サッカー欧州決定戦を観て思う事

先日の日曜日のサッカー欧州選手権の決勝戦、惜しくもペナルティーキックでイングランドがイタリアに敗れてしまった。国際試合で自分が住んでいる国の試合だから普段はサッカー観戦していないロンドンナーもこの試合は見た人が多かったはず、ロンドンはどことなく朝からもりあがっていた。

実際その日は朝から普段は見かけることのないタイプの、色白でみなよく似た髪型をしたイングランド国旗をマントのようにまとった若者のグループを何組かうちの近所で見かけた。

決勝戦を観に他所からロンドンまでやってきたグループだろう。多国籍都市ロンドンでも特に多国籍なこの辺りではそれらのグループの存在はかなり目立っていた。

そんなグループを見ながら「今日はイングランドが勝って~」と強く願った私。イタリアにもイングランドにも仲の良い友人がいるし、外国人の私にとってはどちらが勝ってもあまり感情的になる事じゃないけれども、この日はあまりにも多くの熱烈なイングランドサポーターを見かけたし、中には自分のサポートしているチームが負けると暴力的になって、対戦側のサポーターに絡み出す悪質なフーリガンがいるのもわかっているのでイングランドの平和の為にも日曜日はイングランドチームに勝ってもらいたかった。

そお思っているところに次女が「先週のデンマーク対イングランドの準決勝線にCとIも観に行ったらしいけれど、試合のあとイングランドのサポーターに絡まれたらしいいよ。唾とか吐いてくるフアンもいてたそう、ほんまに嫌やな」と言ってきた。

現在移動規制があるのでデンマーク人サポーターがロンドンにこれず、この事態を受けて在英デンマーク大使館が準決勝戦のチケットをいくつか調達して、在ロンドンデンマーク人に配り出した。

デンマーク人の知人宅にも大使館から連絡が来て、知人の子供達がデンマーク対イングランド戦のチケットをもらって観戦しに行った時にこれがおこったらしい。

こんな兆候があるだけにここでイングランドが負けたら、怒ったフーリガンが必ず暴れ出しそうなので、今宵はイングランドが勝ってくれーと思った人間は私だけじゃないと思う。

結果的に最後の最後、ペナルティーキックでイングランドは敗れてしまった。

この瞬間私はまた別の事を心配し出した。

ペナルティーキックを失敗した3選手が全員黒人選手だった為に、ここで人種差別的な悪質なコメントがソーシャルメディアに飛び出しはじめたからだ。

国挙げてのこの試合、チーム、サポーターそして彼らの生まれ故郷であるイングランドの為に一番貢献したかったはずのところに人種差別的コメントが出てきた。一番胸に刺さる言葉になったはず。一部のたちの悪い人たちの仕業というものの、もううんざりだ。

彼らの中の一人、マルクス・ラッシュフォード選手はまだ23歳の好青年。彼は自身も貧しい環境に育った為、ホームレス問題や貧困層の子供たちの飢え問題解決に積極的に活動してきた。去年の夏はコロナで学校に行けなくなり、失業した親の下まともな食事ができなくなった子供たちが夏休みも食べれるように政府に働きかけ、彼自身も多額の寄付をしてこの問題に取り組んできている。

こんな素晴らしい青年が苦しめられるのを観ていられない。ラッシュフォード選手は「ペナルティーキックの失敗は本当に無念で申し訳ない、自分の責任だから謝りたい。でも僕が僕であることは謝らない」と声明を出した。彼を絶対的にサポートするフアンもたくさんいるがこれを機にサッカーフアンじゃない私達親子もラッシュフォード選手を応援していきたいと強く思うようになった。

この夜、イタリアサポーターに暴力を振るったフーリガンがかなりいたらしい。

暴力を振るう人間はスポーツ観戦できないよう、人種差別的なコメントを出す者はソーシャルメディアが使えないようになるように規制ができたらいいのに。サッカー界もソーシャルメディアに圧力をかけ始め出した。

もうすぐオリンピック、自分の国単位じゃなく、頑張ってきたアスリートに敬意をはらって観戦していきたい。

スポーツについて思う

今年もウインブルドンの時期がやってきた。今回のトーナメントには大坂なおみは参加してないものの、惜しくも途中棄権になったけれども世界ランキング338位から一躍8強入り手前までいったイギリスの期待の星18歳のエマ・ラドウカヌの快挙で女子テニスは盛り上がっている。

