ハーフの子を持つ 1

先日BBCニュースで自分とは外見がかなり異なる、ハーフの子を持つ親の悲しい体験談を読んだ。

ロンドン在住のある黒人の英国人女性と白人の英国人男性のカップルにとても可愛い赤ちゃんが生まれた。ここまではよくある事だけれども、その赤ちゃんはハーフだけれども肌の色がとても白くて一見してハーフには見えなかった。その女性が自分の赤ちゃんを抱いていたらいろんな人から「この赤ちゃんは誰の赤ちゃんなの」から始まって「肌の色が全然あなたと違うやん、親子って全然わからんねー」と心ない言葉を投げかけられた。

時には我が子のナニーと間違えられたり、見知らぬ黒人男性が「なんで白人の子供を産むねん」と言いがかりをつけてきたりする事もあったという。

「心ない言葉を投げかけられて気が滅入ってきた」というその女性の言葉に私も悲しくなってくる。

また別に三人の子供を持つスペイン人女性とナイジェリア男性のカップルの体験談があった。

彼らの三人の子供はそれぞれ肌の色が全然違うらしく、末っ子の娘さんが一番お父さんの肌の色に近い。ある日お母さんが末っ子をプレイグループに迎えに行って娘を抱きしめていると、見知らぬ子がやってきて「あなたはこの子のお母さん?」と聞いてくる。「そうよ」と彼女が答えると

「この子ってすごく黒いけどこんなに黒くてもこの子の事愛してるの?」と言ってきたらしい。「何が辛いって可愛い我が子がこの会話を聞かなければならなかった事です」とその母は言っていた。

これらは人種差別、偏見が根底にあり、本当に胸の痛む話だ。

どの人の祖先でもいつかどこかでは異人種のDNAが入っているはず、誰だったか覚えていないが日本人のコメディアンが遺伝子検査を受けたところ、御先祖様の中にアフリカ人やインド人がいる事が判明した話を聞いた事がある。世界中の人間がこれを再認識できたら異人種に対しての偏見は減るんだろうか?

ハーフであるうちの娘も親と外見が違う為に一度嫌な経験をした事がある。まだ12歳で中学生になったばかりの頃の事、いつものように時間のある日は夫が長女をバス停まで見送りにいった。その日は寒かったのでバスを待っている間長女は夫に抱きつき、夫は長女の背中をさすりながら暖をとっていた。我が家ではいつも手をつないだり、抱っこしたりするのが日常的であたり前の事だからこれになんの疑問も湧く事もなかったし、そんな親子の光景は世間に山とある。

でもそれを見ていた誰かが「中年の白人男性が若い子供と戯れあっている」と警察に通報した。外見が少し異なる二人はその通報者には親子には見えなかったんだろう。夫は小児性愛者として疑われたのだ。

警察がやって来て長女を夫から引き離して横に連れて行き「この男性は誰か」と質問した時は夫と長女は怒りよりも恐怖でいっぱいだった。誤解はすぐに解けて警察は謝って来たが、「誰かが通報したら警察は必ず動かないといけないので仕方ない事、娘さんが動揺しているのならカウンセラーを紹介しますよ」と言って去っていった。

その後夫はオフィスに着いてこの事を同僚に話すと、ジャマイカ人の夫との間にテーンエイジャーの息子がいるイギリス人の女性が「私も息子と一緒にいる時、親子と思われない事はしょっちゅうあるし、息子は時々警察に呼び止められるわよ。自分の自転車にのっている時、少々高価な自転車なのでこれは誰の自転車かと警察が聞いてくるらしいよ。はじめはやるせなかったけれども今はもうまたかと慣れてきたわ」と自身の体験談を話してくれたという。

人種の坩堝であるロンドンはハーフの子や親にとってはすごく住みやすみ街だ。私が出会った若者の半分以上はハーフだし、どの子も自分の生い立ちをすごく誇りに思っている。

それでも同じハーフの子を持つ親としてこんなニュースを読むと本当に心が痛む。でもわかっている、大切なことはなんであれ常に愛を持って世の中と向き合っていかなければならないことを。

東京オリンピックを見ながら思う事

東京オリンピックが始まって1週間がたった。ここにきて日々日本人アスリートの大活躍に目を見張っている毎日で、メダルの一覧表を見ていて日本が第一位になった時は大喜び!

