巻き寿司

私が担当する1年生のクラスでは、今年からFood Scienceと言って簡単な料理の授業を始めだした。今までに作ったものはピザ、サラダ、フルーツサラダ、イートンメスというイギリスのデザート、ギリシャ風野菜とチーズのパイ。

「あーいつかお寿司をしないと」と思い続け、やっと昨日のFood Scienceの授業に日本人の友人二人にも来てもらって、みんなで簡単な巻き寿司を作った、というより巻いてみた。

いろんな子がおやつに味付け海苔を持ってくるぐらいだから、みんな喜ぶだろうと思っていたけれども、こちらの想像を上回るぐらい子供達は大喜び!一人あたり二つぐらい作ったらいいかなと計画していた私が甘かった、みんなまあ巻くわ、巻くわ!五つも作った子もいたぐらい。

巻き寿司用の海苔を半分に切って子供達に渡したものの、みんな作る前からちょこちょこと海苔を味見して、いざ巻くとなった時には長方形のはずの海苔が、ほぼ正方形や変な形になっていたりとお笑いの連続。

あまりに海苔を味見をする子が多く、いざという時の為に買っておいたおにぎり用の味付け海苔を代わりに渡したら、どの子ももっと欲しいとおねだりしてきてそれも一気になくなった。

担任の先生も「これはピザを上回るぐらいの大成功」と言ってくれたぐらい、みんな喜んで巻き寿司を作ってくれたので、私も私の友人達もやり甲斐を感じてすごく楽しかった。

巻き寿司と言っても、学校で作るので生の魚は使えないし、と言ってきゅうりやアボカドだけではそっけないので、スモークサーモン、ハム、イスラム教徒の子にはチキンのハム、そして卵焼き、

キューピーマヨネーズであえたツナを用意した。なんとこのツナが予想以上の人気!やっぱりわがキューピーマヨネーズの味のおかげかな? 

このクラスの父兄の中には偶然にも新婚旅行に日本に行く予定だったけれども、ちょうど東日本大震災が起きていけなくなったご夫婦が二組いたり、大学時代に日本語を外国語として勉強していた人、日本に旅行に行った人、あと来学期転入してくる子のハンガリー人のお母さんは17年間東京に住んでいたとかで日本文化に興味を持つ人が多い。

先日もアートの授業で草間弥生さんのカボチャの絵を紹介して、彼女について少し教えたら、それを知ったファミリーが早速、Tate Modernでやっている草間弥生さんのエキスヒビションに娘さんを連れて行ったりと、すごく教え甲斐があって私まで嬉しくなった。

最近ではいろんな国で日本文化が人気があるのは知っているけれども、本当に世界の多くの国の人たちにとって日本が近い国になったなーと改めて実感する事がある。

親族が日本人と結婚した友人もいるし、息子さんが日本で就職が決まった友人もいる。夫のオーストラリア人のいとこ家族はコロナの前までは毎年北海道にスキーに行ってたりと、イギリス人がごく普通にフランスやスペインに行くように、いろんな人が気軽に日本に行く時代になった。

36年にスコットランドで出会ったチェコ人、日本人が生の魚を食べると知って「えー考えられい、自分は絶対食べたくない」と言っていたけれども、あの彼女は今でもお刺身やお寿司を口にする事はないんだろうか? そんな彼女の方が今では珍しいんでは?

昨日巻き寿司を巻いた子供達を見ていて確信した。「あーこの子達が大きくなったら、パスタを茹でるのと同じように、こうやって巻き寿司を作るんやろうな」って!

なんか嬉しいなー!

日本料理

先週の週末にルーマニア人の友人姉妹MとDを夕食に招待して和食を作った。

その日の献立はサーモン寿司丼、椎茸、にんじん、こんにゃくの白あえ、ほうれん草のおひたし、カブとツナの和物、ムール貝のお味噌汁。かなり純粋家庭料理で、彼女たちにとっては初めての味だったので友人の口に合うかどうかわからなかったけれども、二人共食べるわ、食べるわすごく喜んで食べてくれた。

やっぱりいろんな国の料理を食べてきているMとDだし、最近では日本食の基本の味を知っている人が多くなってきているので、お寿司や天ぷら以外の和食の味も受けいられてきているんだろう。