昔日本にいる友人がウインブルドン観戦をテレビで見ていて「なんか観客は皆お洒落で、お金もちそうな人が多いね」と言ってきた。そうウインブルドンのチケットはかなり値がはる。

長女が言うには「イギリスのテニスは芝生の上でプレーされ、維持費がかかる芝生にアクセスするためには会員費を払ってテニスクラブに入っていなければならず、それ自体にお金がかかるのである程度裕福な人でないとテニスはなかなかできないスポーツ」であるらしい。

イギリスでのスポーツについて考えるとまだまだ昔の階級制度の名残りが残っているとつくづく感じる事がある。アクセスできるスポーツと経済力が関わっているからだ。

例えばラグビー、最近では変化があるかもしれないが、学校でラグビーを教えプレーするのはいわゆるパブリックスクールなんかの私立の学校かイギリス北部とウエールズのみ。

ラグビーが大衆スポーツのオーストラリアとは違い、イギリスのラグビーサポーターを見ていると自分の行っていた学校でラグビーをしていたなんとなく経済的に恵まれていそうな人が多く、どちらかと言うとラグビーはエリートのスポーツだ。

ラクロスもそう。アメリカでは人気があるかもしれないが英国では私立の学校のスポーツという印象がある。

あとお金がかかるスポーツはやっぱり、フェンシングや馬術。フェンシングを上達させるためにはいろんな国際試合に参加しなければならず、それにかかる移動費はかなりの額になる。仲良しのAの子供は16歳のフェンシング界ではかなり腕がよく、チームGBに近いところにいる。その子供のために友人は今週末はマンチェスター、再来週はリバプールといろんなところに娘をトーナメントに連れていく。まさに親のヘルプなしではランキングで上に上がれないシステムになっている。

私の働いている学校では、夏はテニスと陸上に加え、今まではラウンダーズというイギリスとアイルランドでしかプレーされていないソフトボールに似たスポーツが教えられていた。でも今年からラウンダーズに変わって2年生からクリケットを教えるようになった。

「外国人の子供が多いのでクリケットの存在自体知らない子がいる中、イギリスの国家的スポーツを教える事はとてもいい事、クリケットを教えるようになって良かったですね」と体育の先生に言うと「ラウンダーズと違ってクリケットには国全体に予算、お金がかけられていて、他校とかの試合をする機会もグーンと増えるし、プロの道にも繋がっていくからねー 」と答えた。

残念だけれどもスポーツとビジネス、お金の関係性は無視できない事実だ。

ではお金のかからないスポーツは何?と言うとやっぱりフットボール、いわゆるサッカーだ。

サッカーは本当に人気がある。特にヨーロッパや中南米、中近東では一番人気のスポーツなんじゃないかな? サッカーを語る時どうしてもイギリスのホリーガン的な熱狂的なフアンがちっとだけ否定的なイメージを与えてしまうので、ラグビーフアンの中でサッカーを毛嫌いする人も中にはいる。でもやっぱりサッカーは国民的スポーツ。

今ヨーロッパではサッカーの欧州選手権が開催されている。96年大会以来の準決勝進出を決めたイングランドは明日7月7日にデンマークと準決勝で対戦。ロンドンのウエンブリースタジウムでの対戦になるのでイングランドにとってはホーム試合で、感情的にはとても有利。明日は賑やかな歓声があちこちから聞こえてくると思う。

もうすぐオリンピックも開かれるし、しばらくはスポーツ選手の活躍に私も熱い思いを共有させてもらおー!

