Kensington Gardens

最近の私は、毎日雨にも負けず、風にも負けず歩いて通勤している。普通の速度で歩いて片道35分の道のりを、往復1時間10分は歩いていることになる。

でも歩いていると言ってもそのほどんどがKensington Gardensの中。

この広大な公園を歩くと言う事は、朝から自然に触れられて確実に心の栄養になっている。朝空は毎日写真を撮りたくなるほど、色彩のオンパレードでいっぱい。日の出や白鳥の大群が池に着地する光景には毎回うっとりさせられ、リスと犬の追いかけっこをいつもハラハラして見ている私がいる。

いつもの通勤道
今朝の日の出

Kensington Gardensは元々は1536年にヘンリー8世によって狩猟場として造られ、1728年までは隣接するHyde Parkの一部だった。今でもKensington GardensもHyde Parkも同じ公園だと思っている観光客も多いと思う。とにかく市内の中心にこれほどの緑の空間があるのはとても素晴らしい。

ロックダウン中、近隣の住民にとってKensington Gardensの存在は今まで以上に大きかった事と思う。私のように家に庭がない人は、運動のための一日一回の外出をKensington Gardensで過ごしていたはず。

毎日同じ時刻に同じ道を歩くので、私にも顔馴染みが何人かできた。7時25分ごろにすれ違う男性、7時35分ごろにすれ違う老夫婦、7時40分ごろに会う女性….いつの日からか挨拶するをようになり、ロックダウン後はお互い近況報告と労いの言葉を掛け合うようになった。この公園が自分の地元と感じれる瞬間だ。

Kensington Gardensに出没する名物人物もいる。同じようにKensington Gardensを歩いてくる同僚に「The Pigeon Lady って誰のことかわかる?」と聞けば、同僚も「あーあのスカーフを頭に巻いてる人?」ってな感じですぐわかるような有名人。クレオパトラをおもわせる目の化粧をしたその女性はいつも鳩に餌をやりにきて、優しく鳩たちと会話していているけれども、人間にはあたりがきついタイプ。

ある朝は、中国人のおじいさんが携帯のボリュームを最大にして、北京語のニュースかストリーを聞きながら歩いていた。政治的なスローガンのように聞こえたその北京語は、めちゃくちゃうるさかったし、清々しい朝の公園には雑音でしかなかった。でも涼しげな顔をしながらそれを聴いてるおじさんがジョギングをし始めた時、あまりにも我が道をまっとうに行くその姿を見て、私もそばにいた人もなぜか笑顔になってしまった。

朝のジョギングに来る人、散歩に来る人、子供を遊ばせに来る人、犬の散歩に来る人、体操をしに来る人、Kensington Gardensに来るのが日課の人はかなりいるんだろう。なくてはならない憩いの空間だ。

日本で見られるような紅葉までは行かないが、Kensington Gardensもこの2週間で葉が色づきはじめ、美しさがさらに増す時期に入る。

まだしばらくは秋を充分楽しませてもらうつもりだ。

フュージョン料理

外国人が多く住むロンドンには、必然的に国際結婚、国際カップルも多い。むしろ国際結婚という固有名詞を使って表現するのではなく、誰々のご主人はカナダ人とか誰々のパートナーは日本生まれというふうに表現している気がする。

多国籍都市ロンドンでは国際結婚は特にカテゴリー別にするほどのことではないからか?

私の仲良しの友達も、日本人とイギリス人、レバノン人とアメリカ人、オランダ人とイギリス人とパートナーが外国人。当たり前だけれども国の数だけ、いろんな国の組み合わせのカップルが存在する。今まで出会った国際カップルはトルコ人とコロンビア人、ソマリア人とドイツ人、タイ人とドイツ人、台湾人とイラン人、韓国人とデンマーク人、ポーランド人とアルゼンチン人、ジンバブエ人とアイルランド人、イタリア人とエジプト人、マセドニア人とギリシャ人、フランス人とブラジル人と限りなく続く。