日本人の私が和食が一番美味しいと思うのは当然だけれども、外国人の中にも日本食が一番大好きというようなコメントを耳にする事もよくある。友人の中でもそんな人が何人もいるし、子供たちの中にもお寿司フアンがとても多い。

この間も私が働く学校の五年生達と好きな食べ物の話をしていたら「お寿司のサーモン、きゅうり、アボカド巻きが一番好き」という子が何人かいたし、私のクラスの中国人の児童は「一番好きな食べ物は照り焼きサーモン」と言っていた。

ロンドンにいる友人達に一番よく聞かれる和食のレシピはナスの田楽。田楽味噌はじわじわと人気が出てきている気がする。そお言えば最近かき揚げや揚げ出し豆腐の作り方もきかれたかな?

和食好きの家庭ではサーモンの照り焼きなんかは、日本人家庭がイタリア料理を作るようにどんどん作られているし、ラーメン作りに挑戦している人が多いのは、いつも行くファーマーズマーケットでなめこを売っている人が言っていた。

オーストラリアに住む夫は近くの図書館から和食のレシピ本を2冊借りてきて、新しい事を発見すると子供のようにはしゃぎながら報告してくる。

これって嬉しい事やね! 

他の国の食生活を批判するつもりはないが、学生時代に夕食ではなくおやつとして唐揚げ、コロッケ、たこ焼きやお好み焼き、ビビンバなんかを口にできていた食環境にいてた身にとって、北ヨーロッパの間食文化はあありにも質素で気の毒と思ってしまうことがあるのも本音。

ロンドンにはいろんな国のストリートフードがあるのは確かだけれども、あまりに値がはるので学生が毎日買うようなおやつにはなれない。

ここでも大阪にあるような、おばちゃんが店頭であげているような美味しくて安いコロッケが買えたら大繁盛するはずやのに!

とにかく今週は家に食材が揃っていたので、簡単すき焼き、サーモンの押し寿司、お好み焼き、長芋のトロトロやき、ゴボウの金平、豚汁と和食のオンパレードが続き、娘と二人、大満足な食生活をおくれた。

ロックダウン中に「お弁当やさんを始めようかな」と思った事があるけれども、最近その思いが徐々に強くなっていているのも確か。今年の課題はこの思いがどこまで伸びるか、いろいろと勉強していく事。和食の人気があるからこそできなくはない、可能性はある。

和食人気、ほんまに有難い事や!

友人が撮った私が作った和食の写真

手抜き料理 2

11月に入ってあっという間に13日もたってしまった。その上冬時間に入ったイギリスでは日暮れの時間も早まり、私が仕事を終える頃は日に日に暗くなっていく。

自宅から職場までは歩いて片道30分、その中の15分近くは公園の中を歩いている。公園のゲートは日暮れとともに閉まるので、冬の間のある一定期間は公園に着くともうすでにゲートが閉まっていて、そんな時は遠回りをせざろうえないし、家につくのも通常より15分から20分は後になる。

帰宅してからは夕食の支度をする前にコーヒーを入れてメールをチェックしたり、韓国ドラマをちょっと見るのが日常で、ついついだらだらとこの時間を楽しんでしまう。帰宅時間が遅くなると料理にかける時間もやる気も少なくなりがち!だからそんな時のためにすぐに作れて美味しい料理をいつも探している。

と言うより長く子育てをしてきて、家族のために日々料理をしてきた世代には「料理は好きだけれどもだんだん面倒くさくなってきた、最近は手抜き料理ばかり」と言う人が多く今の私がまさにこの状態!

それだからか最近料理上手、料理好きな友達と話すときはお互い手抜きレシピを交換することが多い。先週もなんでも作れる友人Rにこれは美味しいよとお墨付きなレシピを教えてもらった。

耐熱皿にフェタチーズ、チェリートマト、ペストを入れてオーブンで20分ぐらい焼き、その間にパスタを茹でておく。パスタの茹で汁を少しとっておき、茹で上がったパスタとオーブンに入れておいたフェタチーズと、茹で汁を混ぜ合わせるだけども、これがすごく美味しいらしい。なんとなく想像のつく味だけれども、美味しいものを知ってるRがここまで言うのなら今度作ってみようかなと思う。

他にも友人の娘さんのレシピで千切りにしたキャベツ、赤キャベツとエキストラバージンオリーブ油、小口に切った酢漬けの唐辛子、はちみつを加えてあえるサラダを教えてもらったけれども、これはとても美味しくやみつきになってきた。でも時間がない時はキャベツを千切りにするのもめんどくさいかな?