演劇

今週は私が働く学校の5,6年生のSchool Play, 演劇発表会があった。日本語の発表会はこの場合英語ではSchool Playと表現する。でもこの語彙の違いからはかなり違った印象を受ける。

シェークスピアを生み出した英国ではDrama、演劇文化はかなり高く評価されていて、学校によっては幼少時から演劇の授業Dramaが教えられたり、たとえ小学校の劇の上演であっても音楽、小道具、舞台演出、衣装、ヘア、メイクとかなり本格的にこだわりを持って行われることが多い。

視聴者の中には時々親の知り合いのキャストエイジェントがいたりすることもある。友人の子供のSchool Playにもキャストエイジェントが見にきていて、子供の一人が幼少時のハリーポッター役としてスカウトされ、最終的に映画ハリーポッターに出演した事もある。

現に私の友人Sの息子も彼のSchool Playをみていたエイジェントが、友人の息子に映画「ナニーマックフィーの魔法のステッキ」のサイモン役にオーディションするように強く勧めた。結局友人の息子は最終オーディションで落ちてしまったけれども、友人の息子と競ってサイモン役に抜擢されたトーマス・サングスターはそれ以後大スターになっていった事と、私の友人の息子が子供の時の俳優トーマスに瓜二つの顔をしていたのを今でも覚えてる。

娘達の友人、知り合いの中にも大きな映画、テレビドラマ、ミュージカルにでた子が何人かいる。その中の一人は今や大女優に成長。School Playというものの将来の仕事につながるケースがあるから、好きで才能のある子供達には大切な経験だ。

演劇に力を入れている学校のSchool Playにキャストエイジェントがスカウト目的に来るのは知られている事実。私の学校でも上演前にDramaの先生が「女優になるきっかけが来るかもしれないからみんなベストの演技をしてね」と子供達に激励したいた。

でも教科としてのDramaはかなり難しい。私の娘達は二人ともGCSEでDramaを選択したけれども、国語であるEnglishとはまた全然違った観点から批判、分析力をつけて論文を書かなければならないので、それに費やす勉強時間がかかり、いくら演技が好きと言ってもそれだけで軽々しく選択する教科ではないとつくづく感じた。

とにかく私の学校もDramaに力を入れており、自治体が運営している地域の劇場を借りて子供達は2日間ミュージカル、オリバーを熱演し、私もメイク担当として参加した。

いつも感心するのは、リハーサル中に「この子は大丈夫かいな?」と思わせる子が本番では熱演できたり、ほとんどマイナーな役まわりの子供に限って「あんたそこまでメイクにこだわらんでいいよー」と思わすぐらい「とれそうだからもっと口紅を塗ってー」と何回も言いに来るから面白い。

でも二日間、四回の上演から得られたものはすごく大きく、最後の上演時の子供達の瞳は輝いており、私も熱い思いと素晴らしい時間を共有させてもらった。

これを機に女優を目指していく子はいるんかな? 確かにすごく輝くものを持っている子が一人いるので、私は今から彼女の将来にひっそりと期待している!!

また延期

6月に入ってから一気に夏に入ったロンドン、今週の週末も快晴が続いた。

後1週間で全ての規制がとけ、野外で30人以上の会合もOK、ナイトクラブもオープンする予定だった。けれどもここにきて今日あと4週間,7月19日までは今と同じ規制が続く事が決定。

私が働く学校では21日以降には全校生一斉で遠足、野外パーティー、スポーツデーが予定されているけれども、これもまた中止、延期になるのかな?

去年の夏ケンブリッジ大学を卒業した長女は、大学から「ゲストを迎えての卒業式は2021年まで延期します」と言われた。1年たった今、今度は「ゲストなしでいい人は来週卒業式を行います。ゲストを招待したいのなら秋まで待ってください」と通知が来て、先週学位証明書だけが郵送されてきた。

今年卒業する学生もいるし、これ以上待っていたらなんか卒業した実感が湧かないままの卒業になってしまう。唯一大学生活終了の証にオンラインで彼女のカレッジの学長が短い祝辞を述べて、これもまたズームで学生の家族と共に写真撮影が行われた。

イギリスの大学は学生が正装のガウンを着て厳かに行われる。外国人の私はこれを見るのをすごく楽しみにしていたし、当初はオーストラリアから孫の晴れ姿を見に義父も来る予定であっただけに、それができずにすごく残念。

新型ウイルスのせいで楽しみにしていた修学旅行、短期留学、体育祭、演劇が中止になったり、学生生活の楽しみが半減した世代にはとても気の毒に思う。若者の間では大学に進学する前や卒業後社会人になる前にギャップイヤーを取って1年間アルバイトをしてから長期旅行をしたり、インターンとして働くのが人気だけれども、特に今年はほぼどこにも行けないのが実情!