その中でもスケートボードの堀米雄斗と西矢椛、体操体操男子総合の橋本大輝のパフォーマンスには大感激。みんなが自分の子供の世代だからか、その辿ってきた道のりが想像できるだけに感激もひとしおだった。特に西矢椛ちゃんはまだ13歳という若さ、この10年間私がボーッと生きていた間に彼女は大好きな事をして夢を見つけて、夢実現にむけてひたすらに頑張ってきていた。試合後彼女は「ご褒美には焼肉が食べたい」と言っているところもとても自然体でいい感じ。

当たり前だけれどもアスリート達はオリンピック選手になるまでに長く厳しい練習人生を通ってきている。私は子を持つ親としてそこにアスリートを支えた周りの人間、特に親のサポートは軒並みならぬものだったことを、同じようにスポーツや音楽をしている子を全力でサポートしている友人達を近くに見てきて痛感している。

昨日も娘がフェンシングをしている友達とお茶をしていてその話になった。友人Sの次女はある時はアメリカのジュニアフェンシン界でランクング第17位まで上りつめたけれども、その後右肩を骨折してしまって練習ができなくなりその年はオリンピックの夢が遠のいてしまった。

今やっと練習が再開できるようになってひたすら練習を重ねているけれども、ランクを上げていくには試合をし続けていかなければならず、その為国外であろうと友人が彼女の娘をいろんなところに連れて行って試合に参加している。

まさに親子、二人三脚で頑張ってきている状態。

だからか今回のオリンピックではアスリートの親の事をよく考える。柔道の阿部一二三と阿部詩の兄妹が同じ日に金メダル獲得した時の彼らのご両親、ご家族の感激と言ったら最高のものだったに違いない!ほんまにすごい!

オリンピックを見ていて長女に「あーなんでもっとスポーツに力入れてくれへんだん」と言われてしまった。運動神経がいい長女はどんなスポーツもそこそこのレベルでプレーでき、学校の代表選手としていろんな試合に出てきたので、もしかしたらと思わせる可能性は少しはあったかも!? 夫も長女に「あーテニスをやらせてたらよかったね」と思ったことは何度かある。

まあ今になってはすべて後の祭りだけれどもね。

そお言えば私の弟も若い頃「自分は結構ラグビーができたから、もし親のサポートがあってあのまま続けていたらプロになれてたかも」って言ってたことがあったけ! 

今オリンピックを見ながらこんな思いを持ってる人は結構いるんやろーね。

とにかく今しばらく続くオリンピック、アスリートの快挙を見るのが楽しみだ。

と言っても今までのオリンピックはロンドン大会を除いてはいつも夏休み中、日本にいてテレビ観戦をしてきたので日本人選手を中心に見てきた。でも今年はロンドンでテレビ観戦しているので見れるのもイギリス選手が参加している競技が中心、と言うかそれしか見れない状態。

その上オリンピックを放送するBBCは今回の東京大会ではいろんな競技の放送権が取れなかったので、イギリスでは見たくても見れない競技がたくさんある。

あっ今イギリス選手の金メダルのニュースが入ってきた! 女子自転車BMX レースでイギリス人のBethany Shrieverが金メダルをとった。

この人はリオオリンピック後にサポート資金が止まり、この5年間はクラウドファウンディングと学校勤務で練習資金を作ってきた。「ここにこれただけでも偉業なのに、メダル獲得、それも金メダルなんて最高」と言っている彼女が眩しく見える。ほんまにそうや!

これだからオリンピックはすごい、見ている側までパワーをもらえる。ここしばらくはアスリートの奮闘に心熱くしながら観る日が続きそうや!