今年のイギリスの冬はかなり寒くなると言われているので栄養価が高いものをしっかり食べて免疫力を高めておきたい。こうなったらやっぱり野菜がたっぷり入ったスープを作りおきしておくのが一番。イラン人の友人Sも「最近料理するのがめちゃくちゃ面倒くさくなってきたけれどもお腹を空かせて帰ってくる家族のために豆のスープはいつも作ってある」と言っていた。

そう思っているとイラン人の友人Sが豆スープのレシピを送ってきてくれた。

玉ねぎとニンニクを軽く炒めてから小さく切ったニンジンとセロリを加えてさらに炒める。そこに茶色のレンズ豆、水、チキンストックキューブ、ベイリーフを加えて沸騰させその後1時間ぐらい煮込んでその後ピューレ状にする。彼女のレシピはギリシャ人のご主人好みでギリシャ風、ここにカリカリに焼いたベーコンを加える事もあるらしい。味つけにクンミンを入れたらアラブ風になるし、イラン風ならば玉ねぎのスライスを軽く揚げターメリックで味をつけてからスープに加える。チリペッパーを入れていただくとさらに美味しくいただける。

暗くて寒くなっていく冬の日々をいろんなスープ、パン、ワインでおうち時間を楽しむのもいいもんやね、キャンドルも毎日つけてみよーか!

私の小さな日本、家の前のガーデンにあるもみじさん

リスボンおいしい

ポルトガルに住みはじめた次女に会いにリスボンにやってきた。EU諸国の中でも決して豊かだとは言えない国ポルトガルだけれども、リスボンは異国人の目にはノスタルジックに映る少しさびれた美しさが至るところにあるきれいな街。

特に白地と青のタイル( Azulejos )で覆われた建物、細長い路地裏にあるカフェやレストラン、そこを通る路面電車、石畳と坂道と見ているとなぜか幼い頃を思い出してしまう懐かしさがある。見ていた世界は別なのにリスボンの生活の匂い、音、色が私の幼少の頃のような気がするくるから不思議。

今の日本、日本人にとってはポルトガルはあまり馴染みのない国だけれども、16世紀の日本にとってポルトガルはとても大切な国で、南蛮人と呼ばれていたポルトガル人達は日本に西洋文化を伝え、少なくとも食文化においては日本に彼らの足跡を残していった。揚げ物をお酢のきいたソースに漬ける南蛮焼きに今や日本食の代表のような天ぷらも、日本のカステラもポルトガルのパオン・デ・ローが原型だと言われている。

ポルトガルは伝統菓子の種類がとても豊富でそれだけを食べ歩きしても面白い旅になるはず。

数々の焼き菓子

特に有名なのがパリパリのパイ生地の中にカスタードが入ったパステイシュ・デ・ナタ。

本場ベレンで食べたパステシュ

今ではロンドンのカフェでも売られているパステイシュだけれども、本家本元であるリスボン西部ベレンにあるジェロニモス修道院生まれの味を引き継ぐパステイシュ・デ・ベレンで作られる物は格別の味。そこに行くといつも行列ができているほどの人気でリスボン観光名所の一つにもなっている。

あさりと豚肉の煮込み

レストランや食堂で食べられるポルトガル料理はいわし、たら、あじ、たい、すずき、サーモンなどの焼魚や豚肉、牛肉、鶏肉のグリルやローストのほかポルトガルの代表料理であるたらのロースト、たら、じゃがいも、卵のミックス焼きとシンプルなものが多いけれども、豊かな素材に恵まれているポルトガルでは魚介、お肉、野菜、ワインと本当に何を食べても美味しいからすごい。時々歩いているとどこかからただよってくるいわしの炭火焼きの匂い、これに出会うともうたまらん!!

