エリザベス女王即位70年祝賀

今週の英国はエリザベス2世即位70年の祝賀、プラチナジュビリーで木曜日と金曜日は祝日になり、週末と合わせての4連休。街中、おそらく国中の至るところでお祝いの飾り付けが施されストリートパーティー、コンサートとお祝いムードで満ちている。

ちょうど今週の初め頃から、うちの近くのホテルにも明らかに英国各地からの旅行者の姿が目立ち始めた。そしてまたこの祝賀に参加しているのは英国人だけではない。街頭インタビューを受けているアメリカ人、カナダ人、インド人はみんなこのプラチナジュビリーの為にロンドンに来ていると言っている。

他の国の事はわからないけれども、英国、英国人はお祝いの仕方がすごく上手な国、国民だといつも感心させられる。特に世界的に知名度の高い英国人アーティストが多いので、コンサートなんかはそお言った有名ミュージシャンが登場してすごく盛り上がるし、イベントがあれば国民が一致団結する。

外国人の私ですらウイリアム王子のスピーチに感動して涙が出たりするから、自国のお祝いなら一層盛り上がるんだろう。

祝賀イベントの中でも一番素敵なのは各地域でご近所さんが集まってストリートパーティーを開く事。自治体に椅子とテーブル代15ポンド(約2500円)を払って、食事と飲み物は各自持参で近所の通りでパーティーをする。まさに老若男女が集まり、コミュニティーの暖かさが感じられるイベントだ。

残念ながら私の通りではパーティーは開かれなかったけれども、ストリートパーティーに参加した友達はみんな口を揃えて楽しかったと言っていた。

今私の夫はオーストラリア、長女はニューヨーク、次女はリスボンにいるので、私は親友の南アフリカ人のA宅でプラチナジュビリーランチに参加させてもらった。

友人Aと彼女の娘さんはいろんな料理を作ってくれていたけれども、今回彼女が作ってくれたコロネーションチキンは今まで食べたコロネーションチキン中で一番の味だった。コロネーションチキンとはエリザベス2世が女王に即位した時に考案されたカレー粉とクリームで味付けされたチキン料理。おそらく日本人好みの味ではないけれども、やっぱり料理上手な人が作るとそれなりに美味しい味になるからなんでも食べてみないとわからないもんだ。

特別に王室には興味はないけれども、さすがにエリザベス2世即位70年っていうのはすごいなーと私は思う。エルザベス女王は当年96歳、今でも凛とされていて、スピーチも上手だし、またユーモアのセンスもある。やっぱり女王としての貫禄と上品さを兼ね備えた女王はすごいし、まして25歳の時に女王に即位されて以来、どんな任務をも一切文句を言う事なくこなされてきたと聞くと、王室支持者じゃなくても彼女の勤めには敬意を払う人が多いのがよくわかる。

今回の祝賀でパディントンベアとお茶をしている場面がテレビで放送されたが、ロンドンオリンピック同様、こんな演技をしている女王はポーカーフェイスを保ちながらもどこか楽しそうだ。

彼女も一女性として、母として様々な経験をされて、最近ではご主人、次男、そして孫の事で心を痛められた事だと思う。

それでも初日にバッキンガム宮殿に家族と共に現れた女王を見ていると、頼もしそうな若い世代の家族に囲まれて、チャースズ皇太子、ウイリアム王子にジョージ王子と後継者も側にいて女王もさぞ心強いだろうと感じた。

エリザベス女王、即位70年ご苦労様です。これからもそうぞお元気でいらしてください。

英国のデザート、トライフル
手間がコロネーションチキン

屋外のカフェ

コロナ禍の中、最近のロンドンでは屋外にテーブルを置くカフェやレストランがとても増えてきた。

フランス、イタリア、スペインなど大陸ヨーロッパで見られるような屋外、路上にテーブルを置くカフェやレストランは長くロンドンでは見かける事がなかった。通常ロンドンのカフェやレストランが路上にテーブルを置く場合は地域の自治体にお金を払ってTable and Chairs Licenseを取得しなければならない。その上雨が多いからかなぜかイギリスには長く屋外のカフェが存在しなかったのでこの傾向はとてもありがたい。