週末の決意

今週末は仲良しの友人Aの別荘、というより田舎にあるお屋敷に招待してもらい娘達と夢のような時間を過ごさせてもらった。

南アフリカ出身の友人Aは滅多に出会うことがない、ポジティブで寛大、エネルギッシュな人物。

人を褒めることに関しては超一流で彼女の一言一言は直球でハートに入ってくるので、彼女といると力が湧いてくるしそんな彼女は今ライフコーチになる勉強をしている。

友人Aと彼女のご主人Aはまだ若い頃にワーキングホリデーでロンドンにやってきた。南アフリカでソーシャルワーカーの資格を得た彼女はロンドンでもソーシャルワーカーとして働き、家庭に諸問題を抱えている若者の面倒を見てきた。その頃のご主人はまだマーケットの靴屋さんでアルバイトをしていた。でもその後すぐにご主人は某銀行に就職し、そこから全速力で仕事をし大成功を収めて一財産を築いた。

この夫婦がすごいのは大金持ちであるにもかかわらず、恵まれていない環境に身をおかざろう得ない人々の苦境を理解している事。だからいろんなチャリティーや学費支援をし、ホームレスの人の為に炊き出しをしたり社会福祉にすごく貢献している。

とにかく彼女の別荘は今まで足を踏み入れた素晴らしいお屋敷の中でも一番規模が凄かった。

遠くに見えるのはサリーヒル

いくつお部屋があるとかよりも、食前のドリンクを楽しむお部屋、食後に寛ぐお部屋、お客さんをおもてなしする為の部屋、ゲームを楽しむ部屋、ジム、サウナと全てが人をもてなす、休暇を楽しむ為に作られていた。中にはロンドンにあるチャールズ皇太子の公邸の一室と同じデザインのお部屋もあった。

ロックダウンでもこんなお家で過ごせたら最高やね。外にはテニスコート、プール、ローズガーデン、松の木林……あー世の中お金がすべてじゃないけれどもお金があるとこんなにも素晴らしい環境も手に入れる事もできるからすごい。

お金持ちの友達に共通しているのはみんなお金を増やす方法を知っていること。げんに友人Aの長女はまだ20歳だけれども株の売り買いでお小遣いを増やしている。お金を動かす方法を知っているからだ。

あまりにも綺麗な空間に身をおいた今の私は小口投資から始めようと決心した。私の長女も銀行に預金しておくよりも、環境問題に取り組んでいる小さな企業に投資する方がいいと自分で考えてお金を管理している。経済の知識がほとんどない私、というよりお金を動かして利益を上げるという事も考えてこなかった私。ちょっと夢を見るためにここらで株の勉強をしてみようか?

友人Aはいつか自分の家にローズガーデンを作るが夢で、そのビジョンをずーっと見続けてきた。自分の生きたいビジョンを描く事も最近はあまりしてきてこなかった私。でもここらでビジョンを描き直し、小口投資も始めないと!友人Aの夢のような別荘は私にまた夢を持ち続けることの大切さを教えてくれた。

この感じが大好き!
どこからも水音が聞こえる!
図書室?

屋外のカフェ

コロナ禍の中、最近のロンドンでは屋外にテーブルを置くカフェやレストランがとても増えてきた。

フランス、イタリア、スペインなど大陸ヨーロッパで見られるような屋外、路上にテーブルを置くカフェやレストランは長くロンドンでは見かける事がなかった。通常ロンドンのカフェやレストランが路上にテーブルを置く場合は地域の自治体にお金を払ってTable and Chairs Licenseを取得しなければならない。その上雨が多いからかなぜかイギリスには長く屋外のカフェが存在しなかったのでこの傾向はとてもありがたい。

Al Fresco=屋外での飲食って本当に気持ちがいいし、誰もが好きなはず。私は子供頃うちにあったゴッホの’夜のカフェテラス’のプリントをずーっと見ながらその風景に憧れを抱いていた。

はじめてパリでカフェを見た時は大感激したのを覚えてるし、私と同じ思いをした人はきっとたくさんいる事と思う。

とにかく今カフェに行く場合できれば野外テーブルに座るようにしている。

外にテーブルがあるカフェはお洒落な店が集まっているエリアはもちろん、最近新しく再開発されたキングスクロス駅やパデントン駅周辺、公園内にも増えた。

私が最近行って感動したカフェはサウスケンジントンにあるBrompton Food MarketとハイストリートケンジントンにあるThe Ivy Brasaserie。

Brompton Food Marketの外観はごく普通の小さなカフェだけれども、奥に進むと大きな庭にいくつものテーブルとカフェが並んでいる。テントも貼っているので雨が降っても大丈夫だし、食べ物も飲み物もみんなとても美味しかった。The Ivy Brasaserieはレストランだけれども午後3時から5時はカフェタイムで、お庭にあるテーブルでアフタヌーンティーや紅茶とスコーンだけのクリームティーを楽しめる。

