今月の初め、次女は卒論を提出し、最終試験も無事終わらせ、まだ結果は出ていないものの4年間の大学生活を終わらせた。
人生初の猛勉強だったので「しばらく休業するよ」と娘は宣言し、彼女はゆっくり休むつもりでいる。
今年の初めに大怪我をして、その手術が先にまっていることもあり、就職活動にも本腰をいれる気になれないようだ。
でも今までのようなルーティンがなくなり、「仕事はどおするん?」といろんな人に聞かれるので、卒論のストレスが消えたと思えば、今度はこれからの仕事や人生の選択の事を考え容易にリラックスはできないらしい。
そう彼女には就活が待っている。
イギリスでは大学、高校卒の新規採用者の入社日が4月1日、なんていうのは別世界の話。日本のように大学、高校在学中に就活をおこなって、卒業後すぐに就労なんていう体制がある国の方が珍しいのでは。
イギリスで私が見てきた限り、大手企業で働きたい人は、大学2年生の夏休みなんかにインターンシップを取って働けるようにして、うまく企業に気に入られれば卒業後に仕事のオファーがくるみたいだけれども、このパターンで仕事にありつける人はあまりいないはず。
次女はSNS、特にLinkedinを使って仕事の情報召集をしている。大学生の間から皆自分の学歴、ボランティア活動、アルバイトなどの経歴を登録し、それらを見た企業から直接スカウトを受けたり、求人情報を見つけ出す。
勿論イギリスにも大学卒業者対象に、実際的で面白いプログラムが存在する。
Graduate schemeと言って、各産業界が現場での実体験を通して将来の人材を育てるトレーニングシステム。銀行、農業、ヘルスケア、法律関係、交通機関、行政機関、教育といろんな分野が参入していて、大体1年から2年のコースで、これを終了すると即戦力として、自分がトレーニングを受けた業界で本雇になるだけでなく、いろんな企業にも評価されて、自分の可能性を伸ばす機会に恵まれる。
ただこれは競争率がとても高く、希望したから採用されるというものではない。
イギリスにおいて面白いなと思ったのは、将来弁護士になりたい人は、通常大学では法律以外の学問、歴史、文学、語学などを専攻し、大学卒業後にLaw conversionというコースを受講して、実際的な事を学んで弁護士の道を進む。
学生は就活で自分のコースのスポンサーになってくれる法律事務所を探し、うまくいけば、その会社が学費を払って、コース終了後にその企業で2、3年働くという選択をする。もちろん自分で学費を払ってコースを受けることもできるけれども、学費はかなり高額であるし、優秀な教授は企業がスポンサーにしている生徒を担当する傾向にあるので、できるのなら就活でスポンサー企業を見つける方が得策らしい。
それでも25歳の長女の友人を見ていると、大学を卒業してからほぼ2年後にはみんな希望の職についている気がする。
みんないろんな業界で活躍しているけれども、中には美術史を学び、大学院を卒業後、著名なアーティストのPRとして働き、その後転職して今は有名なアートギャラリーで働き出し、実力を認められて展示会の企画チームの一員として生き生きと働いている人もいるし、某新聞社の文化部の記者として、自分の好きな本、劇の批評を書いている友人、または警察官として、テロ対策本部で働いてる友人、高級取りだけれども、夜は毎晩22時ごろまで働いている銀行員の友人、夢だった医者になった友人と職種は様々だ。
私の次女は、早くから芸術関係の世界で生きる決心をしている。脚本家、演劇家、音楽プロジューサー、全てやってみたいそう。入っていくには難しい業界だ。でも1回きりの人生、好きな世界で生きていかないと後悔する。
しばらくは答えが見つからないかもしれないけれども、なるべくプレッシャーをかけずに近くで見守っていきたい、と母は思っている。
でも将来をちゃんと考えてる若者の姿はとても眩しくて、羨ましい。
着実に勉強をしてきて、夢に向かっている姿はとても頼もしく感じる。
どうかこの夏学業を終える若者達が、好きな道を切り開いて好きな仕事につけますように!