そんな国際カップル家庭ではみんな日々何を食べているかとても興味がある私。

いつも「今日の晩ご飯、何作るん?」と友達に聞いている。まあ普段のロンドナーの食事はパスタ料理、スープやシチュー、お肉や魚のグリルとサラダと似たり寄ったり。

でもやっぱりそれぞれのお国の味が見え隠れしているから面白い。

料理も国際結婚の影響を受けていている。フュージョン料理だ。

フージョン料理はシェフや移民によって作られてひろまっていったコンセプトと言うけれど、家庭ではもっと昔からフュージョンしていたはず。

オーストラリア人の夫はイースト菌と野菜を混ぜてつくられたオーストラリアの国民食、発酵食品Vegemiteをグレイビーソースを作るときに隠し味として入れるし、私もそのやり方を伝承している。私は時々野菜をトマトソースとお醤油で煮込み、刻み海苔をかけてパスタを食べる時もある。

パルメザンチーズがなかったら、チェダーチーズでピザを作る人もいるし、トルコ人の友人は巻き寿司を作るときにフェタチーズ巻きも作る。バスマティ米でお寿司を作る人もいるし、ローストチキンのソースをお醤油ベースにする家庭もあり。お友達のS子ちゃんは抹茶テラミスを作ってくれるし、黒ゴマ味のアイスクリーム、カレーソースとチップス、日本で人気のタラコスパゲッティーもある意味フュージョン料理だ。

フュージョン料理は今や料理のカテゴリーの一つ。ロンドンではアジア料理のフュージョンレストランが大人気でオイスターソースで炒めた焼うどん、ココナッツ風味のカツカレーとアジア各国の味がミックスされている。

ベトナム料理のバンミーもベトナム料理とフランス料理のフュージョン。LA生まれの韓国とメキシコ料理のフュージョンのKorean Tacos, Korrito、イタリア料理とメキシコ料理のフュージョンはTaco Pizza。カナダ在住の日本人シェフが作ったと言われるSushi Pizza.。ペルーに移民した日本人が現地の食材で作った和食はCeviche Nikkeiなど日系ペルー料理として定着していてる。最近はロンドンのペルーレストランについて書かれてた記事をよく目にし、Nikkeiという名前がついているメニューを何度かみかけた。

人が動き、交流すると食も動き、融合していく。「これからもいろんな国の味が融合されて、どんどん新しい食べ物が生まれでくるんやろうな。」とレバノン産のごまのペーストTahini入りのクッキーを食べながら思った。

第二のチャイナタウンQueensway

うちの近くのQueenswayはロンドン第二のチャイナタウンとも言われ、チャイナタウンについで有名中国レストランが密集している地域。旧正月には商売繁盛を祝いにドラゴンが舞いにくるし、中華料理好きなロンドナーならみんな知ってる。

以前ロンドンに住んでいてシンガポールに引っ越しした友人は今でもQeenswayのRoyal Chinaの飲茶が一番美味しいと言ってるし、ロンドンにくるアジア人の学生もQueenswayには美味しいものを出す中国レストランが集中してると知っていて、次女が「Queenswayの近くに住んでる」と言えば何度か「あーダックが有名なGold Mineがあるとこやね」とシンガポール人やマレーシア人の友達に何度か言われたらしい。

面白いことに一口で中華を食べに行くと言っても、シーフードが食べたいのならMandarin Kitchen、飲茶ならRoyal ChinaかGold Mine、 ダックはGold MineかFour Seasons、広東料理ならNew Fortune Cookiesと食べたいものによって行き先を変える。「中国系マレーシア人とシンガポール人はGold Mineが、中国人はFour Seasons、香港人はRoyal China かNew Fortune Cookiesが好み」とレストラン情報に詳しい次女の中国人の友達がいってるらしい。

ずいぶん長い間、Four Seasonsのダックといえば味と名声において不動の位置にあったけれども、ある日そこのダックマスターが15mほど先にあるGold Mineに引き抜かれて行って以来Gold Mineのローストダックのソースの味の美味しさがさらに増し、ダックが食べたいと思えばGold Mineに行くようになった。Four Seasonsは結構な打撃を受けたやろなー。