代表料理いわしの炭火焼き

通常魚には茹でたじゃがいも、お肉にはポテトフライが付けわせてくるが、それ以外にライスが付いてくる事も多いのでお米好きの日本人にはめちゃくちゃありがたい。

とにかく今回は自炊をしている次女が普段は口にしていないような郷土料理を食べさせたいと思いインターネットで調べてレストランに行ったのでリスボン滞在中に口にした食べた物は全てが美味しかった。

次女が住んでいるエリアParqueはとても治安が良く静かな所。それでも道の角ごとにカフェやレストランがありSushiレストランもいくつか見かけたし、誰が買うのか日本食を扱っている食材店も見かけた。でも日本食全体よりもお寿司だけが先行しているみたいだ。日本食レストランはまだまだ高価なんだろう。

多分もうしばらくしたらここにもラーメン専門店ができてくるんかな?バブルティー店も北欧のデンマーク風カフェもちらほら見かけたからラーメン店ができるのも時間の問題だろう。

でもまだまだホームシックになる日が多い娘が、行こうと思えばこれらの日本料理が食べられる環境にある事が母としてはとてもありがたい。

給食

給食といえば、昭和育ちで大阪市の公立小学校に通っていた私にとっては決して美味しくないシロモノだった。正体不明の揚げ物が副食に出た時それをポケットにしのばせておいて学校帰り近所の犬にあげたらその犬も嫌がって食べなかったという記憶がある。

私の子供が通った、そして今私が働いている小学校の給食はどうかと言えば、私の子供時代の給食よりかは断然美味しい。100点満点中75点ぐらいのレベルかな?1人暮らしの同僚のほとんどは給食が1日のメインの食事という事もあって、栄養的にバランスが取れているし、グルテンフリーやベジタリアン用のメニューもちゃんと考えられている。

とにかく美味しい物が食べられる日もあれば、そうじゃない日もあるって事。毎週木曜日はローストポークやローストハムまたはチキングリルがメインで、付け合わせにローストポテトやポテトのグラタン、茹でたにんじんなんかが食べられてこれらのメニューは大人にも子供にも大人気。

子供達が一番喜ぶのは決まって金曜日に出てくるフィッシュフィンガー、ポテトフライ、グリーンピースのランチ。子供達の顔が引きつってくる、あまり美味しくないランチは以前にも書いたフィッシュパイ、またはチキンやビーフパイ。

他の日はミートボールのトマトソースにペンネ、クスクスと羊のタジン、チリコンカルネなんかが多い気がするけれども、はずれの日は照り焼きソースに野菜と言った本家本元の照り焼きソースとは程遠い料理や、アクが浮いている豚肉のクリームシチューとかが出てきて、そおなってくると子供達も私もがっかり、そんな日はジャケットポテトとチーズで我慢する。

先日は自分達の子供が毎日何を食べているか知りたいという事でPTAが私達のランチに参加した。

でもそんな時に限ってランチは美味しい。その日はペンネにチキンのトマトソース、ベジタリアン用にはズッキーニとナスのトマトソースで、これを食べた親は多分「給食は美味しい」と結論付けたはず。

子供達の中にはパスタやソースにいっさい手につけず、食べれるのはきゅうりやにんじんのスティック、チーズそして食パン一切れのみって子供もいるし、野菜はいっさい食べれない子供もいる。給食でつらい思いをした私は絶対に子供には食べ物を押しつけない。それにどの親も自分の子供が何が嫌いかわかっているので先生が子供に食事を強制するのは間違っていると思う。

昔アメリカ人のママ友が言っていた「学校給食ってものは美味しくないのが普通、だからもし美味しい物が出てきたら得したと思わないと」本当こう思っていると何が出てきてもありがたくいただける。

イギリスの給食は有名シェフ、ジェイミー・オリバーが公立学校の給食改善運動に取り組んで、脱ジャンクフード、ヘルシーで経済的なレシピーを考案したり、食育活動に力を入れて政府にも給食改善のための予算を増やすように働きかけたりしてかなり改善されたと言われている。長女も「ジェイミー・オリバーの給食改善キャンペーン以後の給食は良くなっていった記憶がある」と言っている。それまでは本当に冷凍食品や安いピザ、ソーセージ、フライドポテト、缶入りの茹でた豆なんかが主流だった給食も多かったんだろう。

そしてイギリスでは学校給食が1日の食事の中で唯一食べられる暖かい料理になる子供達が多くいる事も事実。それを思うとランチがまずいのどうのこうのと言ってる場合じゃない。