先月だったかイギリス政府が提示した旅行後自宅隔離をしないでいい国のリストに日本とオーストラリアが加わった。これには笑わされる、今日本もオーストラリアもイギリスからの旅行者は受け入れていないし、来てもらいたくないはず。オーストラリアの国境は来年2022年の6月までは事実上封鎖されている。イギリス近郊で帰国後自宅隔離をしなくていいのはポルトガルとイスラエルだけだった。でもここにきてポルトガルはまたリストから外されたし、イスラエルは今政情不安定なので今年はイスラエルに行く人は少ないと思う。

今外国旅行をするには行き、帰りにPCR検査をした上に帰国後何日か自宅隔離をしなければならない。私の長女もそれを覚悟で今ギリシャ旅行をしている。友人家族が別荘を持っているので宿泊費はいらないが、航空券とPCR検査代で通常以上に割高な出費になっている。

さて今年の夏休みはどうなるのかな? 私の周りはまだ夏の予定を決めかねている人が結構いる。自分の実家や家がある人は自宅隔離ができるので故郷に戻れるけれども、旅行者の場合各国の規制緩和を見守っている状態。噂では8月になれば規制が大幅に緩和されて、イタリアやギリシャ辺りは観光客を歓迎するって聞くが、どうだろうか?

あ~また大阪が遠く感じる。今度はいつ宇治金時のかき氷、わらび餅が食べれるんやろ~。

しばらくはお預け、また延期!

久しぶりの映画とミュージカル

対コロナの規制が緩和され劇場もレストランの室内もオープンされたので、私も久しぶりに映画とミュージカルを観に行ってきた。

映画を見にいった日は料金が半額日だった為、チケットは完売。館内に入ってくるなり「やったー」とガッツポーズをとる人がいたり、みんな久しぶりの映画で喜びを隠せない。面白い事に高齢者の、特に男性の中にマスクなしの人がちらほらいた事。ワクチン摂取をして自分はもう大丈夫とタカをくくっているのかな?

ミュージカル観賞も久しぶりで、シアターの前ではジャーナリストに街頭インタビューを受けている人もいた。舞台から2列目に座れた私たちは、初めから終わりまでミュージカル女優、俳優達の情熱、一挙一動を肌で感じることができ、ストリーに釘付けになり、涙は出るわ、大笑いするわと大のり。最後は観客総立ちで踊りと拍手喝采でフィナーレを迎え、私たちも大感動して家路についた。

このように作品からパワーをもらえる観劇は最高だ。

イキイキと踊って歌ってる女優、俳優をみて劇場がオープンして本当によかったなと心から思った。コロナ禍で被害を受けたエンターテインメント業界。本業が失業中にアルバイトをしている人の特集記事を読んだけれども、エンターテインメント業界の人が一番多くアルバイトをしていると書いてあったのを思い出す。劇場が休業していた期間は第二次世界大戦の時より長かったらしい。

今回見た映画  NomadlandもミュージカルEverybody’s talking about Jamieも自分軸で生きることをテーマにしていて、もう50代も後半に入り今後の人生をどお生きていこうかと模索中の私にとっては色々と考えさせられる作品だった。

特にNomadlandはロンドン住まいの私とは別世界の話であるにもかかわらず私にとっての自分軸とは何か、どこまで自分軸で生きてるかとぐんぐん自分に問いかけてくる映画。

リーマンショックによる企業倒産の影響で住み慣れた家を失い、夫にも先立たれて車中生活を送ることになった60代の女性が、不安定で過酷な労働環境にいながらも日々を懸命に生き、行く先々で出会ういろんな人との交流を通じてより自分らしく生きていこうとする主人公の気高い姿がうまく描写されていた映画だった。

それにしても主演のフランシス・マクドーマンドの演技力の高さがすごい。彼女は本物のノマドのよう!彼女がスリー・ビルボードでBafta賞の主演女優賞を獲得した時のスピーチで「かつて演劇の先生があなたには自然な才能が欠けているので、あなたは人より努力しなければ成功できないと言われたので私は努力してきた」と言っていたけれども、見る目もなく、心ないアドバイスを送った先生の言葉を逆に肥やしにして頑張ってきたフランシス・マクドーマンは大物や!