でもこのFour Seasons、香港生まれの友達と行くといつもメニューにないものを作ってくれるのが嬉しいところ。

Gold Mineは日本人の駐在員にも広く知られているみたいで、いつ行っても日本語がどこからともなく聞こえてくる。みんなローストダックがお目当てみたいだ。

ある日飲茶を食べていた私達家族、隣の人のローストダックがあまりに美味しそうだったのでローストダックも後から注文した。食べた瞬間、懐かしい味に包まれる。あのコクのあるうなぎの蒲焼のタレに近い味。みんな美味しい、美味しいと一口食べながら連呼の声。それを聞いた近くにいた日本人の客もローストダックを追加注文していた。

今週は長女のお誕生祝いにMandarin Kitckenに行ってきた。ここは海鮮中華料理が有名で、特にロブスターやかに料理が最高。と言ってもここにくるのはもう10年ぶりだ。

Mandarin Kitchenで食べたロブスター

よくあることなのか、ここの料理長もある日、ほとんどのスタッフを連れて新しくできたレストランに引き抜かれて行った。その新しいレストランPeral Liangは味以上に内装が良く、私達家族も友達家族もまたそこに行くようになった。

でもMandarin Kitchenの評判は落ちることなく内装新たにすこぶる人気。

ロブスターの味は期待以上。調理法はネギと生姜ソース、黒豆と唐辛子ソース、ネギとニンニクソース、そしてお刺身があって、私たちはいつものネギと生姜ソースにヌードルをつけて注文した。あとインゲンと豚肉のミンチの炒め物も最高に美味しかった。高温に熱されたフライパンの鉄の味が程よく馴染んでいる。中国人のご近所さんもいつも注文すると言うこのインゲン料理は、ご飯との相性がめちゃくちゃよく、食べていると無限に食べ続けられる気がしてくる。

めちゃくちゃ美味しかったインゲン

去年の長女のお誕生日にはMandarin Kitchenの向かいにある、これまた有名なRoyal Chinaで食事をした。その時の写真を見ると、ほとんど全く同じものを今年はMandarin Kitchenで注文している事に気づいた。

でも味を比べたら、Mandarin Kitchenの方が美味しい。これからはまたここに戻ってくることになるやろなー。

昨夜は仕事帰りに寄り道をして遅くなったのでNew Fortune Cookiesでお持ち帰りを買って帰った。豆腐、ピーマン、おナスの詰め物、カニ、えび、豆腐のすり身揚げ、あんかけ魚貝のカタ焼きそばなど、どれもこれも美味しくて、自分では家で作ろうとしない料理ばっかり、残りも今さっきいただき、二日に渡って堪能させてもらった。

実際4年前に香港に行った時、行き当たりばったりで人で賑わっていたレストランに入って「ロンドンのチャイナタウンかQueenswayでも、ここ以上においしい料理が食べれるわ」と思ったのを思い出す。香港人が聞いたら怒るやろうけど。

中華レストランが多いことを知らずにここに住み出した私達。家の近くにこんなにも美味しい中華レストランが多い事に感謝しないではいられない。

カレー

「ロンドンではみんな日本のカレーって言えばカツカレーの事と思ってる。全然わかってへん!」と次女が鼻息を立てながら言う。

彼女が高校生の時、一度ランチに日本のカレーを持たせたら「あ、カツカレー食べてんのん?」って友達に言われたので「カツカレーはパン粉で揚げた豚肉をカレーの上に乗せるやつやけれど、私が食べてんのはカツなしの普通のカレーライスやで!」と説明。でも相手はカツカレーイコール日本のカレーと思いこんでいるので、目が点になっただけで全然わけがわからなかったらしい。

他にもアジア料理を出すお店でカツカレーを注文したら「チキンですか?ポークですか?」と聞き返され「はーって感じやったわ!」とまた次女が言う。

長女に至っては「カツカレーのソースなしをください。」って言ってる人を見たことあるらしい。それは単なるトンカツやって!

日本のカレーはロンドンでも知る人ぞ知る、人気のある食べ物になってきている。

今まだあるかどうか知らないが、今年のはじめ頃までは大手スーパーのMarks and Spencerでもパックに入った日本のチキンカツカレーが売られていて、買っている人も何人か目撃した!