私が食べれなかった給食を大人になった今もう一度食べてみたい。好き嫌いが多い子供達に日々「私の子供時代の給食に比べたらあんたらが食べてるこの料理はご馳走よ、だからちょっと食べてみたら?」なんて言ってる自分がいるけども、私が食べた給食は本当にまずかったのか、もしかしたら私の偏食が問題だったんだろうか?今になってはもう知る術がない。

娘の旅立ち

先週の日曜日私の次女が9カ月の留学の為にポルトガルのリスボンに旅立って行った。

予想通りやっぱり私は時より寂しさに包まれる。次女はリスボンに立つ前の最後の週、私の仕事場近くまで毎日迎えにきてくれていたので、その時間帯になると彼女がもうロンドンにいないんやーと少し心がほろりとしてきてしまう。

あー今月大学に子供を送り出した親はみんなたどる道やろうね。今さっきも今日ウェールズまで娘を大学に送り出した友人から「嬉しいけどちょっと悲しいわ」というメッセージがやってきた。

さてリスボンに住んで約1週間が経とうとしているけれども次女はいまだに日々外食をしている。でも外食ばかりでは偏食になりがちな上、自炊をしないと不経済だ。ありがたいことに日本食の食材を扱っているお店が家の前にあるらしいので「いずれは和食を作るように」と母は願う!

娘のランチ、ポルトガルの代表料理 あさりと豚肉のシチュー

という私も長女と一緒に住んでいるものの、お一人様の食事回数が増えてきているので、作るものを変えていかないといけない。こうなると和食を作るよりもサッとお肉か魚を焼いて、サラダを作って後野菜料理をつけたすような料理が一番手間が省ける上、栄養価もあっていい。

二日前も簡単なお一人様料理を作った。ルッコラの上に軽くサッと焼いたマグロのステーキをのせ、その上にオリーブ油とアボカド、コリアンダー、チリ、トマト、ライムで作るガッカモーレをのせ、付け合わせにはキヌヤとズッキーニのグリルを作っていただいた。これは20分で作れた上、見た目がすごく綺麗で栄養価も高い。

サラダと言えども、レタス、ルッコラ、いろんなリーフ野菜と共にグリルまたは茹でたズッキーニ、アスパラガス、インゲン、炒めた玉ねぎを入れて、そこにクルミやチーズ、半熟卵といろいろを付け加えたら豪華に出来上がるし見栄えもいい感じ。

フランス人の友人が一番美味しいと感じるサラダはリンゴ、チコリ、クルミのサラダという。

ニース風サラダなんかは茹でたじゃがいも、卵、インゲン、トマト、アンチョビー、オリーブといろいろ入って立派な一品だ。レバノン料理のタブレーサラダなんかは大量のイタリアンパセリが食べれてみるからにヘルシー。

「イギリスの大学生が一番よく作るのはジェノベーゼパスタと思う」と長女は言う。瓶詰めのジェノベーゼソースは格安で茹でたパスタを混ぜるだけだから超簡単。でもこればかりだったら栄養価が低いし何か物足りない。幸いにもポルトガルは物価が安いし、美味しい食材が揃っているので工夫次第で美味しいものが作れるはず。

まあでもこんな風に自炊生活を経験して誰もが料理のうでを上げていくんやろうね。

「娘よ頑張っていろんなポルトガル料理を作れるようになって帰ってきてや!」

私もベジタリアン志向の長女との食生活、新しい料理を学んでいこーっと!!!

昨日の娘のランチ

手抜き料理

最近の私は料理をするのがとても面倒くさい。ちょっと前までは張り切っていろんなレシピーに挑戦していたけれども、最近はとにかく簡単で美味しそうなものしか作る気にならない。

まあ主婦なら誰でも通る道かな?

私の最近の手抜き料理は、サーモンのグリルにサラダ、やる気のある日はそのサラダの中に焼いたズッキーニやカリッとあげたニンニクを入れたりするが、普通はトマト、アボカド、ルッコラのサラダ、それと小さく切ったジャガイモ炒めや茹でたブロッコリーを添えていただく。これは調理時間30分だけれども満足度が高い料理だ。

手抜き料理はもちろん人それぞれ「そんなん手抜きちゃうやん、すごいやん」ってな料理からハムとチーズだけ、ベークドエッグ、ジャケットポテトとチーズと「えーそれだけ」と思わせる一品と人によって内容の違いがあって面白い。長女に聞くと彼女の手抜き料理は、白菜、豚肉のビーフン炒めらしい。