ちなみにこの近くにあるVictoria and Albert Museumの中庭にもカフェがあり、水の音と綺麗な木々、赤茶色の建物を見ているとまるでイタリアにいるようで超おすすめの場所だ。

夏晴れした今朝は日本にもあるLe Pain Quotidien、ベルギー生まれのカフェに朝食を食べに行った。繁盛しているのか立地条件のいいところにチェーン店がある。

今朝行ったのは最近になってお洒落なお店が集まってきているコンノートヴィレッジのLe Pain Quotidien。大きな木とフラワーバスケットの下のテーブルに座ってゆっくり朝食を楽しんだ。

このカフェは平日の午後にでも行くと近所のアラブ人のおっちゃん達が必ず二つぐらい席を占領して長居している。でも今朝は何人かが一人でコーヒー時間を楽しんでいてだけで穏やかな空気が漂っていた。隣にフランス人の老婦人がやってきて彼女がコーヒーを注文した時は一瞬ニースにいるような、ホリデーの気分になってドキッとした。

日本やフランスのように個人経営の個性的なカフェが少ないロンドンだけれども、こうして野外にテーブルを出してくれるならチェーン店であっても構わない。今年も日本に帰省できない私達家族は日々の小さな喜びとしてこの夏はカフェ時間を楽しむつもりだ。

この下でお茶タイム
公園のカフェ

サッカー欧州決定戦を観て思う事

先日の日曜日のサッカー欧州選手権の決勝戦、惜しくもペナルティーキックでイングランドがイタリアに敗れてしまった。国際試合で自分が住んでいる国の試合だから普段はサッカー観戦していないロンドンナーもこの試合は見た人が多かったはず、ロンドンはどことなく朝からもりあがっていた。

実際その日は朝から普段は見かけることのないタイプの、色白でみなよく似た髪型をしたイングランド国旗をマントのようにまとった若者のグループを何組かうちの近所で見かけた。

決勝戦を観に他所からロンドンまでやってきたグループだろう。多国籍都市ロンドンでも特に多国籍なこの辺りではそれらのグループの存在はかなり目立っていた。

そんなグループを見ながら「今日はイングランドが勝って~」と強く願った私。イタリアにもイングランドにも仲の良い友人がいるし、外国人の私にとってはどちらが勝ってもあまり感情的になる事じゃないけれども、この日はあまりにも多くの熱烈なイングランドサポーターを見かけたし、中には自分のサポートしているチームが負けると暴力的になって、対戦側のサポーターに絡み出す悪質なフーリガンがいるのもわかっているのでイングランドの平和の為にも日曜日はイングランドチームに勝ってもらいたかった。

そお思っているところに次女が「先週のデンマーク対イングランドの準決勝線にCとIも観に行ったらしいけれど、試合のあとイングランドのサポーターに絡まれたらしいいよ。唾とか吐いてくるフアンもいてたそう、ほんまに嫌やな」と言ってきた。

現在移動規制があるのでデンマーク人サポーターがロンドンにこれず、この事態を受けて在英デンマーク大使館が準決勝戦のチケットをいくつか調達して、在ロンドンデンマーク人に配り出した。

デンマーク人の知人宅にも大使館から連絡が来て、知人の子供達がデンマーク対イングランド戦のチケットをもらって観戦しに行った時にこれがおこったらしい。

こんな兆候があるだけにここでイングランドが負けたら、怒ったフーリガンが必ず暴れ出しそうなので、今宵はイングランドが勝ってくれーと思った人間は私だけじゃないと思う。

結果的に最後の最後、ペナルティーキックでイングランドは敗れてしまった。

この瞬間私はまた別の事を心配し出した。

ペナルティーキックを失敗した3選手が全員黒人選手だった為に、ここで人種差別的な悪質なコメントがソーシャルメディアに飛び出しはじめたからだ。

国挙げてのこの試合、チーム、サポーターそして彼らの生まれ故郷であるイングランドの為に一番貢献したかったはずのところに人種差別的コメントが出てきた。一番胸に刺さる言葉になったはず。一部のたちの悪い人たちの仕業というものの、もううんざりだ。