他のスーパーSainsburyのチキンカツカレーにはココナッツミルクが入っているらしい。それを見た長女は「あれは日本の味と違う!」って怒っていたけれども、こうやって現地になじむ味になっていくんやろうね。

日本でお馴染みのCoco一番もロンドンに進出してきている。この間Coco一番の前を通ったら結構人が入っていて賑わっていた。

日本のカレーはこれからもっと人気がでてくるかも。

我が家もみんな日本のカレーが大好きだ。特にカレーを作った翌日、更に味がしみて美味しくなっているカレーを朝ごはんに食べるのが大好き。

私がやる気のある日は、ちゃんとだしを作ってから残りのカレーをカレーうどんにしていただく。そんな時は家族のみんなにめちゃくちゃ感謝される!

嬉しい反面、本格インドカレーでもなく、日本にあるカレー専門店でいただくようなカレーをいまだに一から作ったことのない私は、ちょっと後ろめたい気分になるのも事実。

日本のカレーはインドからイギリスに伝わったカレーが、イギリス風にアレンジされて日本に伝わったらしい。味が変化しさらに美味しくなった日本のカレーが、今イギリスに里帰りしている現状がなんか面白く感じられる。

韓国

今年になってからNetflixで韓国ドラマをよく見るようになった。

特にCrash Landing On You(愛の不時着)を見てしまってからは韓国ドラマへの熱が更に高まり、ロックダウン中ということもあって次々と話題作を見始め、挙げ句の果てに韓国語の勉強も始める事に!

主役のHyun BinとSon Ye-jinの息のある演技がよかったし、キャスト全員味のある演技を見せてくれたり、切なさを感じさせる北朝鮮と韓国人の恋愛物語と言う脚本のうまさ、もーめちゃくちゃはまった。今でも時々、好きなシーンだけを飛ばし見してしまう。

思えば私にとって韓国はいつも近くにあった。両親の別居に伴い14歳の時隣町に引っ越しをした。そこには在日韓国人の人たちが多く住んでいて、私が転校した学校は日本人と在日韓国人の生徒の数が半分半分で、韓国籍の生徒はみんな通名ではなく本名を名乗っていた。

そのおかげで韓国人の友達がたくさんでき、韓国文化に触れ、学ぶ機会に恵まれた。

初めて、韓国人の友達の家に行って、キムチを食べたのを今でも思い出す。たんぽぽのキムチも食べたことがある。辛いと思いながら食べたけれども、痩せ我慢をして「全然辛ないわ。」と言い切ったことも覚えている。

中学の時は、かっこいい韓国男優以上に男前な同級生がずーっと好きだったし。

でもあの時はいつも近くにあった韓国語を勉強しようと思ったこともなかった。韓国語に魅力を感じるようになったのは、韓国が国を挙げて力を入れている韓国ドラマ、映画、Kポップの世界デビュー、普及が影響してるんやろうね。

「なんでもっと自分の国の近くの国の言語を勉強してこなかってんやろー」と最近よく後悔する。イギリス人がフランス語を、ブラジル人がスペイン語を学ぶように!

韓国ドラマとKポップのせいか最近ではヨーロッパでも韓国語を勉強している人が増えている。

次女にも二、三人韓国語を勉強している友達がいるし、一人は大学で韓国語を専攻している。「韓国人のボーイフレンドが欲しい!」って友達もいる。これもNetflixの影響かな。

おかしいのは、私のレバノン人の友人N。その彼女は友人の中でも飛び抜けておしゃれで、綺麗で、いろんな文化に精通して、クールな女性。その彼女が韓流にはまった。「韓国人俳優ってめちゃくちゃかっこいい!レバノン人のママ友のLも韓国人俳優Lee Min-hoの大フアンやで~」って言いながらLee MIn-hoの写真を見せてくれた。Hyun Binのフアンがインスタで写真を投稿すると二千人ぐらいのlikeの中にその友人の名前があったり、韓国ドラマの人気がここまでとはほんとにびっくり。

そんなこんなでYou Tubeで日韓夫婦が作る動画も時々見るようになった。特にSean Ami やEunSaTVがお気に入り。彼ら夫婦や双方のご家族の愛情に見ている私の心までも暖かくなってくる。今政治的に日韓関係は冷え切っているけれども、国民同士の交流はずーっと続いている。特に双方の若者には偏見もなく、隣国の文化に純粋に興味を持っている人が多いと思う。

