝はかなり安価に手に入るし、けっこう簡単に作れる料理なので、この値段にはびっくり!
まあ値は張るけれども、外国旅行の醍醐味である行った先の郷土料理は楽しみたい。
今回の旅では、ベルギー料理で、日本でも知られているチコリとハムのグラタン、Chicons au gratinがとても美味しかった。チコリをハムで巻いて、ベシャメルソースとチーズをかけて、マッシュドポテトと一緒にオーブンで焼くシンプルな料理。チコリの苦味とベシャメルソースの甘さが程よくあい、食べてホットする一品だった。
他に印象に残ったのは、行った先々のカフェ、レストラン、ホテルで、とても素晴らしいサービスを受けた事。どの店員さんも感じがよく、めちゃくちゃフレンドリー。特にブラッセルはフランス語圏なので、パリと比較してしまいがちだけれども、どのウエイター、ウエイトレスも時間に余裕があるのか、一言、二言会話をしてきて、説明も丁寧にしてくれて娘と二人感動の連続。
でも今回の旅ですごく感じた事は、いろんな人にぼろかすに言われてきたイギリス料理はそんなに悪くないって事。ごめんベルギー!ベルギーに来てイギリスの良さを再認識しているわけではないけれども、イギリスのパブで伝統イギリス料理を注文すると、必ず付け合わせの野菜が出てくるけれども、ベルギーでは野菜がついてきたことがない。たまたま私たちがそんな経験をした可能性もあるけれども、他の人のお皿にも野菜がついてくるのを見れなかった。
いつかフランス人よりもイギリス人の方が野菜を食べていると言う記事を読んだ事があるが、読んだ当時はこれを信じなかったけれども、何十年かヨーロッパに住んで、これは案外当たっているかもと思う、イギリス料理には必ず付け合わせの野菜がついてくる。
とにかく、娘といろいろおしゃべりをしながらベルギーをほんのちょっとだけ観察した私は、子供の時にブラッセルに引越ししてくる事はなかったけれども、こうして今ここに来れたことに感謝し、もしその人生を歩んでいたなら、自分の娘たちには会えていなかったから、やっぱりあの時ベルギーに引越ししなくて良かったと自分で結論付けてロンドンに戻って来た。旅行っていいもんやな〜。