今の彼女の演技を見る限り女優業はフランシスの天職だし、彼女は自分軸で生きてるはずだと感じさせられる。

とにかく普通の生活に戻れつつあるこの夏は、ロックダウン中に生の芸術に触れあう機会が奪われた分出来る限りいろんな芸術に触れていきたいと願っている。芸術との触れ合いは人生の肥やしになるのを身を持って感じる今日この頃。

嫌な訪問者

最近我家にねず公が出没。

キッチンのワゴン台の上に置いていたパンの袋に十円玉大の穴が空いていて、嫌な予感が走ったところ、次の日の夜次女がねず公が暗い廊下を走り去るのを目撃。

その瞬間私達親子三人は恐怖で縮みあがった。普通一家に一人はねずみなんて全然怖くないと言う勇敢な人物がいるが、我が家の該当者はただいまオーストラリア住まい。残る私達親子は本当にねず公が怖い。だからその日から完全にはリラックスできない日々が始まった。

そんなある日長女とゆったりとYou Tubeを見ていると、キッチンからチューチューという音が聞こえてきた。恐る恐るキッチンに行くとねずみ取りのシートにねず公が!!

この時点で私達親子の恐怖心は急上昇。前もってもしもの時はよろしくお願いしますと言っておいた日本人のご近所さんに早速メッセージをして、助けにきてもらった。

そのご近所さんAさんは彼の中国人の奥さんと娘さんと一緒に早速我家に来て、ねずみシートにくっついてるねずみの処理をおこなってくれた上、外のゴミ箱にまで持って行ってくださった。

おかしかったのは、社会勉強の為か彼の奥さんは「ねずみやよ~、見においで」と2歳の娘ちゃんを呼んでねずみシートにくっついているねず公を見せていた。お~奥さん強すぎる!

とにかくご近所さんには大感謝!

その夜は「まあこれでしばらく奴らとは遭遇することはないやろう」とリラックス気分でオーストラリアにいる夫と家族でフェイスタイムをしていた。するとどこからともなく「チューチュー」と言う音が聞こえてくる。 WHAT?

この日二匹目のねず公がねずみ取りシートに引っかかっていた。

時刻はもう夜の23時近く、ご近所さんにも電話できない。コンピューターの画面の夫があれやこれやとアドバイスしてくるものの、こちらはパニックで聞く耳も持てない。

その後1時間は誰が第一歩の処理をするかで、押し問答してるところ、ねずみシートが移動しだした。もう腹を括るしかない。私は靴箱をねずみシートの上にかぶせ視界封鎖。

長女がその下に下敷きを入れて、ねずみを殺すことも見ることのなくゴミ袋に入れて外のゴミ箱に捨てに行った。

この話を何人かにしたら「うちもねずみに悩まされている」と言う人ばっかり。同僚はトイレにいる時「あれここに穴なんてあったかなと思ったその瞬間にそこからねずみが顔をだしてお互いがびっくりした」と言ってた。想像しただけでも怖くなる!ご近所さん宅にもねずみが出て、業者に電話をしたら「今年は例年より寒いので春には野外に出ていくはずのねずみがまだ室内にこもってますよ」と言われたらしい。

今オーストラリアのシドニーがあるニューサウスウエールズではねずみの大量発生で農作物が荒らされたり、住居や病院では人が噛まれたりと深刻な被害があると言う。イースター時に実家に戻っていた夫も「今日もねずみを捕まえた」と言っていた。

ロンドンには人口を上回る数のねずみが生息していると言われている。さらにロックダウンに入ってからはレストランやカフェがしまって食べ物に困りだした奴らが住宅街に餌を求めて移住した為、ねずみ駆除依頼が増えているという記事を何回か読んだ。

そう言えば去年のロックダウン中、人影が減ったロンドンの地下鉄のホームでまるでダンスをしているような二匹のねずみの写真がロンドンの新聞Metroの一面に載っていた。