外国人として異国に住むと自分の出身国と自分の滞在国の関係が常に気にかかり、平和が続いて欲しいとつくづく願う。特に日韓の国際結婚カップルの人たちは今の日本と韓国の政治情勢に落胆して、心痛めているんだろうと思う。1日も早く日韓関係が改善されていく事を心から願う。お互いの国には美味しい料理を始め、心温かな人々に魅力のある文化がいっぱい、お隣さんとは仲良くしていたい。

料理

つくづく思うけれども、日本の主婦はすごい。

毎日朝、昼、晩ご飯以外にお弁当も作る。日本にいる友達は「手抜きも多いで~」とか言うけれども、毎日それをするのは大変だ。

ましてやフルタイムで仕事をしながら、料理もこなすのは至難の技。

確か私のおばあちゃんも、おじいちゃんが在宅勤務だったため、ほんとに毎日、それも同じ時間に昼ごはんを用意していたのを覚えている。昼ご飯の内容は、うどんやお蕎麦だったけれども、それでも毎日、もしくは一年のうち363日は家族のために料理をしていた。

ごくたまに、毎日の夕食作りはご主人が担当ってな話を聞く。奥さんの方が料理が苦手か、もしくはご主人が料理がすごく上手で、自分が美味しいものを食べたいから自分が作った方がいいと思って作っているケース。ほとんどがイギリス人同士のカップルだ。

学校でもお父さんがスナックを用意してくれるっていう子が何人かいる。

そおいえば、昔イギリス人のママ友が「料理は毎日しないけれども、私が食事の用意はするよ!」と言っていた。出来合いのものを買って、レンジかオーブンで温めるって事やね。

全て手作り派には受け入れがたいかな?

ある日同僚と前の晩に何を食べたかって話になった。新婚早々で共働きの彼女、その晩は家に何もなかったらしく「昨日はめちゃくちゃ疲れてたから、Egg with soldiersを食べた。」って言うので、「サラダかなんか野菜は食べへんだん?」と聞くと本当に卵だけだと言う。Egg with soldiersはゆで卵スタンドにゆで卵を入れて、スプーンで卵の頭の部分を割り、細長くきったトーストをゆで卵につけて食べる、イギリスらしい一品。それを聞いた時日本人の、食べるのが大好きな私は一瞬「うそーそれだけ?」っと思ってしまったけれども、確かに私がご飯の上に目玉焼きを乗せて、お醤油をかけていただくのと同じやねと妙に納得もしてしまった。

とにかく日々のご飯作りは大変だ。料理人もたまには楽をしないと!

長女が作ってくれた坦々麺

ロックダウンになってから、友達のほとんどが口を揃えて「家族が揃うのは嬉しいけれども、毎日朝、昼、晩と料理ばっかりしなあかんから、めちゃくちゃ忙しい!」と嘆いていたのも思い出す。

でも時には手を抜かないと毎日はやってられない。

ロックダウン中の我が家は、娘達が試験期間だったから、私は頑張ってほぼ毎日ご飯の用意をしていたが、今は試験が終わったので、料理好きな長女ができる日は彼女が夕食を作ってくれている。今まで料理をしてこなかった次女にも、当番を作って週に一回夕食を作ってもらうことにした。長女のインタンシップが始まるまでの一ヶ月間の贅沢だけれども。

次女が作ってくれたQuesadilla

でもまた食べさせる人がいるから、料理人の腕もあがっていくのも事実。

もし「今何が一番食べたい」かって聞かれたら、「誰か料理上手な日本人のお母さんが作る手料理が一番食べたい。」って答えるやろうなー。あー食べたい母の味!

おやつ

イギリスの小学校では午前中の休憩時間におやつを食べる習慣がある。私が働く学校でも20分の休憩があって、子供達はその時に各自持参したおやつを食べる。

おやつ(スナック)の定義は家庭によってかなり異なるから面白い。日本ではおやつと言うとお菓子的な印象があるが、うちの学校では、先生方の指導もあってか、低学年の児童は果物、ステック状に切った野菜、レイズン、チーズなど栄養価の高い食品を持ってくる。高学年になっていくとポテトチップス、ビスケット、ポップコーンなどいわゆるお菓子を持ってくる子が増えていく。

日本人の私も、はじめは子供のおやつに何をもたせたらいいかよくわからず、ハムサンドウィッチとか、おかき、果物をベースにしたお菓子、ヨーグルトなどをもたせていた。

親として自分の子供が家で何を食べているか把握していたので、おやつには甘いものを食べてもあまり気にならなかったのが本音。

でもこの間、うちのクラスの子供達のおやつの中身を見てたまげた!