Al Fresco=屋外での飲食って本当に気持ちがいいし、誰もが好きなはず。私は子供頃うちにあったゴッホの’夜のカフェテラス’のプリントをずーっと見ながらその風景に憧れを抱いていた。

はじめてパリでカフェを見た時は大感激したのを覚えてるし、私と同じ思いをした人はきっとたくさんいる事と思う。

とにかく今カフェに行く場合できれば野外テーブルに座るようにしている。

外にテーブルがあるカフェはお洒落な店が集まっているエリアはもちろん、最近新しく再開発されたキングスクロス駅やパデントン駅周辺、公園内にも増えた。

私が最近行って感動したカフェはサウスケンジントンにあるBrompton Food MarketとハイストリートケンジントンにあるThe Ivy Brasaserie。

Brompton Food Marketの外観はごく普通の小さなカフェだけれども、奥に進むと大きな庭にいくつものテーブルとカフェが並んでいる。テントも貼っているので雨が降っても大丈夫だし、食べ物も飲み物もみんなとても美味しかった。The Ivy Brasaserieはレストランだけれども午後3時から5時はカフェタイムで、お庭にあるテーブルでアフタヌーンティーや紅茶とスコーンだけのクリームティーを楽しめる。

ちなみにこの近くにあるVictoria and Albert Museumの中庭にもカフェがあり、水の音と綺麗な木々、赤茶色の建物を見ているとまるでイタリアにいるようで超おすすめの場所だ。

夏晴れした今朝は日本にもあるLe Pain Quotidien、ベルギー生まれのカフェに朝食を食べに行った。繁盛しているのか立地条件のいいところにチェーン店がある。

今朝行ったのは最近になってお洒落なお店が集まってきているコンノートヴィレッジのLe Pain Quotidien。大きな木とフラワーバスケットの下のテーブルに座ってゆっくり朝食を楽しんだ。

このカフェは平日の午後にでも行くと近所のアラブ人のおっちゃん達が必ず二つぐらい席を占領して長居している。でも今朝は何人かが一人でコーヒー時間を楽しんでいてだけで穏やかな空気が漂っていた。隣にフランス人の老婦人がやってきて彼女がコーヒーを注文した時は一瞬ニースにいるような、ホリデーの気分になってドキッとした。

日本やフランスのように個人経営の個性的なカフェが少ないロンドンだけれども、こうして野外にテーブルを出してくれるならチェーン店であっても構わない。今年も日本に帰省できない私達家族は日々の小さな喜びとしてこの夏はカフェ時間を楽しむつもりだ。

この下でお茶タイム
公園のカフェ

ロンドン東部、テームズ川北岸のお散歩

ロンドンに住んでもう長いけれども、まだまだ行ったことがないエリアもたくさんある。

天気が良かった先週末には新しいエリアを求めて、ロンドン東部に向かった。

石畳の小道がいい感じ

うちの最寄りの駅Lancaster Gateから地下鉄でBankまで行ってそこから出発。古い歴史を感じさせてくれるCity of Londonだけあって、近代的なビルの狭間に時々スペインやフランスで見られるような石畳の小道が現れて、そんな時はちょっとした旅行気分にさせてくれる。ロンクダウンで動けない状態が続いた身には嬉しい限りだ。

まず向かった先はSt Dunstan in the East。元々は1100年に建てられた教会。その後も増築されたが1666年に起こったロンドン大火事でかなりのダメージを受け、タワーなど増築、修理をされたものの、また第二次世界大戦で戦火に見舞われタワーを残し大部分が破壊された。

今では廃墟から公共の庭園として生まれ変わり市民の憩いの場にもなっている。

St Dunstan in the East
St Dunstan in the East

アーチ型の窓枠や、石造りの壁、青々とした樹木がとても美しい。

そのからどんどんテームズ川北岸を川に沿って歩いていくとSt. Katharine Docks についた。

「えっロンドンにこんなヨットが停泊するマリーナがあったん?」

かつてはスパイスやお茶などの高級品を扱う交易ドックだったもののその後衰廃し、再びお洒落なレストランやカフェが並ぶ観光地に変身したSt Katharine Docks。絶対におすすめの場所。

St Katharine Docks

マリーナの周りに軒を並べるレストランやカフェ。角度を変えて見たら、ここは絶対に南フランスに見える。外のテーブルでランチをしていたら、目の前のヨットでシャンパーンを片手に日焼けを楽しんでいる人たちが見えた。ここはほんまにロンドンと違う!水のある場所っていいな~

その後かつての古い倉庫街が今やお洒落な住宅街に生まれかわったWappingエリアを散歩。

テームズ川ぞいにあるマンションのバルコニーにはみんなテーブルと椅子が置いてある。

1800年代の倉庫を改造して作られたパブ

この辺りは金融街が近いので銀行で働く人たちが住んでいるのかな?