まあねずみもこの地球の住民だけれども、できるならお互い違う次元で生きていたい。

仕事

最近、天職、キャリアと仕事についてよく考える。

子供の頃は童話作家になりたかった。大好きなメリーポピンズ、ナルニア王国物語、不思議の国のアリスと異次元に入り込んでいく物語が大好きで、私もいつか不思議な国の物語を書いてみたいと思っていた。

その後人生で一番勉強すべき時期に大きく脇道にそれたので、高校生、大学生になっても自分のキャリアを真剣に考える事もなく、夢と言えば海外生活をすると言う全くもって無責任な若者になっていった私。

そのつけが回ってきた今、いざ転職をしたいと思っても選択範囲が狭い事を痛感してしまう。

一度母親に連れられて易者さんを訪ねた時「この子は若いうちはフラフラする傾向にあるから大学に行かせるよりも、手に職をつけさした方がいい、美容師はどうや」とアドバイスをされたことがあるが今思うとこのアドバイスは的を得ていたと納得する。

若い頃は世の中にいろんな職業が存在することも知らなかったし、好きなことを極めていくとそこから職につながる事も今この年になってやっとわかった。Garden Designer、Curator、または舞台演出をしている人に若い時に出会っていたら将来の方向をちゃんと考えていたんかな?

最近いいなーと感じた職業がある。私自身がやりたいとかじゃなくて、これを仕事にしている人の人生は満たされているだろうなと思わせる職業だ。

まずはミュージックアドバイザー、映画、ドラマ、コマーシャルの映像にあった音楽を探す仕事だ。私はよく韓国ドラマを見るけれども、いつも思うのは韓国ドラマにはドラマチックな画面での音楽の使い方が上手だなーと思わせるシーンが多い事。最近見た韓ドラ Vincenzo のラストのキスシーンで使われたJohn Parkの I’m always by your sideなんかは結末としてほんとにしっくりする音楽だった。

長年ミュージックビデオの編集をやってきた夫も、時々コマーシャルやドキュメンタリーの編集をしている時に各コンテンツにあう音楽を探すように頼まれるが、音楽好きな彼には得意な分野でそんなとき彼は楽しそうに仕事をしていた。

そして昨日はPalaeontologistと言う恐竜についての専門家の話を聞く機会があった。その人は幼少の頃に見た映画ジェラシックパークに感動して以来ずーっと恐竜が好きで、最終的に好きが高じて大学院の博士号を取り、今は恐竜専門家として大学や博物館で仕事をしている。2年かけて恐竜の骨を掘り出した時の話や恐竜がどうして全滅したかを情熱的に話してくれて聴き手を魅了させた。

自分の好きなことを職にしているって本当に素敵!

「せめて自分の好きな職業についていなくても、自分がワクワクすることを実行していったら日々心が満たされるのはわかっているし、そこから何かにつながる可能性も出てくる」と毎日言い聞かせながらあれやこれやと考えを巡らしている56歳の私。もう今しかない、今から何かを始めるしかない。そしたら石の上にも三年、何か形が見えてくるか。自分への挑戦だ。

産休

最近同僚2人がママになった。2人とも人生経験が豊富で、精神状態もとても安定している30代半ばでのお産で、パートナー、家族と共に心の底から赤ちゃんの誕生を喜んでいる。

現に赤ちゃんが生まれてからは「もう自分の赤ちゃんが可愛くてたまらない。一日中ずっと赤ちゃんの顔をながめている状態」とめちゃくちゃ幸せそうで、それを聞く私も嬉しくなってくるぐらい。

今のところ彼女たちは9ヶ月間の産休を取る予定で、来学期の終盤12月のはじめ頃には職場復帰を目指している。

「9ヶ月の赤ちゃんは可愛い盛り。そこで職場復帰するのは難しいやろうね」と話しながらも2人とも職場では役職についているので「9ヶ月以上の産休を取るのは難しい」と言っている。

彼女たちがフルタイムで働くためには、赤ちゃんのお世話をフルタイムでしてくれる人を雇うか、赤ちゃんでも預かってくれる保育園を探さないといけない、それでも9ヶ月の赤ちゃんを預かってくれるような託児所は限られているはず。