セロリときゅうりのステック、半分に切った人参のみ、ミニトマトだけを持ってきてる児童が4人ほどいた。その中の一人が「見て、私のスナック、セロリだけ!こんなん食べたくない~!」と自分の持ってきたセロリを私に見せた。「確かに!」

その子の隣にはチョコチップ入りのクッキーを食べていた子が座っていたからなおさらそう思ってしまった。

その子の親は、自分の娘があまりにもよく食べるので、子供の食事に糖質制限をしてるらしく、「給食のデザートの量は少なめにしてください。」と学校にも頼んできた。親として我が子の健康管理をちゃんとしているのは素晴らしい。でも食べ盛りの子、それも標準サイズのその子がなんか気の毒に思ってしまう。

野菜や果物しか持たせてもらえない子供は、他の子がビスケットやポップコーンなどを持ってきたら、羨ましさもあって、いつも私にその事実を報告しにくる。これだけはそれぞれの家庭の考えがあるから仕方ない。でもその子達の気持ちもよくわかる。

健康志向のスナックといえば最近は、韓国海苔を持ってくる子が多い。おやつにぴったりなサイズの物がスーパーでも売られているし、甘いものじゃないから親も喜んで買っている。時々子供達が海苔を一まいくれたりしたら「あー海苔がおやつになるなんて、不思議な感じ!」と時代が変わったのを痛感する。

私が今までに見た中では、アラブ人、イラン人、トルコ人の子供たちが持ってくるスナックが栄養価と中身において一番レベルが高いように感じた。美味しそうな乾燥ナツメヤシやイチジク、オリーブ、野菜とホムス、チーズ入りのパイ。これも食習慣の違いやね。

もう名前は忘れたけれども、子供の頃あられの中に時々混ざっていた、小さな乾燥した魚や昆布をおやつに食べさせられたことを思い出した。決して美味しいとは思ってなかったことも。

せめておやつぐらいは好きなものを食べさせてあげたいと思う反面、毎日ポテトチップスやチョコレートを持ってくる子を見ると、首を傾げてしまうのも事実だ。

すべは適度にするのが一番やね。

日曜日

昨日は青空が透き通るぐらいきれかったので、またテムズ川のほとりを歩くことにした。

ロンドンに住んでかなり長いけれども、まだまだ知らないエリアがたくさんある。

昨日はロンドン西部のチュジックを超えて、さらに西のキューガーデンの近くまで、今まで行ったことのない道を歩いてから川沿いを散策した。

チュジックあたりのテムズ川のほとりは、素敵な住宅街、木々に囲まれた歩道、市民菜園場と田舎にいるような光景が広がる。

この辺りのテムズ川はまたひと味違う

川辺のベンチで読書をする人、緑のスペースでピクニックをする人、サイクリングを楽しむ人とどの人も天気の良い休日を満喫しているように見える。

月曜日からまた、一度に一緒にいられる人数が子供も含めて6人までと決められたので、昨日の日曜日は、大勢の仲間と一緒にいられる最後のチャンス、だからか大人数の若者や家族連れが目立った。

こうして歩いていると娘達が「なんか京都の鴨川近くにいるみたい。」と言いだした。あまり高くない建物が多いし、家の前のお庭のお手入れが行き届いてるおうちがあって、確かに川のある日本の町を思い出させる。

川、山、海が見えるって本当に心がなごむ。

昨日は日曜日なので、パブの多くがローストビーフ、ローストチキン、ローストポーク、ローストラムなどのサンデーローストを出していた。

運よく、サンデーローストを出しているパブを見つけ、ローストチキンをいただいた。

タイムとレモンの風味がきいたチキンは、予想以上に美味しく仕上がっている。

ヨークシャープデイングの下には
付け合わせの野菜がいっぱい

日曜日にローストをいただくこのイギリスの食習慣が私は大好きだ。イギリス人じゃない私たちもいつの間にか日曜日にはローストを作るようになった。と言っても夫がオーストラリアに行くまではずーっと彼の仕事。ベジタリアンの夫が自分では食べたことのないローストチキンをここ5年はほぼ毎週作ってくれていたが、味見をしなくても美味しく、上手に焼けるようになってきたからすごい!