対岸のBermondseyにある小さなビーチが見えた。同じ街に住んでいながらも日々見てるものが本当に違うな~。この辺りには昔船乗りや密売商人が集まっていたThe Prospect of Whitbyのような古くから続くパブもあるので、下調べして予約をしていったら古い時代のロンドンをゆっくり味わうこともできるはず。

最後にLime houseからRegent’s CanalをVictoria Parkまで運河の横をずっと歩き続けた。

Victoria Parkではピクニックを楽しむ人でいっぱい。世界各国の屋台も出ていて珍しくウズベキスタンのお店もある。中でもフィリピン、アフガニスタンのバーベキュからはめちゃくちゃいい匂いがしてくる!こんな時のために一口サイズを売ってくれてたらいいのにね~。

この日は14、3キロ歩いたことになる。でも緑豊かなロンドンを歩くには疲れはあまり感じない。それに普段と違う事をするって大事なね~!

今の現状

イギリスのほとんどの学校がこの月曜日からハーフターム(中休み)に入る。

私が働く学校は先週から2週間のハーフタームに入っており、もしやロックダウンという場合を想定して、11月第一週目はオンライン授業に切り替える準備も整えている。

コロナ情勢がここまで長期化するとは去年の2月には想像もつかなかった。いつになったら収束していくのだろうか? ほんまに1日も早く終わってほしい!

ここにきて先週は夫がコロナ検査を受けて自宅待機になった。夫が住むオーストラリアのキャンベラは過去103日の間コロナフリー。でも先週の月曜日にスタッフの一人がシドニーに出張し、その後発熱した為に夫の職場のチーム全員に検査命令が出て自宅待機の要請が下った。

幸い検査結果は陰性だったけれども、その同じ日に今度は先週からインターンシップが始まった長女にも翌日は自宅勤務をするようにと会社から電話が入った。インターンの指導をしているスタッフが、先週コロナの検査結果を受けて陰性だったけれども、コロナの症状が出てきたので至急再検査する事になり、その結果が出るまで彼女と濃厚接触をした人は全員自宅勤務に切り替える事になったからだ。

同僚の甥っ子は、親元を離れ大学の学生寮に入った二日後に同じ階下の学生のコロナの陽性が発覚し、いきなり自分の部屋での二週間の隔離生活に突入。残り一週間になったところで別の学生の検査結果が陽性だったので、その日を数えてさらに2週間の自室隔離生活を送るはめになっている。

大学の学生寮によっては、暖かい学食は出ず、栄養価のほとんどないビスケットやカップ麺を配っているというのもニュースで読んだ。これで家族や友達に会えなかったら、たまらん!

今は別の世帯に住んでる者同士が外食をする場合は、野外じゃないとできない。でも家族でレストランに行くと、どう見ても同じ家に住んでなさそうな人たちが室内で会食している。ビジネスだったら六人までの会食は許可されているというのもの矛盾しているし!

今年はハロウェーンはどうなるんだろうか。子供達が楽しみにしているトリックオアトリートはできないだろう。イギリスの首相は「クリスマスは家族で迎えられうようにしていたい」と言っているけれども、本当にこれだけはそうなっていてほしい。実際イギリス政府のアドバイスは一貫性に欠け、これを真に受け止めている人は周りにもとても少ないが、人は先に楽しみがないとやる気が萎えてくる。

次女は来年の九月からポルトガルの大学に一年留学が決まっているが、彼女曰く「残念やけれども、一応キャンセルになる心の準備はできている。でも最後の最後まで望みは捨てない。」と言っている。

東京オリンピックの動向も、いまいちはっきりしてない。その為に人生をかけて鍛えてきたアスリートの心を思うと、本当にやるせ無く思う。でもここで望みを捨てたらあかん!