幸運にも親が近くに住んでいて育児を協力してもらえたりしたり、パートナーの仕事がフレキシブルで育児をちゃんと分担できるのならまだいいが、フルタイムのナニーを雇うとなると月に2000ポンド(日本円で約30万円)は給料として支払わなくてはならず、自分の給料のほとんどをその為に使うことになる。

2年前も仲良しの同僚が出産し、5ヶ月間の産休のあと結局仕事を辞める決断を下した。

収入はめちゃくちゃ減るけれども、やっぱりせめて子供がもう少し大きくなるまでは家にいて子供を育てたいと言う気持ちがあったのと、現実にそれが可能な経済状態にあったからくだせた決断だ。

最近母になった同僚の目標はいつの日か校長になる事。彼女はそのためにずっと頑張ってきて今では役職についている。「本音を言うとはしばらくはパートタイムで働くのが理想やけれども、一度パートタイムになるとフルタイムで要職に戻るのは難しいから、今のところは今年の12月には職場に戻ってこないと」言っている。

やっぱり女性が子育てと仕事の両立をするのはまだまだいろんな困難がともなって難しい。

ニュージーランドの国会議員が自分の赤ちゃんを議会に連れてきて授乳している映像を見た事があるけれども、これができる職場はまだまだ少ない、と言うか私の周りでは聞いたことがない。

皮肉な事に私たちが働く学校は女子校。その子達の未来がもっと働きやすい社会になってるように今から学校が率先して模範を示していかないと。幼い子供がいるスタッフには役職についていようとフレキシブルな時間帯で働けるようにするとか、産休の期間を伸ばすとか!じゃないといつまでたっても子を持つ女性が仕事を続けるには犠牲を払うことが多すぎる。

いずれにしろ、一番大事なのは子供を持つ女性に選択権がある事。そのためには国をあげて子育て支援ができてないとね。国家は未来の労働力を確保しておかないといけないんだからいっそのこと「子育てをしているお母さん、ありがとうございます。国が支援しますから安心して子育てに専念してください」と支援金を払ってほしいと思う。

とにかく同僚がしばらくは仕事のことを考えず、赤ちゃんとの時間を楽しく過ごせることを心から願っている。

植物

今朝も友達と公園を散歩してきた。

春に入った今、野外に出ると水仙、マグノリア、ブルーベル、桜、アーモンド、チューリップと色とりどりの美しい花がいたるところで咲き誇っていて、確実に見る人の心を喜ばし、癒し、時には夢心地にさせてくれる。

ロンドン市長は2050年までにロンドン市内の葉や枝などが茂っている場所を10%増して、市内の50%を緑地にする目標を掲げており、その一環として2020年には約3000本もの新しい木が市内のいろんな場所で植えられた。緑が増える事で空気の質を高めて大気汚染の改善をはかり、津波のリスクを下げ、野生動物のすみかを確保し、町を美しくして人々がもっと散歩やサイクリングをして、ロンドンをゼロカーボンシティーにするのがロンドン市長の最終目標だ。

確かに私が住むウエストミンスター地区では、可愛い花が入ったバスケットが道に飾られていたり、地域によっては街路樹の隣にかわいい花が添えるように植えられていりして、思わず立ち止まって見入ってしまう光景はたくさんある。

その反面少し治安が悪そうな場所に行くと、急に緑が視界から消えてしまう。緑のない荒涼とした景観が人に治安が悪いという印象を与えるのか。自然と触れることが精神にポジティブな影響を与えるのはもう誰もが知っている事だから、治安の悪い場所や環境がよくない所にこそ植木を植え、緑の空間を作るべきだと思う。

昨日はニュースでパリ市内で奨励されている住民による共有農園企画を知った。パリ市に申請してPermis de Vègètaliserという許可書をもらい、家の近くの道端や、街路樹の周り、公共施設区内などの空き地をガーデンや農園にしたり、手付かずの荒地を緑のスペースに変えたりする緑化政策だ。許可が下りると3年間申請したスペースで園芸をする権限が与えられる。区役所ではガーデニング用のスコップや鋤なども貸し出してくれ、アドバイスもうける事ができるらしい。緑が少なく人口が多い都会にはもってこいのアイデアだ!