手抜き料理と言えばロックダウンの間、在宅ワークやオンラインレッスンで家にいた家族のために朝から晩まで食事を作るはめになった友達がみな口を揃えて「あ~もう限界、一日中キッチンにいる生活や~、こうなったら簡単なものしか作る気になれへん~」と言っていたのを思い出す。

ロックダウン中スーパーに行くのを避ける為オンラインで買い物をするようになってからは、何かしらの常備食を買っておく人が増えたと言う。我が家でもロックダウン中は冷蔵庫にはホムス、ピタパン、瓶入りアーチチョーク、生ハム、キッシュ、ピッザが入っていた。

そんな話を料理上手なトルコ人の友人Pに話したら、彼女も最近は手抜き料理が多くなったと言っていた。

いつも家族の健康を考えて一生懸命に料理をしてきた友人P。彼女の家にはいつもお手製の、それも砂糖を控えてナツメヤシやハチミツで作られたケーキがあったり、長い間出来合いのものを買わずに手作り料理一本できた彼女だが、そんなPもやっぱり20年以上主婦をしていると最近では手を抜き出したと言いだした。

そんな友人Pが最近気に入って作っているレシピーを教えてくれた。

トルコ料理にはフィロペイストリーと言って薄い皮のパイ生地を使ったお料理が多いが、それをトルティーヤで代用して、ほうれん草とチーズを入れて包み込み、オーブンじゃなくフライパンで焼く極めてシンプルな調理法。それでもサラダを付けたらカフェで食べるような立派なランチに仕上がる。我が家でも一度、中にチョリソとチーズを入れて同じ方法で作ったことがあるが、とても美味しく出来上がった。

手抜きといえども、アイデアひとつで見栄えのいい美味しそうな一品が出来上がる。しばらくは手抜き料理をモットーにまた新しいレシピーを探してみよーっと。手抜き料理大歓迎!

友人P,上の写真も全部彼女が送ってきて
くれた。

フランスに行きたい!

最近やたらとフランスに行きたいと思うようになった。南フランス、中部フランス、南西フランスとにかくどこでもいいからフランスの田舎をゆっくりと旅をして、美味しい物を食べに行きたい。

私の好きなYou Tube番組 ‘フランスパロディ’ なんかを見ているとその気持ちは更に高まってくる。そこで見られるフランス人の食卓シーンは最高。家族や友人と手作りの食べ物を味わいながらワイン片手におしゃべりを楽しむ光景、キノコ狩りをして、取ってきたキノコを乾燥してからリゾットに使ったり、自宅の庭でなったりんごをアルミホイルに包んで暖炉で焼いてクリームをかけてデザートに食べたりと素敵な光景がいっぱい。

もちろんどの国にも同じようにオルガニックな生活を楽しんでいる人は多いとはわかっているけれども、私にとっては理想の生活を送っている人がフランスには多い事が事実なのを知ってるだけに、ますます憧れてくる。

いつかパリ郊外に住む友人Gを秋に訪ねた時、彼女の自宅近くを散歩していたら大量の栗が落ちていた。みんなでそれらの栗を拾い集め、その後彼女の家に戻ってすぐに栗のスープを作った事がある。心も胃も満たされてすごく幸せな気分になったのを思い出す。

先日フランス人の友達MBから「いつもブログを読んでるよ」とメッセージがきた。MBはママ友でもう18年のお付き合い。彼女とは時々一緒に料理を教えあったり、熱く教育論や世界情勢を語る仲。いろんな子育ての仕方があるが、この友人は本当に暖かいお母さんで、もう成人した子供たちもそれぞれどんなに忙しくても家族で共に食事をする時間を大切にしている。

私はこの食卓の文化である料理、食事、ワイン、食事での会話がフランス文化の魅力の一つだと思う。

今日古いノートを見ていたら、MBに教えてもらったフランス料理ブランケットのレシピが出てきた。フランスでは一度だけビストロのメニューに載ってたのを見たことがあるが、これは家庭料理の定番中の定番だと言われている。