今の現状は世界中の人々に大なり小なり何かの影響を及ぼしている。私自身はコロナが流行してから、自分のできる範囲で気をつけていて、あとは恐怖に飲み込まれないように意識は他にむけてきた。

今日はなんかぶつぶつ言ってしまったけれども、でもこんな今だからこそいつも以上に小さな楽しみを見つけて生きていくのが大事だと再認識している。いつか旅行に行きたい所を探したり、いい本を読んだり、お笑い番組でもみながら、笑って生きて行くのが一番大切だと思う。

食べるのは大きな楽しみ。
小さな楽しみの一つ、公園の散歩。

Farmer’s Market

久しぶりにFarmer’s Marketに行ってきた。

Farmer’s Marketに行くのが大好き。産地直送の旬の野菜や果物を見ているだけでも楽しいけど、そこに来ている人を見るのも楽しい。食の安全性を考慮していそうな人、旬の素材にこだわって料理を楽しんでいそうな人、過剰な包装が一切なく自然体で、スーパーよりもマーケットで買い物をする方が好きな人と、みんな買い物自体をすごく楽しんでいるように見える。

私のお目当てはまずはKarawayと言うリトアニア人家族経営のパン屋さん。バルト海沿岸のリトアニア、ラトビア、エストニアやロシア地方のライ麦パンを専門に扱っている。

冷涼な気候のヨーロッパ北部では小麦の栽培が難しかったので、ライ麦を使ってパンを作ってきた。この店のパンは伝統なやり方で、Scaldingと言って生地が発酵する前に一部の生地に熱湯を加えてグルテンを分解させ,自然の甘さを引き出す方法で作られている。だからライ麦パンと言ってもここのパンは柔らかく、酸味もほどほどで甘さもあり、その上日持ちもいいので3、4日は充分楽しめる。

昔ドイツ人と結婚したフランス人の友人が「ドイツのパンが、それも黒パンがヨーロッパのパンの中で一番美味しい!」と言いきった。「それは好みの問題で、私はもっと軽い白いパンの方が好きやー」と私は反論したけれども、いろんなパンを食べる機会を得た今は、彼女の言いたいことがわかってきた。玄米と白米の違いと一緒。穀物の旨味を味わえる黒パン、ライ麦パンには確かに深い味があるような気がする。

酸味があるライ麦パンは乳製品と合わせると味がさらに美味しくなる。明日の朝、バターをたっぷりと塗ったスライスを食べるのが今からすごく楽しみだ。

この季節は色とりどりのカボチャを見かける。イギリス人はあまりかぼちゃを好まないと聞く、むしろハロウィンの飾り付け用にかぼちゃを買って中身をくり抜いてランタンにする。でも大陸ヨーロッパ人はカボチャをよく食べる。スープやリゾット、ロースト。私も今まで作ったことのないかぼちゃプリンに初めて挑戦してみようかな?

パンの他にいつも買うのは卵。農家から直に来た事を知ってるからそう思うのか、Farmer’s Marketで買う卵は味が新鮮で、色がいきいきしてとても美味しい。他にも椎茸に似たマッシュルームを買ったので、明日の朝は目玉焼きとマシュルームのソテーとライ麦パンを食べる予定。

こんなふうに楽しく料理のことを考えるのもやっぱり野外にあるFermer’s Marketにきたからだと思う。スーパーにいるときはなぜかいつも急いで買物してしまっている。

赤かぶを見てたら急にボルシチが食べたくなってきた。さっそく赤かぶ、赤玉ねぎ、赤キャベツを購入。日本で買えるような根が赤いほうれん草もあったし、かぶもある。かぶは頑張っておつけものにしようか、それともかぶら蒸しにしようか、いっそのこと昔近所のアルメリア人から教わったかぶのスープにしようか。

そして何よりも旬の物を食べることは健康にも環境にもいいし、気分を高めてくれる。

来週も頑張って早起きをして、Farmer’s Marketに行こーっと!