彼らの中の一人、マルクス・ラッシュフォード選手はまだ23歳の好青年。彼は自身も貧しい環境に育った為、ホームレス問題や貧困層の子供たちの飢え問題解決に積極的に活動してきた。去年の夏はコロナで学校に行けなくなり、失業した親の下まともな食事ができなくなった子供たちが夏休みも食べれるように政府に働きかけ、彼自身も多額の寄付をしてこの問題に取り組んできている。

こんな素晴らしい青年が苦しめられるのを観ていられない。ラッシュフォード選手は「ペナルティーキックの失敗は本当に無念で申し訳ない、自分の責任だから謝りたい。でも僕が僕であることは謝らない」と声明を出した。彼を絶対的にサポートするフアンもたくさんいるがこれを機にサッカーフアンじゃない私達親子もラッシュフォード選手を応援していきたいと強く思うようになった。

この夜、イタリアサポーターに暴力を振るったフーリガンがかなりいたらしい。

暴力を振るう人間はスポーツ観戦できないよう、人種差別的なコメントを出す者はソーシャルメディアが使えないようになるように規制ができたらいいのに。サッカー界もソーシャルメディアに圧力をかけ始め出した。

もうすぐオリンピック、自分の国単位じゃなく、頑張ってきたアスリートに敬意をはらって観戦していきたい。

スポーツについて思う

今年もウインブルドンの時期がやってきた。今回のトーナメントには大坂なおみは参加してないものの、惜しくも途中棄権になったけれども世界ランキング338位から一躍8強入り手前までいったイギリスの期待の星18歳のエマ・ラドウカヌの快挙で女子テニスは盛り上がっている。

昔日本にいる友人がウインブルドン観戦をテレビで見ていて「なんか観客は皆お洒落で、お金もちそうな人が多いね」と言ってきた。そうウインブルドンのチケットはかなり値がはる。

長女が言うには「イギリスのテニスは芝生の上でプレーされ、維持費がかかる芝生にアクセスするためには会員費を払ってテニスクラブに入っていなければならず、それ自体にお金がかかるのである程度裕福な人でないとテニスはなかなかできないスポーツ」であるらしい。

イギリスでのスポーツについて考えるとまだまだ昔の階級制度の名残りが残っているとつくづく感じる事がある。アクセスできるスポーツと経済力が関わっているからだ。

例えばラグビー、最近では変化があるかもしれないが、学校でラグビーを教えプレーするのはいわゆるパブリックスクールなんかの私立の学校かイギリス北部とウエールズのみ。

ラグビーが大衆スポーツのオーストラリアとは違い、イギリスのラグビーサポーターを見ていると自分の行っていた学校でラグビーをしていたなんとなく経済的に恵まれていそうな人が多く、どちらかと言うとラグビーはエリートのスポーツだ。

ラクロスもそう。アメリカでは人気があるかもしれないが英国では私立の学校のスポーツという印象がある。

あとお金がかかるスポーツはやっぱり、フェンシングや馬術。フェンシングを上達させるためにはいろんな国際試合に参加しなければならず、それにかかる移動費はかなりの額になる。仲良しのAの子供は16歳のフェンシング界ではかなり腕がよく、チームGBに近いところにいる。その子供のために友人は今週末はマンチェスター、再来週はリバプールといろんなところに娘をトーナメントに連れていく。まさに親のヘルプなしではランキングで上に上がれないシステムになっている。

私の働いている学校では、夏はテニスと陸上に加え、今まではラウンダーズというイギリスとアイルランドでしかプレーされていないソフトボールに似たスポーツが教えられていた。でも今年からラウンダーズに変わって2年生からクリケットを教えるようになった。

「外国人の子供が多いのでクリケットの存在自体知らない子がいる中、イギリスの国家的スポーツを教える事はとてもいい事、クリケットを教えるようになって良かったですね」と体育の先生に言うと「ラウンダーズと違ってクリケットには国全体に予算、お金がかけられていて、他校とかの試合をする機会もグーンと増えるし、プロの道にも繋がっていくからねー 」と答えた。

残念だけれどもスポーツとビジネス、お金の関係性は無視できない事実だ。

ではお金のかからないスポーツは何?と言うとやっぱりフットボール、いわゆるサッカーだ。

サッカーは本当に人気がある。特にヨーロッパや中南米、中近東では一番人気のスポーツなんじゃないかな? サッカーを語る時どうしてもイギリスのホリーガン的な熱狂的なフアンがちっとだけ否定的なイメージを与えてしまうので、ラグビーフアンの中でサッカーを毛嫌いする人も中にはいる。でもやっぱりサッカーは国民的スポーツ。