ローストってお肉はもちろんのこと、付け合わせのローストポテト、ローストパースニップ、シュークリームのシュー生地に似た食感のヨークシャープデイング、お肉の焼き汁を使って作るグレイビーソース、ブロッコリーなどの茹で野菜もローストの楽しみ。

料理は得意じゃないっていうイギリス人の友人達も、さすがにみんなローストポテトは上手に作る。

私が彼女達から教わった調理方は、じゃがいもを半茹でした後水けをきり、粉ふきいも状にする。オーブン皿に油をひいて熱々に熱し、そこにじゃがいもを並べて高温で焼く。そうすると外はカリッとして、中はホクホクのローストポテトが仕上がる。これが最初はけっこう難しいく、私も最近になってやっとなんとか上手に作れるようになった。

とにかくローストランチは、イギリスにきたら絶対におすすめ。

テムズ川のほとりの散策、パブでのサンデーロースト、この後紅茶とスコーンでもと思っていたが、暑くなってきたので、喉が求めたのは冷たい飲み物だった。

とにかくイギリスらしさが感じられた日曜日の午後だった。

朝ごはん

昨夜から今朝の朝食がめちゃくちゃ楽しみだった。

ロックダウン時、近所のペイストリーシェフが自宅でシナモンロールを作って売り出した。クロワッサンやパンオウチョコラ作りが専門のそのシェフが作るシナモンロールは、上品な味にまとまり、甘すぎずとても美味しい。その上いつも感じのいい若者が、自転車に乗って配達してきてくれるので、巷ではたちまち人気が出だした。今朝はそのシナモンロールのデリバリーを頼んで、ウキウキ気分。

シナモンロール発祥の地スエーデンでは10月4日はシナモンロールの日に認定されているらしい。国民食扱いだ。

シナモンロール

カルダモン入りのシナモンロールもある。コーヒーとも紅茶とも相性がいいシナモンロール、週末にゆっくりといただくのには最適で、今朝も味を堪能しながらいただいた。

我家では、家族全員朝食に食べるものが違う。私の場合は、トースト、オレガノ風味のトマトと卵炒めとコーヒーか、ブルーベリー、くるみ、バナナ、蜂蜜を入れたオートミールとコーヒー、あといいパンがあれば、トーストしたパンにトマトをこすり、オリーブ油と塩をかけていただくスペインのカタロニア地方のパンコントマテとコーヒーというこの三つのパターンが多い。

私の夫は、ミューズリイとヨーグルトの他、パンにバターとベジマイトというイースト菌を原料にしたオーストラリア産の発酵食品を塗って食べることが多い。

娘達は基本、朝食があまり好きではない。天然酵母で作られたパンはまだ食べるが、普通のトーストはあまり好きじゃない、むしろ前日の夕食の残りがあればそれを喜んで食べる。長女の場合カレーが残っている日は、寝る前から次の日の朝ごはんを楽しみにしている。次女はパンケーキがあれば最高って感じ!

私が日本人で、好きでなかったからか、うちの娘達はロンドン育ちだけれども、シリアル類をあまり食べてこなかった。本当は和食を食べるのが夢なんだけれども、前日に和食を作ってない限り、朝からご飯をたくことはまずないので、ご飯とお味噌汁のコンビは夢のまた夢。

だから日本に帰った時、友人S子のおうちにお泊まりに行くと必ず和食の朝ごはんで迎えてくれるので、行く前からそれをとても楽しみにしている。

イギリスの朝食、English Breakfastはけっこう好きだけれども、ベーコン、ソーセージ、目玉焼き、焼いたトマト、マシュルーム炒め、インゲン豆を甘くトマト味で煮込んだベイクドビーンズとトーストはさすがに毎日はいただけないし、体によくないことは今や周知の事実だ。