散歩 ロンドン北部

最近は雨が続くロンドン。

だから先週の日曜日は久々のお天気だったので、秋の景色を楽しむために近場のwoodland(森林)に歩きに行くことにした。

どこに行こうかロンドン近郊の地図を見ていたら、ロンドンには森林地と呼ばれる地域がかなり存在する事に気がついた。有名なロンドン北東部のEpping Forest、ロンドン東南部のDulsich Wood、ロンドン西部にあるRickmond Park以外にもいろんなところがある。今回は地下鉄で30分で行けるロンドン北部を散策することにした。

私達はまずは、Finsbury Parkから出発。その後すぐに自然保護区に指定されているParkland Walkを歩いた。ここは昔の鉄道線路の跡を改良して作られた自然歩道で山の中のような場所もある。ジョギングをしてる人、サイクリングをしている人と、お天気もいいからか人が多い。

Parkland Walk 田舎にいるよう!
Highgate Wood

その次にほとんどParkland Walkに隣接しているHighgate Woodに行った。

ロンドンには至るところに緑豊かなスペースがあるが、今回足を伸ばしたHighgate Woodではロンドンにいるとは思えないぐらいの自然が広がっていた。ここは天然林と言って、人の手がほとんど加えられず周囲の樹木から運ばれてきた種子が発芽、成長して生長していった森林。それだけに本当の森らしさが味わえる。景色の良い森の小道もいっぱいあって、子供が冒険ごっこをするにはうってつけの場所。こんな所を歩いていたら森の妖精の存在も絶対に信じられる。

ほんとに都会のど真ん中に住んでいると、ちょとした自然に触れられても心がウキウキしてくる。特に全国で一番緑が少ない大阪出身の私には!

Highgate Wood のあとはWaterlow Park を通って最後にHampstead Heathに行った。

Hampstead Heathは敷地面積がロンドン最大の公園で、池、森、芝生に丘、元はお屋敷で今は美術館そして歴史的建造物として機能しているKenwood Houseほか、いろんな見所がいっぱい。

Parliament Hillからの眺め

児童文学作家C.S.LewisはHampstead Heathからインスピレーションを受けてナルニア国物語を書いたと言われている。

そんな中でも、今日はロンドンで一番標高が高いParliament Hillを目指した。ここからはセントポール大聖堂、ロンドン.アイ、シャード、BTタワーなどロンドン市街をパノラマで眺めることができる。そこに着くとかなりの人がいた。凧揚げをしている人もいる。ロンドンにいながら登山をして山頂に達したような爽快な気分になれるなんてすごい。

ちなみにこのHampstead Heathにある池、ここは泳げる池で、男性用、女性用、男女兼用の池がある。元同僚の一人が、よく仕事の後にここに泳ぎに来ていた。この日も二、三人の若者が泳いでいたけれども、隣で鴨達も泳いでいる。「この水大丈夫なん?」と思う反面、楽しそうに泳いでる人を見てこちらまで気分が良くなってきた。まさに自然との戯れやね。

10月の末はイギリスの学校は中休みに入る。コロナ情勢がまた悪化してきてる今、遠方への旅行を控えている人が多い。

しばらくはロンドンにある緑の空間に癒してもらうことになるやろな!

Kensington Gardens

最近の私は、毎日雨にも負けず、風にも負けず歩いて通勤している。普通の速度で歩いて片道35分の道のりを、往復1時間10分は歩いていることになる。

でも歩いていると言ってもそのほどんどがKensington Gardensの中。

この広大な公園を歩くと言う事は、朝から自然に触れられて確実に心の栄養になっている。朝空は毎日写真を撮りたくなるほど、色彩のオンパレードでいっぱい。日の出や白鳥の大群が池に着地する光景には毎回うっとりさせられ、リスと犬の追いかけっこをいつもハラハラして見ている私がいる。

いつもの通勤道
今朝の日の出

Kensington Gardensは元々は1536年にヘンリー8世によって狩猟場として造られ、1728年までは隣接するHyde Parkの一部だった。今でもKensington GardensもHyde Parkも同じ公園だと思っている観光客も多いと思う。とにかく市内の中心にこれほどの緑の空間があるのはとても素晴らしい。

ロックダウン中、近隣の住民にとってKensington Gardensの存在は今まで以上に大きかった事と思う。私のように家に庭がない人は、運動のための一日一回の外出をKensington Gardensで過ごしていたはず。