中には荒地に住んでいたホームレスの人が近隣の住民と共同でそこを緑豊かな素晴らしい空間に作り上げていたり、香り高いハーブを沢山育てて、通り行く人々を魅了させたりと、街を美しくする以上に、人と人を結びつけコミュニティーを作り出していると言うメリットもあった。

日本一緑が少ないと言われている大阪育ちの私は、どんなに小さなスペースであっても町中で小さな自然を見つけるとワクワクと幸せな気分になる。

去年の秋だったか大阪市のど真ん中梅田の歩道橋の下、橋の階段と歩道のアスファルトの隙間から大根が生え出した。大根の白い部分が数センチ地上に突き出し「こんな場所で根を張って頑張ってる~」といろんな人がその存在に癒され、その大根はど根性大根とニックネームまで付けられた。この大根を見てなんかとてもその大根が愛おしくなったのを覚えている。

これからは新緑が綺麗な時期がやってくる。ほんとに植物には感謝しかない。

イースターサンデー

昨日はイースターサンデー、キリスト教徒にとってはクリスマスと同じくらい大切な宗教行事であり、祝祭日。そして子供達にとっては、イースターバニーがイースターエッグ=卵の形のチョコレートを届けにきてくれる日であり、イースターバニーが隠しておいたチョコレートを探し出す楽しい日でもある。

先週は学校の行事の一環で、近くの公園に行って子供達はチョコレートハントを楽しんだ。スタッフが前もってチョコレートをあたり一面に隠す、というよりも撒き散らしておいて、子供達がそれを拾い集めるんだけども、子供達はみんなキャーキャーとはしゃぎながら必死でチョコを探していた。イースターは宗教行事だから、子供達はまず宗教の授業でなぜイースターを祝うのかを勉強する。でも子供にとってのイースターはまさにチョコレートを食べる日って事じゃないかな?

聞くところによると今年のイギリスはイースターチョコレート不足で、お店では早くからイースター用のチョコレートは売り切れ状態になっていたとの事。オーストラリアに住む夫も金曜日に近くのスーパーにイースターエッグチョコレートを買いにいったらもう売り切れで買えなかったと言っていた。

有難いことに私はたくさんの生徒からチョコレートをいただいたので、しばらくはチョコを楽しめる状態。

昨日の朝は朝食にホットクロスバンも食べた。伝統的にこのホットクロスバンはイエス・キリストが十字架にかけられたグッドフライデーの朝に食べるのが習慣らしい。キリストの受難を象徴した十字架を粉砂糖で装飾したホットクロスバン。今ではスーパーで年中売っているし、お世辞にもめちゃくちゃ美味しいとは言い難いけれども、この時期にはいつも見かけるものよりも美味しそうなホットクロスバンがいろんなベーカリーで売られるので、やっぱりこの時期にはホットクロスバンを買って食べてしまう。そして食べた後毎年いつも「あー別に大した味ちゃうなー」と思ってしまう。

とにかくイギリスのイースターサンデーの食事といえば、家族で集まってローストラムをいただくって言うのが慣例じゃないかな? 我が家も昨日は長女がローストラムを焼いてくれ、美味しいミントソースやローズメリーがきいたグレイビーも作ってくれてイースターの食事をとても楽しませってもらった。

イースターサンデーに食べたローストラム

私にとってイースターホリデーというと、今ではクリスマスや夏休みの次に楽しみにするホリデー期間という認識になっているけれども、日本にいる時にはイースターというと海外小説の中で、それも復活祭という言葉ででしか耳にすることのなかった言葉だ。

スペインに住んでからセヴィージャの聖週間祭りなどイースターには全国で素晴らしい伝統行事が行われている事を知った。伝統行事を行うという事は、宗教的な意義だけでなく、生活の中で人が結集して、結束して共に行事を作り上げるという素晴らしさをもっている。単調になりがちな日常を鮮やかに彩ってくれる伝統行事っていいなーとつくづく感じる今日この頃だ。

キリストの復活であるイースターはまた春の到来でもあり、これから夏に向かって日も長くなりなんとなく希望が湧いてくる時期のような気もする。

長いロックダウン生活で、ワクチン摂取も順調になりだした今のイギリスの状況が春に重なる今日、ボリスジョンソン首相はどんな声明を出すんだろうか? 期待は高まるのみ!