少しおしゃれなカフェに行くと、最近はアボカドトーストとポーチドエッグとか、グラノーラ、またはチアシード類が人気。時々家でも作るけれども、なぜか習慣にはならない。

いろんな国の朝食の中で、私が好きなのはトルコの朝食だ。新鮮なパン、チーズ、オリーブ、きゅうり、トマト、卵焼き、蜂蜜、数々のジャム、ソーセージに紅茶。かなり寒くなる東部ではスープも朝にいただく。

トルコ人の友人Pが用意してくれたお茶

トルコ人の友人宅に午前中遊びに行くと、いつもこれらを用意してくれている。トルコ人の友人Gのご主人は、彼女が何を作っても喜んで食べるが、週末の朝ごはんだけはトルコの朝ごはんが食べたいらしい。材料さえあればここロンドンでも簡単に用意できるけれども、トルコで味わえるような美味しいパンはロンドンではなかなか手に入らないのが残念。

私は何を食べようと、朝はいっぱいのコーヒーから始めたい。

明日の朝は何を食べようか、パンがなくご飯が残っているので多分お茶漬けか焼飯のどちらかになる。朝起きたときの気分で決めよーっと。

金曜日の夜

働きだしたら、金曜日の夜の有りがたさをつくづく感じる。

朝も「Happy Friday!」とみんな笑顔になる。

今日はランチもサンドウィッチ、10分休憩しただけ。一日中止まることなく働いたので家に戻ったら急に疲れが出てきた。こんな夜は出前を取るに限る。

今夜はインド料理と決め込んでいたけれども、お目当てのお店は他の出前サービスを通じて注文しなければならない上、料金設定も高め、待ち時間1時間以上と言われたので、急きょプラン変更、ペルシャ料理を頼むことにした。

日本ではあまり知られていない料理だけれども、ペルシャ(イラン)料理はおくが深いと思う。

7世紀にアラブ軍がペルシャ帝国を征服した時点では、ペルシャの方が文化的には洗練されていたらしく、アラブ人がペルシャ人から学ぶ立場にあったという。たくさんのペルシャ人シェフがバグダットにあるカリフの宮殿にやってきて、アラブ人が今までに口にしたことがなかった、お肉と野菜や果物との煮込み料理、アーモンド、くるみ、ピスタチオなどのナッツを使った甘くてとろみのあるソース、いろんなスパイスで味付けされたお肉料理などを紹介していったという。

スペイン、カタルーニャ地方の郷土料理である黄身とナッツでとろみをつけたペピトリアソースや北アフリカ料理の鶏肉や羊肉とプルーンやナツメヤシの煮込み料理タジンも、その調理法の起源はペルシャ帝国らしい。アラブ世界にやってきたジェノバやベネチアの商人によってヨーロッパに広まっていったようだ。

イラン料理といえばサフランやシナモン、コリアンダー、dillがよく使われて風味が豊かで、乾燥ライム、ザクロなどを使い味付けが甘酸っぱい。イスラム圏ではどこでも食べれるキャバーブ(カバブ)料理、ことイランのキャバーブは味が繊細で、私の中では格つけが上位。

イランといえば、イランに行った事がある旅行者や旅情報のYou Tuberの多くが、「今まで行った国の中でイランほど人に親切だった国はない。」という。まだいったことがないけれども、食べ物、文化、歴史と惹かれる要素がいっぱいで、いつかは必ず行ってみたい国だ。

とにかく昨夜は羊肉のミンチと鶏肉のキャバーブ、ほうれん草とひよこ豆のスープなどをいただいた。おいしー!時々無性に食べたくなる味だ。

その後はwhite portとtonic waterを飲みながら、Netflixで北アイルランドが舞台の犯罪ドラマThe Fallを2話も見てしまった。17エピソード中、15番目!寝る前に見ないほうがいい種類のドラマとわかっていても、その後の展開が知りたくてついつい見てしまう、やめられない。

北アイルランドとペルシャの距離があまりに遠く感じるほど見入ってしまって、見た後も犯罪者の心理について、娘達とあれやこれやと話していた。脚本が上出来!

疲れた体に美味しい料理、その後重いドラマ観賞、もちろんこの後は寝るしかなかった。