毎日同じ時刻に同じ道を歩くので、私にも顔馴染みが何人かできた。7時25分ごろにすれ違う男性、7時35分ごろにすれ違う老夫婦、7時40分ごろに会う女性….いつの日からか挨拶するをようになり、ロックダウン後はお互い近況報告と労いの言葉を掛け合うようになった。この公園が自分の地元と感じれる瞬間だ。

Kensington Gardensに出没する名物人物もいる。同じようにKensington Gardensを歩いてくる同僚に「The Pigeon Lady って誰のことかわかる?」と聞けば、同僚も「あーあのスカーフを頭に巻いてる人?」ってな感じですぐわかるような有名人。クレオパトラをおもわせる目の化粧をしたその女性はいつも鳩に餌をやりにきて、優しく鳩たちと会話していているけれども、人間にはあたりがきついタイプ。

ある朝は、中国人のおじいさんが携帯のボリュームを最大にして、北京語のニュースかストリーを聞きながら歩いていた。政治的なスローガンのように聞こえたその北京語は、めちゃくちゃうるさかったし、清々しい朝の公園には雑音でしかなかった。でも涼しげな顔をしながらそれを聴いてるおじさんがジョギングをし始めた時、あまりにも我が道をまっとうに行くその姿を見て、私もそばにいた人もなぜか笑顔になってしまった。

朝のジョギングに来る人、散歩に来る人、子供を遊ばせに来る人、犬の散歩に来る人、体操をしに来る人、Kensington Gardensに来るのが日課の人はかなりいるんだろう。なくてはならない憩いの空間だ。

日本で見られるような紅葉までは行かないが、Kensington Gardensもこの2週間で葉が色づきはじめ、美しさがさらに増す時期に入る。

まだしばらくは秋を充分楽しませてもらうつもりだ。

第二のチャイナタウンQueensway

うちの近くのQueenswayはロンドン第二のチャイナタウンとも言われ、チャイナタウンについで有名中国レストランが密集している地域。旧正月には商売繁盛を祝いにドラゴンが舞いにくるし、中華料理好きなロンドナーならみんな知ってる。

以前ロンドンに住んでいてシンガポールに引っ越しした友人は今でもQeenswayのRoyal Chinaの飲茶が一番美味しいと言ってるし、ロンドンにくるアジア人の学生もQueenswayには美味しいものを出す中国レストランが集中してると知っていて、次女が「Queenswayの近くに住んでる」と言えば何度か「あーダックが有名なGold Mineがあるとこやね」とシンガポール人やマレーシア人の友達に何度か言われたらしい。

面白いことに一口で中華を食べに行くと言っても、シーフードが食べたいのならMandarin Kitchen、飲茶ならRoyal ChinaかGold Mine、 ダックはGold MineかFour Seasons、広東料理ならNew Fortune Cookiesと食べたいものによって行き先を変える。「中国系マレーシア人とシンガポール人はGold Mineが、中国人はFour Seasons、香港人はRoyal China かNew Fortune Cookiesが好み」とレストラン情報に詳しい次女の中国人の友達がいってるらしい。

ずいぶん長い間、Four Seasonsのダックといえば味と名声において不動の位置にあったけれども、ある日そこのダックマスターが15mほど先にあるGold Mineに引き抜かれて行って以来Gold Mineのローストダックのソースの味の美味しさがさらに増し、ダックが食べたいと思えばGold Mineに行くようになった。Four Seasonsは結構な打撃を受けたやろなー。

でもこのFour Seasons、香港生まれの友達と行くといつもメニューにないものを作ってくれるのが嬉しいところ。

Gold Mineは日本人の駐在員にも広く知られているみたいで、いつ行っても日本語がどこからともなく聞こえてくる。みんなローストダックがお目当てみたいだ。

ある日飲茶を食べていた私達家族、隣の人のローストダックがあまりに美味しそうだったのでローストダックも後から注文した。食べた瞬間、懐かしい味に包まれる。あのコクのあるうなぎの蒲焼のタレに近い味。みんな美味しい、美味しいと一口食べながら連呼の声。それを聞いた近くにいた日本人の客もローストダックを追加注文していた。