今ヨーロッパではサッカーの欧州選手権が開催されている。96年大会以来の準決勝進出を決めたイングランドは明日7月7日にデンマークと準決勝で対戦。ロンドンのウエンブリースタジウムでの対戦になるのでイングランドにとってはホーム試合で、感情的にはとても有利。明日は賑やかな歓声があちこちから聞こえてくると思う。

もうすぐオリンピックも開かれるし、しばらくはスポーツ選手の活躍に私も熱い思いを共有させてもらおー!

夫の和食

以前にも書いたけれども、只今私の夫は2019年の秋からオーストラリアのキャンベラに単身赴任している。

でも彼は自分の国と言えオーストラリアの中でも国家公務員以外は誰も、何もないと冷やかされている首都キャンベラでの生活にはもう長く限界を感じていた。ロンドンに戻ってきたいものの仕事はないし、一時休暇で戻っても今度はオーストラリアには戻れない。

この現状を打開する為にずーっと転職を考えていたら、同じ公務員でシドニーベースのいいお仕事がオファーされて夫は来週末にシドニーに引っ越しする予定、だった。

でもここにきてシドニーはまたもや都市封鎖ロックダウンになり、7月9日まではシドニーには行けない状態になった。まあこのコロナ問題には本当に振り回される。

とにかくキャンベラ住まいになって、彼が一番困ったのは和食が食べられない事だった。

キャンベラでも日本食レストランに何回かいった事はあった夫だけれども、家庭の日本食の味を知っているだけになかなか満足がいく味に巡り合ったことがないらしく、ある時から美味しい日本食を食べれるのも諦め状態になっていった。

私との結婚生活がもう30年という事は、その分だ彼が日本食の家庭料理を食べてきた日も多いという事。確かに自分の人生の中で和食がなくなるのは悲しい話!

夫は自分で日本食を作ると決めてからはいつも「レシピーを送って、何何作ったでー」と張り切って写真を送って来るようになった。

何もないと言われているキャンベラでも、アジアの食材を売っているお店には事欠かない。

まず初めに夫が挑戦したのは、ナスの田楽、サーモンのホイル焼き、それと蓮根のきんぴら。

「おー夫よ、和食作りをマスターしてくれたら将来私が楽できる、頑張って覚えて!」

カボチャ嫌いな私が作った事がないカボチャの煮物なんかも作ってる。「本当に和食が恋しかってんなー」

今回彼がシドニーに引っ越しするようになったといろんな友人に伝えたら、友人みんな「あー良かったね、なんかこれでロンドンに一歩近づいた気がするね!」と言ってくれた。

ロンドン行きの便が乗れるからか、シドニーがロンドンのように大都市だからそう思うのかわからないけれども、確かにちょっとだけロンドンに近づいた気分はしてくるから不思議だ。

シドニーにはロンドンからの友達もいるから、休日に会える人もいることになる。

まだまだ遠いところでの生活になるけれども、家族を思い頑張ってくれてる夫が元気で楽しく生活でくるように、また作れやすそうなレシピーを送らな!

夫が作った和食シリーズ
これは白菜とツナ?

演劇

今週は私が働く学校の5,6年生のSchool Play, 演劇発表会があった。日本語の発表会はこの場合英語ではSchool Playと表現する。でもこの語彙の違いからはかなり違った印象を受ける。

シェークスピアを生み出した英国ではDrama、演劇文化はかなり高く評価されていて、学校によっては幼少時から演劇の授業Dramaが教えられたり、たとえ小学校の劇の上演であっても音楽、小道具、舞台演出、衣装、ヘア、メイクとかなり本格的にこだわりを持って行われることが多い。

視聴者の中には時々親の知り合いのキャストエイジェントがいたりすることもある。友人の子供のSchool Playにもキャストエイジェントが見にきていて、子供の一人が幼少時のハリーポッター役としてスカウトされ、最終的に映画ハリーポッターに出演した事もある。