ブランケット・ド・ヴォーは仔牛の煮込みの事で、鶏肉や豚肉を使う事もある。名前のブランケットはフランス語で白という意味のブロン、ブロンシュからきている。

作り方は、まず熱々のバターで塩、胡椒をして、一口サイズに切った仔牛肉を炒める。お肉に火が通ると別のお皿にお肉を取り出し、今度は同じフライパンでみじん切りにした玉ねぎを炒める。玉ねぎがアメ色に炒まったらそこにお水、ベイリーフ、チキンストックを加えてソースを煮詰めていく。別のお鍋にバターと小麦粉を入れてルーを作る。そこに玉ねぎソースを少しずつかき混ぜながら入れいく。更に水を入れて最後にクリームを入れて味を整える。MBいわく、にんじん、白ネギ、じゃがいもをいれる事もあるらしい。

付け合わせにはバターライスが最高。ブランケットはなぜか春らしさを感じる一品だ。

今はまだ遠いフランスだけれども、近い将来また行ける事を願って近々ブランケットを作ってみよう。Merci beaucoup, MB!

紅茶

今日はFortum&Masonに紅茶を買いに行った。

しばらくお茶っぱを切らしていた我が家。先日友人のS子ちゃんが自家製マーマーレードと一緒にFortnum&Masonの紅茶Countess Greyを届けてくれて、久しぶりにちゃんとポットでティーを入れると、その味といい香りといいあまりに美味しくて、ティーバッグの紅茶では物足りなくなってきていた。

友人のS子ちゃんと彼女のイギリス人のご主人は紅茶に精通していて、彼女宅ではいつ行っても香り高い紅茶を楽しませてもらえるが、私の友人のほとんどは私と同じで、普段遣いの紅茶はティーバッグならPG tips、Yorkshire Tea、Tetley、Clipper、TwiningsやPukka社のものを使っていて、紅茶好きの家庭にはFortnum&Mason、WhittardかHarrodsのお茶の缶があるって感じかな?

私はイギリス人のおうちではコーヒーじゃなく紅茶をいただく。紅茶を愛するイギリス人が作る紅茶はティーバッグの紅茶であっても、ポットの紅茶であってもなぜかとても美味しく感じるからだ。イギリス北部では濃いめの紅茶が好まれるというけれども、疲れている時にいただく濃い紅茶とビスケットを愛する人は多いはず!

中国原産のお茶の呼び方には2通りあって、お茶が今の福建省のアモイからマレーシアを経て海路で伝わったオランダやイギリスは福建語の方言のTeをもとにTay、ティ、テェと発音し、今の広東省あたりから陸路でお茶が伝播して行ったインド、アラビア、ペルシャ、トルコ、ロシア、ポルトガル、そして日本ではお茶を広東語のChaをもとにチャイ、シャイ、チャと呼ぶらしい。

ヨーロッパに最初に渡ったお茶は緑茶で、イギリスでも初めは緑茶を飲んでいたらしい。その後イギリスが中国で直接お茶を買い付けるようになって、発酵茶である紅茶の存在を知り、イギリスの水や風土にあっていた紅茶が人気を集め、中国もイギリス向けに発酵茶である紅茶を増産するようになったという。イギリス人がインドのアッサムでアッサム茶を発見してからは、アッサム茶だけでイギリスの紅茶の消費量を満たす事ができるようになったという。

確かにイギリスの水は硬水で、緑茶を入れると色は濃くなるけれども味と香りは弱くなる。でも紅茶には硬水はぴったりとあう。

そおいえば昔イギリス人と結婚したフランス人の友達が「イギリス人の義母がイギリスのお茶が世界1と言ってパリ土産のMariage Frèresのお茶を喜べへんねん!」と怒っていた。私がお母さんに「全てのお茶は元は中国原産で、イギリスのお茶と言ってもその栽培はインドやスリランカですよって言ってみたら」と言ったことがある。それを聞いたフランス人の友人は「そうやったんか~、もう文句言わせへん!」と張り切っていたのを今思い出した。

今ではいろんな国でお茶の栽培がおこなわれている。トルコやアラブ世界の紅茶なんかは独特の味があり、サモワールで煎じられ、小さなカップに注がれたトルコのチャイは世界でもトップレベルの味では!?

イギリスに初めてもたらされた緑茶、当時の人々はその緑茶の味をどう思ったんかな?