今週は長女のお誕生祝いにMandarin Kitckenに行ってきた。ここは海鮮中華料理が有名で、特にロブスターやかに料理が最高。と言ってもここにくるのはもう10年ぶりだ。

Mandarin Kitchenで食べたロブスター

よくあることなのか、ここの料理長もある日、ほとんどのスタッフを連れて新しくできたレストランに引き抜かれて行った。その新しいレストランPeral Liangは味以上に内装が良く、私達家族も友達家族もまたそこに行くようになった。

でもMandarin Kitchenの評判は落ちることなく内装新たにすこぶる人気。

ロブスターの味は期待以上。調理法はネギと生姜ソース、黒豆と唐辛子ソース、ネギとニンニクソース、そしてお刺身があって、私たちはいつものネギと生姜ソースにヌードルをつけて注文した。あとインゲンと豚肉のミンチの炒め物も最高に美味しかった。高温に熱されたフライパンの鉄の味が程よく馴染んでいる。中国人のご近所さんもいつも注文すると言うこのインゲン料理は、ご飯との相性がめちゃくちゃよく、食べていると無限に食べ続けられる気がしてくる。

めちゃくちゃ美味しかったインゲン

去年の長女のお誕生日にはMandarin Kitchenの向かいにある、これまた有名なRoyal Chinaで食事をした。その時の写真を見ると、ほとんど全く同じものを今年はMandarin Kitchenで注文している事に気づいた。

でも味を比べたら、Mandarin Kitchenの方が美味しい。これからはまたここに戻ってくることになるやろなー。

昨夜は仕事帰りに寄り道をして遅くなったのでNew Fortune Cookiesでお持ち帰りを買って帰った。豆腐、ピーマン、おナスの詰め物、カニ、えび、豆腐のすり身揚げ、あんかけ魚貝のカタ焼きそばなど、どれもこれも美味しくて、自分では家で作ろうとしない料理ばっかり、残りも今さっきいただき、二日に渡って堪能させてもらった。

実際4年前に香港に行った時、行き当たりばったりで人で賑わっていたレストランに入って「ロンドンのチャイナタウンかQueenswayでも、ここ以上においしい料理が食べれるわ」と思ったのを思い出す。香港人が聞いたら怒るやろうけど。

中華レストランが多いことを知らずにここに住み出した私達。家の近くにこんなにも美味しい中華レストランが多い事に感謝しないではいられない。

日曜日

昨日は青空が透き通るぐらいきれかったので、またテムズ川のほとりを歩くことにした。

ロンドンに住んでかなり長いけれども、まだまだ知らないエリアがたくさんある。

昨日はロンドン西部のチュジックを超えて、さらに西のキューガーデンの近くまで、今まで行ったことのない道を歩いてから川沿いを散策した。

チュジックあたりのテムズ川のほとりは、素敵な住宅街、木々に囲まれた歩道、市民菜園場と田舎にいるような光景が広がる。

この辺りのテムズ川はまたひと味違う

川辺のベンチで読書をする人、緑のスペースでピクニックをする人、サイクリングを楽しむ人とどの人も天気の良い休日を満喫しているように見える。

月曜日からまた、一度に一緒にいられる人数が子供も含めて6人までと決められたので、昨日の日曜日は、大勢の仲間と一緒にいられる最後のチャンス、だからか大人数の若者や家族連れが目立った。

こうして歩いていると娘達が「なんか京都の鴨川近くにいるみたい。」と言いだした。あまり高くない建物が多いし、家の前のお庭のお手入れが行き届いてるおうちがあって、確かに川のある日本の町を思い出させる。

川、山、海が見えるって本当に心がなごむ。

昨日は日曜日なので、パブの多くがローストビーフ、ローストチキン、ローストポーク、ローストラムなどのサンデーローストを出していた。

運よく、サンデーローストを出しているパブを見つけ、ローストチキンをいただいた。

タイムとレモンの風味がきいたチキンは、予想以上に美味しく仕上がっている。

ヨークシャープデイングの下には
付け合わせの野菜がいっぱい

日曜日にローストをいただくこのイギリスの食習慣が私は大好きだ。イギリス人じゃない私たちもいつの間にか日曜日にはローストを作るようになった。と言っても夫がオーストラリアに行くまではずーっと彼の仕事。ベジタリアンの夫が自分では食べたことのないローストチキンをここ5年はほぼ毎週作ってくれていたが、味見をしなくても美味しく、上手に焼けるようになってきたからすごい!