現に私の友人Sの息子も彼のSchool Playをみていたエイジェントが、友人の息子に映画「ナニーマックフィーの魔法のステッキ」のサイモン役にオーディションするように強く勧めた。結局友人の息子は最終オーディションで落ちてしまったけれども、友人の息子と競ってサイモン役に抜擢されたトーマス・サングスターはそれ以後大スターになっていった事と、私の友人の息子が子供の時の俳優トーマスに瓜二つの顔をしていたのを今でも覚えてる。

娘達の友人、知り合いの中にも大きな映画、テレビドラマ、ミュージカルにでた子が何人かいる。その中の一人は今や大女優に成長。School Playというものの将来の仕事につながるケースがあるから、好きで才能のある子供達には大切な経験だ。

演劇に力を入れている学校のSchool Playにキャストエイジェントがスカウト目的に来るのは知られている事実。私の学校でも上演前にDramaの先生が「女優になるきっかけが来るかもしれないからみんなベストの演技をしてね」と子供達に激励したいた。

でも教科としてのDramaはかなり難しい。私の娘達は二人ともGCSEでDramaを選択したけれども、国語であるEnglishとはまた全然違った観点から批判、分析力をつけて論文を書かなければならないので、それに費やす勉強時間がかかり、いくら演技が好きと言ってもそれだけで軽々しく選択する教科ではないとつくづく感じた。

とにかく私の学校もDramaに力を入れており、自治体が運営している地域の劇場を借りて子供達は2日間ミュージカル、オリバーを熱演し、私もメイク担当として参加した。

いつも感心するのは、リハーサル中に「この子は大丈夫かいな?」と思わせる子が本番では熱演できたり、ほとんどマイナーな役まわりの子供に限って「あんたそこまでメイクにこだわらんでいいよー」と思わすぐらい「とれそうだからもっと口紅を塗ってー」と何回も言いに来るから面白い。

でも二日間、四回の上演から得られたものはすごく大きく、最後の上演時の子供達の瞳は輝いており、私も熱い思いと素晴らしい時間を共有させてもらった。

これを機に女優を目指していく子はいるんかな? 確かにすごく輝くものを持っている子が一人いるので、私は今から彼女の将来にひっそりと期待している!!

また延期

6月に入ってから一気に夏に入ったロンドン、今週の週末も快晴が続いた。

後1週間で全ての規制がとけ、野外で30人以上の会合もOK、ナイトクラブもオープンする予定だった。けれどもここにきて今日あと4週間,7月19日までは今と同じ規制が続く事が決定。

私が働く学校では21日以降には全校生一斉で遠足、野外パーティー、スポーツデーが予定されているけれども、これもまた中止、延期になるのかな?

去年の夏ケンブリッジ大学を卒業した長女は、大学から「ゲストを迎えての卒業式は2021年まで延期します」と言われた。1年たった今、今度は「ゲストなしでいい人は来週卒業式を行います。ゲストを招待したいのなら秋まで待ってください」と通知が来て、先週学位証明書だけが郵送されてきた。

今年卒業する学生もいるし、これ以上待っていたらなんか卒業した実感が湧かないままの卒業になってしまう。唯一大学生活終了の証にオンラインで彼女のカレッジの学長が短い祝辞を述べて、これもまたズームで学生の家族と共に写真撮影が行われた。

イギリスの大学は学生が正装のガウンを着て厳かに行われる。外国人の私はこれを見るのをすごく楽しみにしていたし、当初はオーストラリアから孫の晴れ姿を見に義父も来る予定であっただけに、それができずにすごく残念。

新型ウイルスのせいで楽しみにしていた修学旅行、短期留学、体育祭、演劇が中止になったり、学生生活の楽しみが半減した世代にはとても気の毒に思う。若者の間では大学に進学する前や卒業後社会人になる前にギャップイヤーを取って1年間アルバイトをしてから長期旅行をしたり、インターンとして働くのが人気だけれども、特に今年はほぼどこにも行けないのが実情!