今のイギリスで緑茶がこんなに人気が出てくるとは、Fortnum&Masonで抹茶セットが売られるなんて当時の人は絶対想像できなかったやろうな~。

日本に戻ると緑茶を飲み、紅茶はほどんど飲まない私。そしてロンドンに戻ると紅茶を飲み、緑茶はほどんど飲まない。やっぱりこの風土には紅茶があうんだと思う。また今日も軽く4杯は紅茶を飲んでしまった。しばらくは美味しいFortnum&MasonのCountess GreyとRoyal Blendが楽しめるから有難い!

Fortnum&MasonのWindow Display
Clipper社のティーバッグは普段使い

リラのかぶスープ

もう30年以上も前の話になるけれども、ある日私がベランダに出て外を眺めていると、ベランダ越しにめちゃくちゃフレンドリーなお隣さんが話しかけてきた。

その隣人はイラクの首都バクダット生まれのアルメニア人リラ。彼女は政治的な理由でイギリスに亡命してきており、丁度その時はお兄さんの所有する、うちの隣のフラットに一時的に住んでいていた。亡命してくるぐらいだからたくさんの困難に直面してきたリラだけれど、経済的に恵まれた幼少期を送ってきたリラには、立ち振る舞いのエレガントさと教養の深さが備わっており、彼女は洗練された素敵な60代の女性だった。

中近東の文化、歴史、食べ物に興味のあった私と、隣人との間に友好関係を求めていたリラとはすぐに意気投合して、それ以来彼女はたびたびランチを作って私を招待してくれた。

リラの作ってくれた食べ物は全て美味しい物ばかりで、私は今まで口にした事がなかった料理をたくさん食べさせてもらった。彼女の作る料理は遠い国の香りが詰まっており、なぜか私をノスタルジックにさせ、それをきっかけに私はどんどん中近東の料理に魅せられていった!

そのリラが亡くなってもう10年以上は経つが、先週末のマーケットでかぶを見た時、急に今は亡きリラを思い出した。

「そうや昔リラがよくかぶのスープを作ってくれたっけ!」

リラのかぶスープ、バクダット風はチキンストックにたっぷりの皮をむいたトマト、一口サイズに切ったかぶ、ニンニク、ドライミントとレモン汁を入れて味つけし、リラはそこに自家製クルトンをいつも入れていた。

多分ドライミントが異国の味を連想させたんかな?あー懐かしのあの味をもう一度食べてみたい。

リラが作ってくれたの数々のお料理の中でも当時の私が一番異国を感じた一品がある。リラのレモンチキンだ。

まず、一つかみのサフランを潰したカルダモンといっしょにテーブルスプーン3杯のローズウオーターにつけておく。

チキンを色がつくまでオリーブ油で焼き、焼けたらチキンは他の器に移しておき、同じフライパンにスプーン1杯の小麦粉と水を加えて混ぜ合わす。そこにとっておいたチキンとさらに一口大に切ったじゃがいも、テーブルスプーン2杯分のレモン汁、ローズウオーターに浸かったサフランを入れる。

リラはここにセヴィージャオレンジも少し入れていた。とにかくローズウオーターとサフランの香りは、アラビアンナイトの世界に入ったような気持ちにさせてくれたっけ。

リラの人生は政治に翻弄され、彼女は多くの財産を失った。ロンドンに来た彼女を助けたのは、昔彼女の実家で働いていた運転手さん家族。ロンドンに来てビジネスで成功したその家族とリラの立場が逆になったのをリラは物悲しそうに語ってくれた。

リラが亡くなった時、私は次女を出産したばかりで少し彼女と疎遠になっていた。ある日私は急にできた用事で家の外にでた。私が表玄関を出た瞬間、リラの家を時々お掃除にきていた女性とたまたま遭遇。

「リラは最近どう、彼女元気にしてる?」

「実はリラは先々週に亡くなって、彼女のお葬式は明日の午後にあるんよ」とその女性が教えてくれた。

その時私はリラが彼女のお葬式のことを私に知らせにきてくれたんやと直感でわかった。

翌日彼女のお葬式に出るためにアルメニア正教会にいった。生まれて初めてアルメニア正教会の中に入る事に。教会がお香で満たされ、神父達がアルメニア語で賛美歌を歌う。

リラは最後の最後まで私に異国感を味あわせてくれた。有難うリラ!

今週末は彼女に教えてもらったかぶのスープを作ってみようと思っている。