ローストってお肉はもちろんのこと、付け合わせのローストポテト、ローストパースニップ、シュークリームのシュー生地に似た食感のヨークシャープデイング、お肉の焼き汁を使って作るグレイビーソース、ブロッコリーなどの茹で野菜もローストの楽しみ。

料理は得意じゃないっていうイギリス人の友人達も、さすがにみんなローストポテトは上手に作る。

私が彼女達から教わった調理方は、じゃがいもを半茹でした後水けをきり、粉ふきいも状にする。オーブン皿に油をひいて熱々に熱し、そこにじゃがいもを並べて高温で焼く。そうすると外はカリッとして、中はホクホクのローストポテトが仕上がる。これが最初はけっこう難しいく、私も最近になってやっとなんとか上手に作れるようになった。

とにかくローストランチは、イギリスにきたら絶対におすすめ。

テムズ川のほとりの散策、パブでのサンデーロースト、この後紅茶とスコーンでもと思っていたが、暑くなってきたので、喉が求めたのは冷たい飲み物だった。

とにかくイギリスらしさが感じられた日曜日の午後だった。

親友との時間

今日は親友のPatty (本人が実名の使用を了解してくれた)と16歳になる彼女の娘、そして私達親子の計5人でランチ、散歩、お茶の女子会を楽しんだ。

Pattyとは子供が同じ幼稚園で、かれこれ20年らいのお付き合い、いわゆるママ友同士。

Pattyはオランダ人、典型的なオランダ人以上に気さくでフレンドリー、最高にいい人だ。

本当に超がつくほど子煩悩で、またどの人にも優しい。彼女には4人の子供がいるが、まだ子供が小さかった頃、一番手が空いてなかった彼女に、どの人も「Patty、ごめん今トイレに行きたいからちょっとうちの子を見ててー!」とたのんでしまったり、泣いてる子でも彼女が抱っこすると、すぐに泣き止んで、どの子供にも愛され、どの親にも頼りにされていた。

Pattyの家族は以前うちのむかいに住んでいて、ホリデー、クリスマス、ハロウィーンと年中行事をいつも一緒に楽しんだし、私の娘たちにとって彼女は家族同然の存在。

そう言えば、彼女は昔、ロンドン金融街で某銀行に勤めていたが、英語で苦労している日本人ビジネスマンをたびたび目にして、気の毒に思った彼女は自分が日本語を学んでその人達の役に立ちたいと思い、日本語を勉強していた経験もある。彼女らしい話だ。

とにかくそんな大好きな二人と逢えるとなって、私達は朝から気分がウキウキしていた。

今日散歩した道は、これまたテムズ川ほとり。でも土曜日に行ったテムズ川とは反対方向のロンドン西部のハマスミスからさらに西のバーンズ」。

このあたりは緑豊かな住宅街で、素晴らしい豪邸がいくつも続く。同じロンドンなのに郊外に来た気分になる。

ハマスミスブリッジはただ今通行止め中。外観だけで判断するとテムズ川にかかる橋の中でタワーブリッジの次にきれいなのはアルバートブリッジと並びハマスミスブリッジじゃないかな?

ロンドンの中でもこのあたりはとてもイギリス的な印象を受ける場所。観光ルートじゃないけれども、ここやさらに西にあるリッチモンドもおすすめの散策道だ。

素敵なパブも川沿いにある、今日はハマスミスでは名のしれたOld Shipというパブでランチ。

親友のPatty 

私はハンバーガーを食べてしまったが、Pattyと彼女の娘のKはFish and Chipsを注文した。

「あーなんでFish and Chipsにせえへんかったん!」後から大後悔。一口もらったFish and Chipsの方が断然美味しかった!

この夏は日本に帰れず、夫とも日本の家族や友人ともあえなかったので、Pattyをはじめロンドンで出会った、家族のよう友人達の存在が身にしみるほど有難い。

故郷を離れたどの人も、違う土地で出会った友が、家族のような存在になることがあると思う。

この広い世界の中から出会えて、友情を育んでいった人々に心から感謝。