先月だったかイギリス政府が提示した旅行後自宅隔離をしないでいい国のリストに日本とオーストラリアが加わった。これには笑わされる、今日本もオーストラリアもイギリスからの旅行者は受け入れていないし、来てもらいたくないはず。オーストラリアの国境は来年2022年の6月までは事実上封鎖されている。イギリス近郊で帰国後自宅隔離をしなくていいのはポルトガルとイスラエルだけだった。でもここにきてポルトガルはまたリストから外されたし、イスラエルは今政情不安定なので今年はイスラエルに行く人は少ないと思う。

今外国旅行をするには行き、帰りにPCR検査をした上に帰国後何日か自宅隔離をしなければならない。私の長女もそれを覚悟で今ギリシャ旅行をしている。友人家族が別荘を持っているので宿泊費はいらないが、航空券とPCR検査代で通常以上に割高な出費になっている。

さて今年の夏休みはどうなるのかな? 私の周りはまだ夏の予定を決めかねている人が結構いる。自分の実家や家がある人は自宅隔離ができるので故郷に戻れるけれども、旅行者の場合各国の規制緩和を見守っている状態。噂では8月になれば規制が大幅に緩和されて、イタリアやギリシャ辺りは観光客を歓迎するって聞くが、どうだろうか?

あ~また大阪が遠く感じる。今度はいつ宇治金時のかき氷、わらび餅が食べれるんやろ~。

しばらくはお預け、また延期!

ロンドン東部、テームズ川北岸のお散歩

ロンドンに住んでもう長いけれども、まだまだ行ったことがないエリアもたくさんある。

天気が良かった先週末には新しいエリアを求めて、ロンドン東部に向かった。

石畳の小道がいい感じ

うちの最寄りの駅Lancaster Gateから地下鉄でBankまで行ってそこから出発。古い歴史を感じさせてくれるCity of Londonだけあって、近代的なビルの狭間に時々スペインやフランスで見られるような石畳の小道が現れて、そんな時はちょっとした旅行気分にさせてくれる。ロンクダウンで動けない状態が続いた身には嬉しい限りだ。

まず向かった先はSt Dunstan in the East。元々は1100年に建てられた教会。その後も増築されたが1666年に起こったロンドン大火事でかなりのダメージを受け、タワーなど増築、修理をされたものの、また第二次世界大戦で戦火に見舞われタワーを残し大部分が破壊された。

今では廃墟から公共の庭園として生まれ変わり市民の憩いの場にもなっている。

St Dunstan in the East
St Dunstan in the East

アーチ型の窓枠や、石造りの壁、青々とした樹木がとても美しい。

そのからどんどんテームズ川北岸を川に沿って歩いていくとSt. Katharine Docks についた。

「えっロンドンにこんなヨットが停泊するマリーナがあったん?」

かつてはスパイスやお茶などの高級品を扱う交易ドックだったもののその後衰廃し、再びお洒落なレストランやカフェが並ぶ観光地に変身したSt Katharine Docks。絶対におすすめの場所。

St Katharine Docks

マリーナの周りに軒を並べるレストランやカフェ。角度を変えて見たら、ここは絶対に南フランスに見える。外のテーブルでランチをしていたら、目の前のヨットでシャンパーンを片手に日焼けを楽しんでいる人たちが見えた。ここはほんまにロンドンと違う!水のある場所っていいな~

その後かつての古い倉庫街が今やお洒落な住宅街に生まれかわったWappingエリアを散歩。

テームズ川ぞいにあるマンションのバルコニーにはみんなテーブルと椅子が置いてある。

1800年代の倉庫を改造して作られたパブ

この辺りは金融街が近いので銀行で働く人たちが住んでいるのかな?

対岸のBermondseyにある小さなビーチが見えた。同じ街に住んでいながらも日々見てるものが本当に違うな~。この辺りには昔船乗りや密売商人が集まっていたThe Prospect of Whitbyのような古くから続くパブもあるので、下調べして予約をしていったら古い時代のロンドンをゆっくり味わうこともできるはず。

最後にLime houseからRegent’s CanalをVictoria Parkまで運河の横をずっと歩き続けた。

Victoria Parkではピクニックを楽しむ人でいっぱい。世界各国の屋台も出ていて珍しくウズベキスタンのお店もある。中でもフィリピン、アフガニスタンのバーベキュからはめちゃくちゃいい匂いがしてくる!こんな時のために一口サイズを売ってくれてたらいいのにね~。

この日は14、3キロ歩いたことになる。でも緑豊かなロンドンを歩くには疲れはあまり感じない。それに普段と違う事をするって大事なね~!